ドバイのeSIMはオンラインで買える5G対応eSIMが国内キャリアより安かった
ドバイ(UAE、アラブ首長国連邦)のeSIM状況については2023年12月にレポートしましたが、2024年5月に再訪してようやく購入することができました。とはいえ今回は現地の回線を海外eSIM販売サイトで購入、現地よりも安い価格で買うことができました。なおスマートフォンは日本販売のiPhone 12 miniでテストしました。
ドバイ空港のeSIM最新情報(2024年5月)
まずは2024年5月にドバイを再訪した時の最新状況を報告します。2023年12月の記事では空港で販売している3キャリアのeSIMは以下の状況でした。
・Etisalat(e&):プリペイドeSIMそのもののが販売されていない
・du:空港ではプリペイドeSIMは在庫なし
・Virgin Mobile:空港の店舗は高値のeSIMのみを販売
参考までに前回の記事はこちら。
2024年5月の再訪時には多少改善されており、このようになっていました。
・Etisalat(e&):空港でもプリペイドeSIMを販売
・du:空港ではプリペイドeSIMは在庫なし(前回と変わらず)
・Virgin Mobile:空港の店舗は高値のeSIMのみを販売(前回と変わらず)
Etisalat(e&)がついにプリペイドのeSIM販売を開始しており、空港で購入できるようになっていました。UAE最大キャリアだけに電波状況もいいでしょうし、購入するならこれ1択とも言える状況です。とはいえ前回の記事で紹介したように、UAEキャリアのプリペイドeSIMの価格は安くはありません。
以下にざっくりと料金表を掲げますが、旅行者向けの「Visitor Line」プランの一番安いものは、1GB / 7日間で47.61ディルハム(約2000円)。3GB+SNS 2GB(Facebookなどの利用分) / 30日で150ディルハム(約4600円)。使い勝手の良さそうなそれ以上のプランはさらに高く、1万円程度します。ドバイに短期滞在するには現地キャリアのeSIMはコスパが悪そうです。
5G対応のeSIMを発見して購入
こうなると日本キャリアのローミングできるサービス(ahamoやドコモ)を使ったほうが割安でしょう。そこで今回もそうしようと考えたのですが、ドバイのことを検索しているうちに「MobiMatter」というeSIMプロバイダが広告に出てきました。試しにアクセスしてみると国一覧がでてきて、そこからUAE(United Arab Emirates)を選ぶとドバイで使えるeSIMが表示されました。
さてここで注目したいのは、「Duai」と書かれたドバイ用のeSIMに「5G」の表記があることです。一般的にこの手のeSIMプロバイダの扱っている世界各国のeSIMは、Vodafoneなど大手キャリアのローミングサービスの再販であることが多く、5Gには非対応、4Gのみ対応のものが大半です。しかしMobiMatterは5Gの表記のあるeSIMも販売しています。これは恐らく他国の回線のローミングサービスではなく、UAE / ドバイの現地キャリアの回線と思われるのです。ローミング回線が悪いということはありませんが、速度に規制があったり、現地でつながりにくいケースもたまにあります。MobiMatterのドバイ向け5GのeSIMはその点安心できるだろうということで購入してみました。
このMobiMatterのドバイ向け5G eSIMは「eSIM Go」というプロバイダが提供しているようです。料金は以下の通り。参考までに、Etisalat(e&)の類似の料金を<>内に日本円換算で記載します。
・1GB / 7日間:3.99ドル(約630円)- <e& 約2040円>
・2GB / 15日間:4.99ドル(約790円)- <e& 約4300円>
・3GB / 30日間:7.99ドル(約1260円)
・5GB / 30日間:10.99ドル(約1730円)- <e& 約6420円>
・10GB / 30日間:17.99ドル(約2830円)
・20GB / 30日間:29.99ドル(約4720円)
・50GB / 30日間:67.99ドル(約1万700円)
Etisalat(e&)の大容量が15GB、30GBになるので比較できていませんが、5GBで比べてもMobiMatterは半額以下です。MobiMatterの料金は全体的にリーズナブルと思え、しかも5G対応というのならばUAEの国内キャリアのeSIMを買う必要性は少ないかもしれません。
アプリでMobiMatterのeSIMを購入
MobiMatterのeSIMはアプリから買うのが手軽です。MobiMatterのアプリをインストールしてから作業を続けます。アプリをインストール後はWi-Fiに接続して進めていきます。アプリの最初でまずはユーザー登録が必要です。登録後、自分の購入したeSIMのデータ残理確認など管理もできます。
