山根康宏のワールドeSIMレポート
2024年7月19日

日本語で購入できるTrifaのアジア周遊eSIMを中国、韓国で使ってみた

eSIMの普及によって、物理的なSIMカードをショップ店頭や郵送で受け取る必要が無くなり、オンラインでいつでも購入できるようになりました。今では多数のeSIMプロバイダがeSIMを販売しています。eSIMは各国向けに様々な製品が販売されていますが、特定の地域で使える周遊タイプ(地域タイプ)のeSIMも人気があります。今回はTrifaのeSIMを使ってみました。なおスマートフォンは日本販売のiPhone 12 miniです。

周遊タイプのeSIMなら乗り継ぎ便での海外渡航時も便利

海外旅行や出張に行く場合、複数の国に立ち寄ることも多いでしょう。あるいは直行便ではなく乗り継ぎ便を使い、長時間のトランジット時間中に市内に出て軽く観光するケースもあるでしょう。たとえば羽田からパリに飛んで現地で商談、そのあとイタリアへ飛んで観光し、最後はポルトガルに立ち寄ってから帰国する、といったパターンです。このような場合、ヨーロッパ周遊タイプのeSIMを購入すれば、各国のeSIMを用意したり切り替える必要もありません。本連載でも過去にヨーロッパ向けのeSIMのレビューを行いました。

 

「VOYAGEESIM for Europe」でヨーロッパ旅行も快適5G通信が可能だった

海外対応国の多いソラコムeSIMをヨーロッパで使ってみた

今回はアジアの周遊タイプのeSIMを購入してみました。「東京から上海往復を購入、行きは直行便、帰路は上海→ソウルでトランジット→東京」というイメージです。他にも「日本→マレーシア→シンガポール」や、「日本→台北→バンコク」などなど、アジア各都市へ行くときに一旦別の都市で乗り継ぐケースはよくあります。

「アジア」「eSIM」といったワードで検索すれば、オンラインで買えるeSIMは多数見つかります。その中から今回はTrifaのeSIMを購入してみました。WEBページもアプリも日本語に対応しており、日本人でも安心して購入することができるでしょう。

 

日本語に対応しているTrifa

Trifaは国別のeSIMも販売していますが、今回は前述したようにアジア周遊プランを使ってみることにします。アジア周遊プランの料金をざっくりと調べてみると、

対応国:中国、香港、インドネシア、カンボジア、韓国、マカオ、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、台湾、ベトナム

データ容量:1GB / 3GB / 5GB / 10GB / 30GB / 50GB

有効期間:7日間 / 15日間 / 31日間 / 60日間

と、12か国でそのまま使うことができます。容量は1GBと低容量から選べますし、期間は最長60日と長期利用も可能。それぞれの容量と有効期間を組み合わせて選ぶことができるのです。複数の国を周遊するeSIMとしては使いやすいのではないでしょうか。

アプリからTrifaのeSIMを購入

ではアプリをインストールして購入してみます。スマートフォンはWi-Fiに接続しておきます。インストール後に「人気の国」「地域別」「複数国」とあるので、複数国をタップして「アジア周遊」を選びます。そして料金を選ぶと思いきや、データ通信プラン診断という画面に変わりました。続けると滞在日数や利用シーンを聞かれます。

 

アプリからプランを選ぶと、データ通信プラン診断画面になる

このデータ通信診断プラン、目的の料金プランが決まっている人には不要かもしれませんが、まだ海外通信に慣れていない人にはざっくりとお勧めの料金パターンを示してくれるので便利なアシスタント機能と言えるでしょう。診断が終わるとお勧めプランが出てきますが、画面を左右にスクロールさせれば他の料金も出てくるので最終的には好きなプランを選ぶことができます。そしてプランを決めたら「ログインして決済へ進む」をタップ。ユーザー登録していない場合は、ここで登録が必要です。

 

診断結果以外のプランも選べる。ユーザー登録は必須

今回は短期利用ということで3GB / 7日間を選択。料金は2040円でした。ログイン後、購入するeSIMを確認したらクレジットカードで払います。なおクレジットカードもアプリに登録が必要です。カードを登録して支払いが済めば購入が完了します。

 

購入するeSIMを確認、クレジットカードを登録して購入する

購入完了後はアプリ画面の一番下にある「マイeSIM」をタップ。すると購入したeSIMが表示されます。このeSIMをタップするとeSIMのインストール画面へと進みます。①②③と手順がありますが、香港と台湾で使う場合は②の実名認証としてパスポートなどによる本人認証が必要です。今回はソウルと上海なのでここはスキップできます。まずは①をタップ、次の画面で「eSIMの設定をする」をタップします。

 

マイeSIMからeSIMを選び、インストールへと進む

インストール方法の選択画面が出るので「ワンタップで設定する」をタップ、次の画面ではインストール方法のPDFをダウンロードできますが、他のスマートフォンやPCで閲覧する必要があることや、その後の手順はそれほど難しくないので先に進んで問題ありません。このワンタップで設定するを選択すると、QRコードを使わずアプリから直接eSIMをインストールできるからです。次の画面で「eSIMをインストール」をタップします。

