山根康宏のワールドeSIMレポート
2025年2月24日

3日間200円台、韓国第四のeSIMをソウル仁川空港で購入してみた

韓国ソウルの仁川国際空港では到着ロビーに大手3キャリア、SKテレコム、KT、LG U+に加え、Wi-Fiルーターレンタルなどを行うDosirakuの店舗もありプリペイドのeSIMを現地ならではのリーズナブルな価格で販売しています。筆者も過去に3キャリアのプリペイドSIMを買ったことがあります。今回は日本で発売されたAndoridスマートフォンの最新モデル「Galaxy S25 Ultra」(ドコモ版)で、普段は買わないDosirkuのeSIMを空港で購入してみました。

ソウル仁川国際空港のeSIM販売状況

ソウル仁川国際空港でのeSIM購入体験は過去にも記事を書いています。販売場所が到着ロビーの左右両端になりやや不便になったものの、カウンターですぐに購入できる気軽さは世界の空港の中でもトップクラスに便利です。

ソウルで快適にスマホを使う。韓国3キャリアのeSIMを比較

現在のカウンターの状況は、SKテレコム、KT、LG U+そしてDosirakuの4社が並んでいます。3キャリアは料金表を大々的に出しており、旅行者向けにeSIMを積極的に販売。一方Dosirakuは見ていると韓国人の方がWi-Fiルーターを返却に来ている姿が多く、どちらかといえば自国民向けのサービスを中心に展開しているようです。

仁川国際空港到着ロビーの4社のプリペイドeSIM販売カウンター

Dosirakuのカウンターは淡々と作業を行っている感じで話しかけにくいのですが、「eSIMを買いたい」と英語で伝えると、全く問題なく対応してくれました。

200円台から買えるDosirakuのeSIM

しかし3キャリアのカウンターとは異なりDosirakuのeSIMは料金表の提示がありません。「何日ですか?」と聞かれたのですが、実は今回は2日のみ。「eSIMは3日間からなんですけど、料金を見ますか?」と、タブレットの画面で料金を見せてくれました。3キャリアとは異なりデータ定額ではなく、1日あたりのデータ容量が決まっており、それを3日間、という料金体系になっています。以下はデータ専用プランです。

500MB/日、3日間有効:2300ウォン(約240円)
1GB/日、3日間有効:2800ウォン(約290円)
2GB/日、3日間有効:5300ウォン(約560円)
3GB/日、3日間有効:7900ウォン(約830円)
100GB 3日間有効:9200ウォン(約960円)

毎日買い物や食事などに忙しくそれほどデータを使わないというのなら1日500MBプランでも十分でしょう。これならたったの240円で3日間過ごせます。なお1日500MBでは足りないと思うかもしれませんが、韓国はレストランやショッピングモールはほぼWi-Fiがありますし、ホテルに戻ればもちろんWi-Fiが使えます。またPC作業などが必要になったら休憩がてらカフェに行くのもいいでしょう。

一方で、大容量が必要ならば3日間100GBでも1000円弱です。5日間滞在するというのなら、それぞれのプランを2つ買えば3日+3日で6日使えます。

ちなみに大手キャリアの短期間プランを見ると、LG U+の場合は1日でも680円です。

データ定額 1日:6500ウォン(約680円)
データ定額 2日:12000ウォン(約1260円)
データ定額 3日:18000ウォン(約1890円)
データ定額 4日:23000ウォン(約2410円)
データ定額 5日:27500ウォン(約2880円)

これも十分安いのですが、週末韓国で3日滞在するとなると約2000円です。外出ほとんどWi-Fiを使わないならDosirakuのプランでも十分かもしれません。

身分証明書は不要、ByteSIMの中国移動香港回線

DosirakuのeSIMの購入は簡単でした。希望のプラン(今回は100GB 3日間)を伝えると、タブレットで作業を進めてくれます。途中でこちらのメールアドレスを入力し、あとはクレジットカードかデビットカードで料金を支払うのみ。なお現金は使えません。そしてeSIMもその場で発行して渡してくれるのではなく、メールで届きます。キャッシュレス&メール対応という省力工程で格安価格を実現できるのでしょう。