登録が完了したら、まずはアプリの検索ウィンドウに「United」と入力すれば「United Arab Emirates」と出てくるので選択します。するとUAEで使えるeSIMがずらりと表示されます。ドバイ用、UAE用、中東用、グローバル用などいくつかの種類があり、価格もまちまちです。今回は先に説明したように5G表記のあるeSIM Goの製品を選びます。
今回は10GB / 30日を選択します。「Buy Now」をタップして次の画面に進むと割引の表示が行われました。リワードプログラムに参加するとより多くの割引が受けられるようですが、次回も使うかどうかわかりませんし今回はその場で3%の割引をタップします。画面下の「Proceed」をタップ、次の画面では名前(英語)とメールアドレスを入力し、「Proceed」をタップします。
次の画面では支払いになるので、好みの方法を選びます。支払が終わればすぐにQRコードが表示されました。画面をスクロールするとeSIMの手入力情報も表示されます。ここまで購入は比較的楽に行えると感じました。
あとはこのQRコードを使ってeSIMをインストールします。インストール方法は過去の記事を参照してください。インストール中に「BICSのeSIMが有効になりました」と表示されます。UAEのMNOキャリアであればEtisalatまたはduのeSIMとなるはずですが、そうではありませんでした。しかしeSIMインストール後、設定画面でわかりやすいように今回のeSIMの名前を「eSIMGo」に変更し、Wi-Fiをオフにしたところ、データローミングがOFFのままでもデータ通信が可能でした。つまりeSIM GoはUAEのキャリアの回線を現地のMVNOのように直接使っているようです。接続されている回線はduでした。
4G接続ながらも高速な使い勝手
さてこのeSIMは5Gに対応しているということで通信速度がかなり高速になることが期待できます。しかし結果から言えば、ドバイの主要エリアを移動してみたものの、5Gにはつながりませんでした。ドバイ空港、ゴールドスーク、ドバイモール、パール・ジュメイラ近辺、EXPO2022など、いずれの場所でも4G止まり。とはいえ完投の写真にあるように、一部のエリアでは下り速度が100Mbpsと高速で快適にスマートフォンを使うことができました。
一方でショッピングモールの中や、街の大半のエリアでは15Mbpsから40Mbps程度。これでも遅いわけではなく動画のストリーミングも視聴でき、十分使い物になる速度でした。
アプリではデータの残量もリアルタイムに反映されていました。「My eSIMs」でスマートフォンにインストールされているMobiMatterのeSIMが表示されるので、タップすれば有効期限と共にデータ残量が表示されます。なおデータ残量を最新のものにするには「Back」をタップして一旦eSIM一覧画面に戻ってから、再びeSIMをタップします。
ドバイ移動の要となるメトロの地下区間でもしっかりとつながっており、今回買ったMobiMatterのeSIMはコスパも良く次回のドバイでは再び購入しようと思わせてくれました。
日本からのローミングとの比較とまとめ
前回の記事では「ドバイ(UAE)のeSIMは高い」と、duの料金を紹介しました。今回のMobiMatterのeSIMは1GB / 7日で約630円と低価格から購入できます。そのため日本のローミングよりもお得感が強いです。
たとえばドコモの世界そのままギガをドバイで使うと24時間ごとに980円。5日滞在なら約5000円で、MobiMatterの20GB / 30日 約4720円より高くなります。またahamoは2970円の基本料金で最大20GBを使えますが、日本でもある程度使っていれば海外での利用分は減ってしまいます。MobiMatterは10GB / 30日 約2830円なので、動画を大量に視聴しないのであればahamoより便利かもしれません。
ドバイ(UAE)や中東はグローバル対応のeSIMでも料金は高めのものが多くみられます。ローミングではなく現地回線を直接使う、MobiMatterのeSIM Goの料金はドバイでかなり使えるeSIMだと実感しました。UAEの他の都市、アブダビなどでは使えないようですが、ドバイに行くのであれば最有力候補のeSIMと言えるでしょう。
香港在住の携帯電話研究家。海外(特に中国)のスマートフォンや通信事情に精通。IoT、スマートシティー、MaaS、インダストリアルデザインなど活動の幅は広い。最新機種のみならずジャンク品から百万円のラグジュアリーモデルまであらゆる携帯電話・スマートフォンを購入する収集家でもあり、その数はまもなく1800台に達する。