 

eSIMをワンタップでインストールできる

「eSIMをインストール」をタップするとスマートフォンの「設定」画面の「モバイル通信」画面に自動的に切り替わり、「新規eSIMをアクティベート…」の表示が出るので「許可」をタップします。あとは手順に従うとeSIMがインストールされます。途中で「CMLinkからの新規eSIMを…」という表示がありますが、このCMLinkは香港のMVNOキャリア。そのため中国でも海外SNSを使うことが可能です。インストール終了後は「旅行」などの名前でこのeSIMがインストールされているはずです。名前がわかりにくいので、「trifa」と購入元のeSIMプロバイダの名前に変更しておくことをお勧めします。最後にこのeSIMをタップして、データローミングをONにして、Wi-FiをOFFにすればアンテナピクトの横に「4G」または「5G」の表示がされ、データ通信が開始されます。

 

自動的に設定画面に切り替わり、eSIMがインストールされる。データローミングはONにする

改めてアプリ画面下部の「マイeSIM」をタップすると、eSIMの画面左上が「利用中」となり使用が開始されたことがわかります。そしてeSIMをタップすると利用状況としてデータ通信残量が表示されるのもわかりやすいところです。なお残量の残りがゼロになりそうになったら、「ギガを追加で購入する」をタップすると、追加で買えるプランが表示されます。海外で最初のプランを使い切ってしまっても、追加購入でスマートフォンを使い続けることができるわけです。

 

アプリから残りのギガ数が確認できる。ギガの追加購入も簡単

上海で100Mbps通信が可能

では最初に上海で使ってみました。まずは繁華街の南京東路。下り、上りとも100Mbps弱といったところ。十分快適です。なおアンテナピクトは5Gの表示で、実際に5G通信ができています。

 

南京東路で100Mbps弱を記録

上海浦東空港からリニアに乗って市内の龍山路駅で下車。同駅ホームでは下りが100Mbps弱、上りが50Mbps弱。これもストレスなくネットにアクセスできる速度といえます。

 

リニアを降りた駅での通信速度

帰りの上海浦東空港では下りが150Mbps前後とかなり高速でした。空港にもWi-FiがありますがインスタやLineを使うには別途VPN接続が必要ですから、eSIMがあると快適です。一方上りは15Mbps弱とだいぶ遅いようです。

 

上海浦東空港ではかなり快適だった

ソウルでも5G接続で快適

上海浦東空港からソウルに飛び立ちました。複数国対応のeSIMならば機内に乗り込んでぎりぎりまで使えることはもちろん、目的地に着陸してスマートフォンの利用が可能とのアナウンス後、機内からすぐに利用することができます。

 

周遊タイプのeSIMは目的地に到着後も機内からすぐに使える

ソウルの仁川空港到着後、さっそく使ってみたところ下りは100Mbps超えでこれまたストレスなく通信ができました。また5Gの電波をつかんでおり、韓国で購入できる現地のeSIMが4Gしか使えないことを考えるとこのeSIMは優秀だと言えます。ところが上り速度は何度やっても数Mbps程度とかなり遅く、このあたりは空港でのネットワークを下り優先にしているのかもしれません。

なお仁川空港は空港内にWi-Fiも飛んでいるのでeSIMを使う必要はないかもしれません。しかしフライトが遅延して市内のホテルに泊まる必要が出るケースもあるかもしれませんから、乗り継ぎ地でもeSIMが使えるとなにかと安心できます。

 

ソウル仁川空港では上りが低速だった

日本からのローミングとの比較とまとめ

日本の国際ローミングサービスも複数国対応のものが増えています。ドコモの世界そのままギガは1日単位で日本で契約しているデータ容量を使えるので、海外で「ギガ不足」に悩む心配が少なく済みます。今回購入したTrifaの7GB / 3日間2040円と比較すると、世界そのままギガは3日間で2480円。ドコモのほうが若干高い反面、日本でのデータ容量が余っていれば海外では「ギガ数」を気にせず使えます。一方で日本であまりデータ容量が残っていない場合は、海外用にTrifaのeSIMを買うのも良さそうです。

海外でも使える日本の契約としても知られるahamoは20GBを15日間使え、基本料金は2970円です。こちらはたとえば日本で15GBを使っていれば、残りの5GBを海外で利用できます。とはいえこれも日本でのデータ残量が少ない場合、海外で使う分が減ってしまいます。Trifaの料金プランはうまく組み合わせればリーズナブルなので、日本でのデータの利用量に合わせ、Trifaの併用が勧められるでしょう。

そしてもちろん、海外で使えないMVNOキャリアを使っている人や、海外では1日単位(約3000円)のローミングサービスしか提供していないMVNOを使っている人に、Trifaのような海外用eSIMの利用はお勧めだと言えます。

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