eSIMレビュー
2023年8月31日

ソウルで快適にスマホを使う。韓国3キャリアのeSIMを比較

 

韓国では旅行者用のプリペイドSIMカードとeSIMを空港で大々的に販売しています。また事前にオンラインで購入しておくことも可能です。今回は韓国3キャリアのeSIMを購入してソウルの街中で使ってみました。訪問したのは2023年7月、使用したスマートフォンは日本販売のiPhone 12 miniです。

 

①オンラインでSKテレコムのeSIMを購入、Konestを利用

 

韓国の3つの通信キャリア、SKテレコム、KT、LG U+は3社ともプリペイドのeSIMをオンラインでも販売しています。そのため韓国に行く前にあらかじめ日本でeSIMを購入してスマートフォンにインストールしておけば、現地到着後すぐにデータ通信を利用可能です。

 

仁川空港でもeSIMは販売されているが、ネットで事前に購入もできる

 

今回は韓国でシェア1位のSKテレコムのeSIMを購入してみることにしました。しかし結果を先に書くと、カード決済のページでエラーが出てしまい先に進めず、直販サイトからの購入はできませんでした。ネット上では実際に購入した人の体験談も出ているので、たまたま何かしらのエラーが起きてしまったのかもしれません。

 

SKテレコムのeSIM販売ページ

 

SKテレコム回線のeSIMを販売している他の代理店もいくつか存在します。ただしSKテレコムのMVNOキャリアのeSIMを扱っているケースもあるようで、その場合は現地での通信速度に制限があるケースも考えられます。今回は韓国旅行関連のサービスを提供しているKonestのeSIM購入ページでSKテレコムのeSIMを購入しました。

 

KonestのSKテレコムeSIM販売ページ

 

SKテレコムは1日からeSIMが選べます。そのため弾丸旅行の時も1日だけ現地データ回線を購入することも可能です。なお1日とは24時間なので、空港に夜20時についてeSIMを購入した場合、翌日の20時まで利用できます。1日料金はデータ通信のみでSMS受信、通話受信はできません。他のプランはデータ通信に加えSMSと通話の受信は可能です。

 

Konestが販売するSKテレコムeSIM料金

 

旅行代理店のページなので「コース一覧」「参加日選択」などちょっと用語がマッチしていない部分もありますが、「予約する」「参加日(使用開始日)選択」「数量選択」で希望のeSIMを選びます。会員登録せずともゲスト会員で購入が可能です。購入ページでは氏名や住所、パスポート番号などを入力。購入終了後メールでeSIMが送られてきます。あとは受信したメールから表示できるQRコードをスマートフォンで読み込めばeSIMの登録ができます。

 

eSIMの登録方法は過去のシンガポール編を参照してください。

 

SKテレコムのeSIMの登録は、ソウル到着後の夕食時に行った

 

②ソウル仁川空港でKTとLG U+のeSIMを購入

 

KTとLG U+もオンラインでeSIMを購入できますが、今回こちらの2社は仁川国際空港のカウンターで購入してみました。仁川国際空港には3キャリア全社のカウンターがあり、24時間営業しています。いつ到着してもプリペイドSIMカード、eSIMを買うことができるのは便利です。購入までのプロセスも早く、5分程度で購入できるので手間もかかりません。

 

仁川国際空港のKTとLG UG+カウンター。この2社は並んでいる

 

こちらはKTの料金。KTも1日から提供してくれます。カウンターで「eSIMが欲しい」「日数」を伝え、パスポートを提示してクレジットカードで購入できます。「設定しますか?」と言われるので、スマートフォンを渡して設定してもらっても良いでしょう。筆者は自分で設定すると伝え、QRコードの印刷された用紙をもらいホテルに戻ってから設定しました。

 

KTのeSIM料金表

 

LG U+は短期の料金が少なく、通常のSIMカードは5日から、eSIMの場合は2日からとなります。料金そのものは3社ほぼ変わりませんが、LG U+だけが15日プランがあるなど、細かいところで差があるようです。またLG U+はインスタグラムのフォローで料金が若干割引になりました。

 

LG U+のeSIM料金

 

LG U+ではeSIM購入で韓国の交通系ICカード「T-money」のオリジナルカードを無料でもらえました。韓国に何度も渡航している人ならすでに持っていると思いますが、初めてのソウルの時など、無料でもらえるのはいいサービスだと思います。

 

QRコードが印刷された申込書とオリジナルT-moneyカード、eSIM設定手順をくれる

 

ちなみに普通のプリペイドSIMカードを買った場合は、SIMカードの台紙そのものがT-moneyカードになっています。これも面白い取り組みです。

 

