山根康宏のワールドeSIMレポート
2023年10月5日

「VOYAGEESIM for Europe」でヨーロッパ旅行も快適5G通信が可能だった

株式会社ティーガイアの提供する「VOYAGEESIM」(ヴォヤージーシム)は、2023年2月に韓国使い放題の「VOYAGEESIM for Korea」を発売後、ヨーロッパや東南アジア向けなど様々なeSIMを販売しています。

ティーガイアが韓国渡航者向けデータ無制限「eSIM」の提供開始
https://esim.love/blog/2023/05/25/269/

今回は2023年9月にヨーロッパ3か国(ドイツ、スペイン、イギリスと)を回ったので、ヨーロッパ向けのeSIM「VOYAGEESIM for Europe」を使ってみました。

 

①「VOYAGEESIM for Europe」の概要

VOYAGEESIM for Europeは以下のサイトから購入できます。
https://voyageesim.com/pages/voyageesim-for-europetop

 

 

VOYAGEESIM for Europe販売ページ

 

VOYAGEESIM for Europeはヨーロッパ42か国で使用できます。対応となるのは以下の国です。

アイスランド、アイルランド、アルバニア、アンドラ、イギリス、イタリア、エストニア、オーストリア、オランダ、キプロス、ギリシャ、クロアチア、ジブラルタル、スイス、スウェーデン、スペイン、スロバキア、スロベニア、セルビア、チェコ、デンマーク、ドイツ、トルコ、ノルウェー、ハンガリー、フィンランド、フェロー諸島、フランス、ブルガリア、ベルギー、ポーランド、ポルトガル、マケドニア、マルタ、モナコ、モルドバ、モンテネグロ、ラトビア、リトアニア、リヒテンシュタイン、ルーマニア、ルクセンブルク

日本人の良く行く渡航先はカバーされていると言えるでしょう。料金は4プランありますが延長はできず、残量が無くなったり、有効期限が来た際は改めてプランを買う必要があります。また連休などに合わせて割引キャンペーンも行っているので、お得に購入することもできるようです。筆者も9月上旬に割引価格で購入しました。

・5GB 10日間 2800円
・10GB 15日間 4800円
・20GB 30日間 7900円
・50GB 60日間 17800円

 

VOYAGEESIM for Europeの4つの料金プラン

VOYAGEESIM for Europeの購入はスマートフォンからも行えます。ただしメールで届くQRコードはスマートフォンから直接読み込めませんから、eSIMをインストールするときはもう1台別のスマートフォンやPCが必要です。今回はiPhone 12 miniからVOYAGEESIM for Europeの10GB、15日間、4800円を購入しました。なおキャンペーンでクーポンコードを入れたので途中から割引料金が表示されます。

 

iPhoneから購入を進める

購入が終わればeSIMのQRコードをすぐに表示できます。またメールでもQRコードは届きます。なお購入したのは2023年9月10日で、有効期限(開通期限)は2024年4月4日と表示されました。つまり6カ月+25日間の間に使い始めることができます。

 

購入後の画面で「注文(QR)を表示する」をタップするとQRコードが表示される

QRコードからiPhoneへのeSIMの導入は、過去の記事を参照してください。

シンガポールの空港でeSIM購入は注意、日本からの国際ローミングが手軽
https://esim.love/blog/2023/07/12/668/

eSIM導入後はわかりやすい名前に変えておくといいと思います。「副回線」や「個人」では複数のeSIMが入っているときなど、どれが何のSIMなのかわからなくなってしまうからです。ちなみにVOYAGEESIM for Europeの登録が終わると「vf nlのeSIMが有効になりました」と表示が出ます。vfはVodafone、nlはNetherland、すなわちこのeSIMはボーダフォンオランダの国際ローミング対応のSIMがベースになっていることがわかります。そして使う前にはローミングを必ずONにしてください。ここがOFFのままでは使えません。

 

eSIM登録後は名前を変えておく(今回はVOYAGEESIMにした)。ローミングはONにする

②ドイツ・ミュンヘンで使ってみた

今回はドイツ・ミュンヘンのホテルでVOYAGEESIM for Europeを購入しました。設定終了後にiPhone 12 mini日本版のWi-Fiをオフにすると、すぐに電波をつかんでくれます。アンテナピクトを見ると「5G」の表記があり、高速な5Gネットワークにつながっていることがわかりました。VOYAGEESIM for Europeはヨーロッパのいくつかの国で5Gサービスも利用できるのです。

さっそくミュンヘンの繁華街を歩き回ってみたのですが、地上はほぼ5Gでつながっておりなかなか快適です。ミュンヘンの観光名所、マリエン広場では下り300Mbpsを超えました。数か所で速度テストしたところ、速度は200から350Mbpsといったところ。一方下りは10-20Mbpsと、だいぶ速度は押さえられています。

 

