山根康宏のワールドeSIMレポート
2023年12月18日

最新技術があつまるドバイの展示会でeSIMスマホを探す

毎年10月にアラブ首長国連邦(UAE)・ドバイで開催される「GITEX」は中東最大のIT関連展示会です。中東各国の技術力は日本やアメリカ、中国などに比べるとまだ数歩後を追いかけているのが現状です。しかしその代わりにオイルマネーを使って世界各国から最新の技術を輸入し、しかも率先して商用化を進めているのです。そんなドバイの展示会にもeSIMスマートフォンがいくつか展示されていました。

 

①AIロボットや空飛ぶタクシー

 

GITEXはIT製品やソリューションの総合展示会ですが、ここでも目立っているのは通信キャリア。UAE最大キャリアのEtisalat(e&)のブースは5G回線を使ってつながる様々な製品の展示が行われていました。SFの世界に出てきそうなAIで会話するロボットや、遠隔操作できるアームなど、ロボット関連の展示が目立っていたのも特徴です。

 

Engineered ArtsのAIロボット。顔の表情を動かしながらAIが会話する

 

遠隔操作できるロボットアームは産業用途に利用される

 

ブースの中央に置かれたのは大型の4人乗り小型飛行機。プロペラを使い垂直にも飛べ、さらに動力にはバッテリーを使う「eVTOL」と呼ばれる乗り物です。これはAutolightが開発した無人飛行タクシー。すでに中国でテスト中とのことで、ドバイでも数年以内に商用化されるでしょう。自動運転に対応しているのでパイロットも不要、タクシー感覚で空を飛ぶことができます。GITEXの会場にはこのように数年後に実用化されていそうな展示で溢れかえっていたのです。

 

ドバイでは数年内に空飛ぶタクシーで移動できるようになる

 

②中東でも人気のeSIMサービス「Airalo」

 

EtisalatのブースではeSIMを提供する「Airalo」が出展を行っていました。Airaloは全世界対応のグローバルプリペイドeSIMを販売しています。通信キャリアであるEtisalatのサービスとバッティングするようにも思いますが、Airaloのスタッフによると「ローミングサービスではカバーできないユーザーにもサービスを提供できる」とのことで、キャリアローミングとグローバルプリペイドの使い分けが賢い海外旅行、海外出張での使い方とか。

 

グローバルeSIMサービスのAiralo

 

AiraloのeSIMは渡航先の国別に「単一国」、アジアやヨーロッパなど複数国利用に便利な「リージョナル」、そして全世界330か国で使える「世界共通」と様々なサービスを提供しています。世界共通eSIMはまたデータだけに留まらず音声通話、SMSに対応した製品もあります。アメリカからヨーロッパへ、といった急な移動時にも対応できるのです。日本向けのeSIMもあるのでいざというときの緊急回線としても使えそうです。

 

AiraloのWEBにあるeSIM製品の紹介

 

③コンシューマー向けのキーボード付きeSIMスマホなど

 

ビジネス向け製品の展示が多いGITEXですが、コンシューマ向けのスマートフォンやタブレットの展示もいくつかありました。Planet Computersの「Astro Slide 5G」は今となっては珍しいスライドキーボード付きのスマートフォン。クラウドファンディングで予約を受け付け販売した製品で日本向けにも投入されていますが、新型コロナウイルスの影響で納期はかなり伸びてしまったようです。スタートアップの製品ですがしっかりとeSIMに対応しています。

 

スライド式のキーボード付きスマホ「Astro Slide 5G」

 

日本でも低価格スマートフォンやタブレットを販売しているOrbicは2024年発売予定の5Gタブレット2機種を参考展示。10型ディスプレイの「Orbic TAB10 5G」と8型ディスプレイの「Orbic TAB8 5G」で、どちらも画面サイズ以外は同等になる模様。詳細スペックは現時点ではまだ未定ですが、eSIMにも対応予定とのこと。タブレット単体で購入後も手軽にSIMを入れて単体通信できるようになります。

 

OrbicのeSIM対応5Gタブレットは2サイズ

 

他にも4G対応のスマートウォッチも展示していました。こちらも開発中でeSIMに対応。Orbicは現在アメリカを主力市場としていますが、今後各国に展開を進めていく予定で様々な製品が開発中です。これらの製品の日本投入も期待したいものです。

 

こちらも開発中のeSIM搭載LTEスマートウォッチ

 

ファーウェイのブースには18金を使ったラグジュアリーなスマートウォッチ「HUAWEI WATCH ULTIMATE DESIGN」が展示されていました。日本でも459,800円とかなり高価な製品です。ファーウェイはeSIM内蔵のスマートウォッチも海外でいくつか販売していますが、残念ながらこのモデルはBluetoothのみ搭載で単体通信は不可。ぜひとも次期モデルにはeSIMを搭載してほしいもの。

 

18金のHUAWEI WATCH ULTIMATE DESIGN

 

④eSIMと5G対応が進むエンタープライズ向けスマホ

 

GITEXの会場には実は多くのスマートフォンが展示されていましたが、そのほとんどが企業向けのもの。レストランなどで使われるリテール向けのハンディーターミナルや、倉庫などで在庫管理に使うモバイルコンピューター製品で、外観は普通のスマートフォンと変わりません。しかし本体上部にはハンディースキャナを内蔵、背面にはRFIDタグの読み取りリーダーを備えるなど、多数のセンサー類を搭載しており本体サイズはやや厚くなっています。また落下や衝撃に耐えられるようにタフなボディーの製品も大半です。

 

GITEX会場で多く見かけたエンタープライズ向けスマートフォン

 

これらのエンタープライズ向けスマートフォンも、2023年後半から5G対応の製品がかなり増えていました。たとえばこちらはUROVOの「DT51U 5G」。名前からわかるように5Gモデムを搭載しています。さらにeSIM対応の製品も増えていました。コンシューマー向けスマートフォンのeSIM対応は自在にSIMを切り替えできる点が利点です。一方エンタープライズ向け製品では高所から落下させてもSIMが本体から外れてしまわないことや、一括して通信回線のインストールが可能なことなどがメリットになるわけです。

 

5G対応のDT51U 5G

 

強固なボディーでも、物理SIMカードの場合は本体落下でSIMが外れる恐れがある

 

⑤eSIM対応ルーターが欲しい

 

GITEXでは5Gルーターも多数展示されていました。個人的にはこれらルーターもeSIMに対応してほしいと思います。最近ではvSIM(ヴァーチャルSIM)対応で世界各国で使えるモバイルルーターも数多く出ています。nano SIMカードスロットも備え、手持ちのSIMカードを入れて使うことも可能です。しかし自分がメインで使っているSIMをeSIMに切り替えている人も多くいるでしょう。さらにeSIMとvSIMが併用できればあらゆる国で最適の通信環境を使うことができます。

 

モバイルルーターはまだeSIM対応製品はほとんどない

 

数年後に製品化されれるであろう、自動車メーカーのコンセプトカーも5G対応、eSIM搭載となるのが当たり前になるでしょうね。GITEXは最新技術を通して未来の生活も見えてくる展示会でした。

 

コンセプトカーはEV+5G+eSIMが当たり前になる

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