木暮祐一のeSIM奮闘記
2025年7月1日

「iPhoneのマイナンバーカード」がスタート、登録してみよう

「iPhoneのマイナンバーカード」の概要

6月24日から「iPhoneのマイナンバーカード」のサービスが始まりました。マイナンバーカードの電子証明書をスマホに格納して、マイナンバーカードなしで本人認証ができる機能です。マイナンバーカードの電子証明書のスマホ搭載については、2023年5月11日より「Androidスマホ用電子証明書搭載サービス」としてAndroidスマホが先行して利用開始されていました。

今回開始されるiPhoneのマイナンバーカードには「電子証明書機能」と「属性証明機能」の2つが搭載されます。属性証明機能は、当初はiPhoneのマイナンバーカードのみの実装となりAndroidよりも先行してスタートとなります。ただ、開始時期は未定ながら同等の機能がいずれAndroidでも利用できるようになるでしょう。

仕組みとしてはiPhone標準の「Appleウォレット」を利用します。米国では州によって身分証明書を登録できるところがありますが、国全体で導入するのは日本が世界初となるようです。

iPhoneのマイナンバーカードは、iPhone XS以降の機種で利用可能です。具体的には、iPhone XS、XS Max、XR、11~16(Plus、Pro、Pro Max、miniを含む)、SE(第2世代、第3世代)が対応機種となります。将来登場するiPhoneでももちろん利用可能です。また対応OSはiOS 18.5以上となります。まだiOS 18.5にアップデートしていない場合には、iOSのアップデートが不可欠となります。Appleウォレットへのマイナンバーカードの登録には「マイナポータル」アプリを利用します。そのため、マイナポータルアプリのインストールも不可欠です。すでにマイナポータルアプリをインストールして利用されている方もいると思いますが、6月24日にiPhoneのマイナンバーカードへ対応するためのアップデートがかかっていますので、最新版にアップデートする必要があります。

さっそくiPhoneにマイナンバーカードを入れてみよう

「iPhoneのマイナンバーカード」登録にあたっては、マイナンバーカード、券面入力用暗証番号、署名用パスワードが必要です。これらが揃っていれば、登録作業自体は数分で終わります。注意点として、「J-LIS」(地方公共団体情報システム機構)のシステムを利用して登録を行うため、J-LISがメンテナンスに入る夜間19時半以降に申請した場合は、翌朝8時以降に利用可能になるようです。

では、実際の画面に沿ってインストールの手順をご紹介しましょう。登録に使用したのはiPhone 16です。iPhoneへの「iPhoneのマイナンバーカード」はAppleウォレットにインストールされます。そこで一般的にはAppleウォレットを開いてカードを追加するという手順から紹介しますが、ここを飛ばしてマイナポータルアプリからインストールを開始することもできます。

 

Appleウォレットを開き、カードの追加ボタン(「+」)をタップ(左)、続いて「身分証明書など」をタップ(中央)、マイナンバーカードを選択

続いてマイナポータルアプリが開きますので「追加を始める」をタップします。なおマイナポータルアプリが最新版でない場合は、アプリのアップデートの後にこの画面が表示されます。マイナポータルアプリからインストールを始めることもできますが、最新版でなければこの登録画面は開けません。この後、「iPhoneのマイナンバーカード」の機能や注意事項などのチュートリアルが数ページ続きますが省きます。登録が開催されるとまず最初はeKYCによる本人確認です。カメラ機能を使って本人の顔写真を撮影していきます

続いて券面入力用暗証番号(数字4桁)、署名用パスワード(英数字6~16文字)を入力し、マイナンバーカードと照合します

本人確認が完了したら、続いてiPhoneのマイナンバーカードに利用者証明用暗証番号、署名用パスワードの設定が求められます。マイナンバーカードと異なる暗証を設定することもできるようです

Appleウォレットに身分証明書(マイナンバーカード)の追加をしてインストール完了です

Appleウォレットを開くとマイナンバーカードが追加されています。マイナンバーカードを選択すると桜のロゴがあしらわれたカードが表示されます。ネットではデザインがシンプルすぎるといった賛否があるようですが、カードを表示してiPhoneを傾けると、たくさんの桜が透かしのように表示されます。意外に凝ったギミックです

 

以上で、iPhoneのマイナンバーのインストールが完了です。

iPhoneのマイナンバーカードで何ができる?

iPhoneのマイナンバーカードですが、冒頭でも説明したように「電子証明書機能」と「属性証明機能」の2つの機能が備えられています。

まず電子証明書機能は、マイナンバーカード内蔵のICチップに格納されている「署名用電子証明書」と「利用者証明用電子証明書」と同等の電子証明書機能がiPhone単体で利用できるようになります。たとえば、コンビニエンスストアのマルチコピー機で住民票や戸籍謄本といった公的証明書を取得する際に、iPhoneのマイナンバーカードを表示して電源ボタンをダブルクリックすることで、マイナンバーカードの代わりにiPhoneをかざして手続きができます。

マイナポータルアプリへのログインの際も、従来ではマイナンバーカードをiPhoneにかざしてログインする必要がありましたが、今後はマイナンバーカード不要でiPhone搭載の生体認証機能である顔認証「Face ID」や指紋認証「Touch ID」を活用することで、パスワード入力不要で利用できるようになります。これらはすでに、6月24日の機能提供開始時点から利用可能です。

iPhoneのマイナンバーカード独自の「属性証明機能」は、「券面記載情報を利用した本人確認機能」となります。マイナンバーカードの券面に記載されている氏名や生年月日、住所などの「券面記載情報」を相手方に送信して本人であることを証明する機能とされており、こちらは今後、デジタル庁が提供している「マイナンバーカード対面確認アプリ」のiOS版で読み取って本人確認が可能になるとのことです。2025年7月中の対応が予定されています。

これまで、マイナンバーカード対面確認アプリでは、マイナンバーカードの物理カードを読み取ることで本人確認が行えましたが、今後iPhoneのマイナンバーカードでも利用できるようになると、マイナンバーカードの物理カード不要で同様の本人確認が可能となります。

これら機能以外としては、「マイナ免許証」と「マイナ保険証」の活用が考えられます。筆者はもともとAndroidスマホで「Androidスマホ用電子証明書搭載サービス」を利用しており、運転免許証の登録も完了していました。このため、iPhoneのマイナポータルアプリでも免許証記載事項の確認をすることができましたが、まだiPhoneそのものが運転免許証代わりに利用できる「マイナ免許証」の実現までには時間がかかりそうです。デジタル庁が掲げる「デジタル社会の実現に向けた重点計画」において、モバイル運転免許証を「マイナンバーカードと運転免許証の一体化の運用開始後、極力早期に実現」するとされており、警察庁と連携して早期実現に向けて検討を進めているという段階です。

「マイナ保険証」については、マイナンバー機能を搭載したiPhoneおよびAndroidスマホの双方での実現を目指し、2025年7月から一部医療機関で実証実験を行った後、9月頃より環境の整った医療機関より正式な運用を開始する予定とされています。

なお、マイナンバーカードの電子証明書をスマートフォンに搭載する場合、1人につき1台のスマートフォンしか利用できず、複数のスマートフォンで同時に利用することはできません。筆者はもともとAndroidでマイナンバーカードの電子証明書を利用していましたが、今回iPhoneにマイナンバーカードを登録したことで、Android側のマイナンバー電子証明書機能は利用ができなくなりました。以上、ご参考までに。

 

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