③ソウル市内の使い勝手

 

それでは3社のeSIMをソウル市内で使ってみました。なお同じiPhoneに3枚のeSIMを入れて、切り替えながら使ってみました。eSIMは複数保存できるので便利な反面、きちんと名前を付けておかないとどれがどれだかわからなくなってしまいます。

 

3社のeSIMを切り替えて使ってみた(赤枠内)

 

訪問した2023年7月末時点で韓国の3キャリアはプリペイドSIMで5Gは利用できず、4Gのみとなります。韓国の5G普及率は世界の中でもトップクラスですが、それに伴い4Gの基地局の数は減っています。また3キャリアのシェアはSKテレコムが4割と最大、次いでKT、最後にLG U+という順位になっています。そのためかユーザー数の多いSKテレコムの4Gの速度があまり出ないという結果でした。これはソウル市内のいくつかの繁華街、「カンナム」「ミョンドン」「ホンデ」でほぼ同じ結果でした。

 

ソウルの繁華街で3社をテスト

 

こちらは夜のカンナムエリア。夜も人の出は多く、深夜を過ぎても飲食店などが開いています。3社の速度を比較すると、下りと上りはそれぞれ以下の通り。LG U+が他社の倍以上の速度でした。

 

SKテレコム:27.4 / 23.5 Mpbs

KT:36.8 / 14.2 Mbps

LG U+:81.8 / 76.4 Mbbs

夜のカンナム。左からSKテレコム、KG、LG U+

 

一方、昼間のホンデでテストを行いました。ホンデは大学のある若者の街で、こちらも常に人で溢れかえっている街です。ここでもLG U+は最も高速で、4Gですが下りは100Mbpsを超えました。またLG U+は上りも70Mbps台と高速なので、SNSへの写真や動画のアップロードが他2社より快適でしょう。

 

SKテレコム:24.6 / 19.9 Mpbs

KT:59.3 / 20.5 Mbps

LG U+:133 / 74.6 Mbbs

昼のホンデ。左からSKテレコム、KG、LG U+

 

④日本からのローミングとの比較

 

オンラインでも空港でも手軽にeSIMを買える韓国ですが、日本からの渡航は数日程度の短期滞在が多いでしょう。そのためドコモなど大手キャリアを使っている人ならば、数日間の海外ローミングサービスでも費用はあまりかかりません。

 

たとえばドコモの「世界そのままギガ」なら自分の契約しているデータ量をそのまま海外で使え、24時間980円、2日間1780円、3日間2480円です。KonestのSKテレコムのeSIMは1日660円、3日1820円なので安いのですが、3日程度ならば普段使っている契約をそのまま韓国で使っても悪くはないでしょう。韓国では5Gローミングも行っているので、より高速な通信環境を利用できます。

 

またpovo2.0がこの夏から始めた海外ローミングは韓国が3日間1GB 690円、7日間3GB 2000円と割安です。データ通信をあまり行わない人に向いています。そしてahamoは基本プラン20GBがそのまま韓国でも利用可能です。

 

一方で、2週間以上などの長期出張、1か月や2か月など長期滞在時は韓国キャリアが長期プランも出しているのでそちらがいいでしょうね。KTの90日プランは14万3000ウォン、約1万6000円で3か月データ使い放題です。

 

以上のことで、韓国はローミング利用も視野に入れつつ、自分の滞在期間やeSIM購入の手間を考え、ローミングにするか、現地eSIMにするかを決めるのがよさそうです。

 

⑤まとめ。韓国はeSIM天国だ

 

韓国はスマートフォン普及率も世界トップクラスであり、キャリアのビジネスも国内の成長はなかなか伸ばせません。そんなこともあり海外からの渡航客に対しての取り組みは競争も激しく、仁川国際空港のみならず金浦国際空港でもプリペイドSIMは料金もリーズナブルなうえに買いやすくなっています。

 

日本でMVNOキャリアを使っている人なら、海外へ行くときはモバイルWi-Fiルーターをレンタルしていく人も多いでしょう。しかし滞在が短い場合はレンタルの返却の手間や、毎日の充電の手間もちょっと面倒かもしれません。ソウルは市内に無料Wi-Fiもかなり多く飛んでいることから、万が一空港で買ったeSIMが使えなくても、滞在中はなんとかなりそうです。ソウルに行く予定のある人は、ぜひ海外eSIMデビューしてみてください。

 

ソウルはグルメだけではなくeSIMデビューにも最適

最新の投稿

連載特集

  • 木暮祐一のeSIM奮闘記
  • 山根康宏のワールドeSIMレポート

タグ