マリエン広場で334Mbps

VOYAGEESIM for Europeにはアプリがありません。どれくらいデータ残量を使ったかを確認したいときは、電話アプリで「*300##」に発信します。するとすぐに画面上に残量が表示されます。なおVOYAGEESIM for Europeの有効期限は24時間単位で計算されます。たとえば9月1日の14:25に使用を開始した場合、10日間SIMなら9月10日の14:25までが使用期限となります。

 

*300##発信でデータ残量がわかる。残日数は時間ではなく日数表示

地下鉄の中で速度テストするのを忘れてしまいましたが、4G接続で特にストレスも無くつながったことから十分実用的な速度で利用できます。

 

ミュンヘン中央駅の地下鉄ホーム

③スペイン・バルセロナでテスト

ミュンヘンからバルセロナに到着後、iPhone 12 miniの電源を入れるとここでもすぐに電波を拾ってくれました。国をまたいでもSIMカードの交換などをしなくていいのはとても便利。しかもバルセロナでも5Gの表示となりました。ミュンヘンに続きこちらでも快適な通信速度で利用できます。

 

バルセロナ到着後もそのままつかえる

バルセロナと言えばサグラダファミリア。完成がいつになるかわからな建物ですが、訪問のたびに外観が変わっているのでバルセロナを訪れたときは必ず立ち寄るようにしています。速度を測定したところ下りは337Mbpsと5Gで快適な速度です。上りも33.9Mpbsとまあまあの速度。またバルセロナの他の市内で測定したところ、5G接続時は下りが250-350Mbps、上りが30-45Mbpsでした。

 

サグラダファミリアでも5G接続

バルセロナは地下鉄車内でも測定してみました。4G接続となり下りが20Mpbs台、上りは0.5Mpbs台でした。おそらくミュンヘンでも同等の速度だったと思われます。

 

バルセロナの地下鉄では4G接続

④イギリス・ロンドンでも快適接続

3都市目はロンドンを訪れました。ロンドンも同様に5Gの電波をつかみました。なお3か国とも接続キャリアを調べたところボーダフォンドイツ、ボーダフォンスペイン、ボーダフォンイギリスで、同じボーダフォングループのネットワークに優先的につながります。

 

今回はガトウィック空港からロンドン市内へはいった

さてロンドンではあまり時間が無く、きちんと速度を計れたのはビクトリア駅の構内。速度は下り320Mbps、上り49.9Mbps。3か国回ってどの都市でも300Mbpsが出るとはVOYAGEESIM for Europeはなかなか優れたSIMと言えるのではないでしょうか。

 

ロンドン・ビクトリア駅でテスト

最後にオマケとして、帰りの飛行機の機内からテスト。ロンドンのヒースロー空港でキャセイパシフィック航空の香港行きに搭乗した直後に機内から速度を計りました。さすがに電波の飛びの悪い場所なので高速通信は期待できませんが、それでも30Mbpsでつながりました。

 

帰りの機内、搭乗直後にテスト

⑤日本からのローミングとの比較

日本のキャリアのローミング料金と比較してみます。ドコモの「世界そのままギガ」は1日単位で自分のデータ通信利用分を海外で利用できます。1日単位で細かく購入できる点は便利ですが、月末などで「ギガ」が足りない場合は海外での利用に不安が残ります。VOYAGEESIM for Europeは10日、15日、30日、60日というおおざっぱな利用期間で、利用できるギガ数も決まっています。とはいえ世界そのままギガは10日間で10日間で7580円、15日間で11280円。データ通信を軽く使う程度なら、VOYAGEESIM for Europeの10日間2800円は安く感じられます。

またahamoは20GBをまるまる海外で使えますが、その分日本で使う量が減ってしまいます。ahamoユーザーの人はahamoをヨーロッパで使いつつ、利用データを見ながら追加でVOYAGEESIM for Europeを買う、というのもありかもしれません。

⑥まとめ。複数国周遊のライトユースに便利

前述したようにデータを思いっきり使うのであれば日本のキャリアのローミングサービスもいいでしょうが、VOYAGEESIM for Europeは毎日SNSに写真をアップしたり地図検索する、といったライトな使い方なら十分対応できそうです。また日本でMVNOキャリアを使っておりローミングサービスが無い場合は有用なヨーロッパ旅行向けのeSIMと言えるでしょう。

MVNOキャリア利用者で海外一か国だけを訪問する場合も、ドイツは外国人向けのプリペイドSIMが販売されているにも関わらず、キャリア店舗を訪れても販売してくれない、という経験を筆者は何度も受けています。VOYAGEESIM for Europeのように手軽に買えるeSIMは、ヨーロッパ渡航時に選択肢の一つに入れておくといいかもしれません。

 

ヨーロッパでライトユースな使い方にお勧めできそう

最新の投稿

連載特集

  • 木暮祐一のeSIM奮闘記
  • 山根康宏のワールドeSIMレポート

タグ