メールは料金を支払い後、すぐに届きます。メールの中にはeSIMのQRコードも表示されているのでとてもわかりやすいです。このメールはこの後のeSIMインストールのためにスクリーンショットを撮っておきます。

さてこれまでの記事ではiPhoneを使ってeSIMのインストールを行ないましたが、今回はAndroidです。とはいえ操作はあまり変わりません。空港の無料Wi-Fiに接続して作業を進めましょう。設定→接続→SIMマネージャーを開き、eSIMを追加をタップ。QRコードをスキャンをタップして、画面右下のギャラリーアイコンをタップ。

届いたQRコードからインストールに進む。QRコード読み込み画面では右下タップでギャラリーが開く

ギャラリーが開いたら先ほどのスクリーンショットを選び、QRコードを選択するだけです。指示に従って進むと「BillionConnectのeSIMを追加しますか?」と表示されます。Dosirakuは空港でeSIMを販売しているので韓国3キャリアのどこかの回線を売っているかと思ったのですが、どうやらeSIMプロバイダの製品を販売しているようです。

ギャラリーからQRコードを選んでインストール

この後の作業も指示に従って進めます。iPhoneより便利だなと感じたのは、インストールの過程でeSIMの名前を自分で入力でること。iPhoneは「旅行」など全く身に覚えのない名前が勝手につけられてしまうのでわかりにくいところです。またインストールの途中で「通話用優先SIM」「メッセージ(SMS)用優先SIM」「データ用有線SIM」も選べます。たとえばすでに日本のSIMカードが入っている状態でDosirakuのデータeSIMを追加した場合、「通話は日本のSIM、データはDosiraku」と設定しながら先に進めるのです。

なお念のため先に入れていた日本のSIMをオフにしたときにSIMマネージャーの画面を見ると、DosirakuのeSIMには「中国移動香港」とありました。BillionConnectもeSIMのプロバイダであり、利用している回線は香港の中国移動香港回線だったというわけです。ただし香港の回線を韓国で使いますからデータローミングはONにすべきですが、後で気が付いたのですがローミングOFFのままでもなぜかデータ通信が可能でした。

インストール中にeSIMの名前を設定、優先SIMも決められる。回線は中国移動香港だった

4Gと5Gで速度差は無し

さっそく仁川国際空港で速度をチェック。Wi-FiをOFFにするとアンテナピクトには5Gのマークも表示されます。しかしブラウザを開いてもインターネットにつながりません。そこでフライトモードをON・OFFすると、今度はつながりました。eSIMインストール直後は一旦オフラインにしてつなぎなおしたほうがいいでしょう。

スピードテストの結果は下りが12Mbps前後、上りも12Mbps前後。5Gなのに思ったほどの速度が出ません。そこで手動で4Gにして再テスト。すると下り12Mbps前後、上りも同等で、5Gと変わりません。価格が安いこともあり、通信速度制限をかけているような気がします。

仁川国際空港でテスト。5Gと4Gで速度の差はなかった

念のためソウルの街中に出ましたが、速度はあまり変わりません。

ホンデでテスト。速度は出ない

韓国3キャリアのプリペイドeSIMは、4G接続ながらSKテレコムでも30Mbps前後、LG U+は100Mbps前後でます。それに比べるとDosirakuのeSIMは物足りなさを感じました。とはいえ動画が動かないといったことはなく、一般的な使い方をするなら十分かもしれません。

カンナムでのテスト

リーズナブルな現地eSIMとして有用か

DosirakuのeSIMは大手3キャリアと比べても安く、またオンラインで買えるeSIMプロバイダの製品と比べてもリーズナブルな製品だと思います。速度は出ませんが遅いというわけでもなく、SNSや動画視聴などに使うなら十分です。また有効期限は3日ですが、3日以上滞在するときは複数購入して3日おきに開通作業をおこなえばいいのです。PCでの大量のファイル送信には向かないものの、そのような作業はカフェのWi-Fiで行うと割り切ればいいでしょう。

韓国で低価格で使えるeSIMとして、DosirakuのeSIMは意外と使える製品と感じました。

 

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