eSIM Beginner
2023年11月28日

アプリから簡単インストール、マレーシアでeSIMを試す(シンガポール情報追記)

マレーシアは大手キャリアが比較的低価格なプリペイドSIMカードを販売していますが、旅行者でも買えるeSIMの選択肢は実はあまりありません。今回は首都クアラルンプールでeSIMを購入してみました。テストに使用したのは日本で購入したiPhone 12 mini。またマレーシアの隣国、シンガポールのeSIMがより買いやすくなったのでその情報も簡単に書いておきます。

①シンガポールのeSIMが簡単に買える

今回はマレーシアのeSIM体験記を書きますが、先に隣国シンガポールのeSIM最新事情を簡単に書いておきます。シンガポールのeSIM事情は2023年7月に書きましたが「空港での購入はイマイチ」「市内で購入」という情況でした。ところが最近大きく改善されたのです。

シンガポールの空港でeSIM購入は注意、日本からの国際ローミングが手軽
https://esim.love/blog/2023/07/12/668/

シンガポール最大手キャリアのSingtelが現在はオンラインでeSIMを販売しています。詳細はまたいずれ記事にする予定ですが、シンガポールへ行く予定の方はSingtelのWEBサイトをぜひ確認してください。

https://www.singtel.com/personal/products-services/mobile/prepaid-plans/hi-tourist

 

SingtelがオンラインでeSIM販売を始めている

②マレーシアのeSIM事情

マレーシアには大手キャリアが複数あります。クアラルンプール空港のターミナル1に降り立つと、イミグレーションの手前の制限エリア内にも各社がカウンターを並べています。入国後に荷物を受け取り到着ロビーに出ると、出口を背に左側にキャリアカウンターが並んでいます。最大手のMaxisはhotlinkというブランドでプリペイドSIMカードを販売、またそれを追いかけるCelecom、Digiは2023年頭に合併しており、空港ではCelcomの看板の店舗でDigiのプリペイドSIMカードを販売していました。他には後発のU-Mobile、MVNOのTune Talkも店舗を出しています。

 

クアラルンプールターミナル1、到着ロビーのプリペイドSIMカード販売コーナー

しかしこれらのキャリアはプリペイドのeSIMを扱っていません。2023年10月末時点でマレーシアで買えるeSIMはYesブランドで展開しているYTLの製品みとなります。ちなみにYTLは2010年にWiMAX方式で市場に参入しました。その後LTEへと方向転換し、今は5Gもサービスしています。利用可能エリアは他のキャリアよりやや狭く、日本でいうと楽天モバイルのようなイメージかもしれません。しかしクアラルンプールを訪れるのであれば主要エリアはほぼカバーされています。

Yesはクアラルンプール空港に店舗を構えていません。そのため空港鉄道のKLIAエクスプレスまたはKLIAトランジットに乗ってクアラルンプールセントラル駅まで出て、同駅にあるYesの店舗でeSIMを購入することになります。ちなみにKLIAエクスプレス車内にはYesの無料Wi-Fiが飛んでおり速度も高速。セントラル駅までは車内のWi-Fiを使うことができます。

 

KLIAエクスプレスはYesが無料Wi-Fiを提供

 

③クアラルンプールセントラル駅でeSIMを購入

クアラルンプールセントラル駅に到着後、中央コンコースに向かいます。ここは都市交通など他の鉄道も集まる要所であり、ファーストフード店なども多数並びます。早朝到着したときもここで朝食を取ることができるでしょう。さてYesのお店はコンコースの端の方、バーガーキングのお店のすぐ先の角にあります。

 

クアラルンプールセントラル駅コンコース。バーガーキングを目指そう

 

バーガーキングのすぐ先の角に、Yesの小型店舗があります。場所柄観光客で混んでいることもあるのですが、整理券などは配られていないようで、スタッフに自分の存在をアピールしつつ、順番を待つことにしましょう。

 

Yesの店舗入り口

Yesのプランはシンプルに2つのみ。
・15リンギット(約500円)/30日:10GB
・30リンギット(約1000円)/30日:データ定額(テザリング12GB)

ここは迷わず30リンギットのプランでいいと思います。購入にはパスポートを提示して登録が必要。クレジットカードで支払ができます。支払が完了したらあとはスタッフが作業を行ってくれます。まずスマートフォンを無料Wi-Fiに接続してYesのアプリをインストール。続けてeSIMの電話番号などを登録。アプリを起動したらあとはここから自分のアカウント情報を確認できます。

 

 

アプリをインストール

 

さてアプリの起動画面の下に注目です。ここに「eSIM」「Install」の表示が見えます。YesのeSIMはQRコードを読み取るのではなく、アプリから直接インストールが可能なわけです。なおスタッフによると他のeSIM対応スマートフォンを使いたい場合は、今使っているスマートフォンのeSIMを削除後、別のスマートフォンにYesのアプリを入れてログイン、そこからeSIMをインストールすることができるとのこと。今回はテストしませんでしたがいずれやってみようと思います。

 

アプリの起動画面。下の方にeSIMのインストールボタンがある

eSIMをインストール後、スマートフォンのWi-FiをOFFにすればアンテナピクトの横に5Gの表記が出るはずです。

 

無事5Gに接続。SIMの名前は後から変えておいた方がいいだろう

④YesのeSIMの使い勝手

さっそくYesの店舗で速度を計ってみましたが、平均して下り500Mbps前後、上りは90Mbps前後と言ったところで快適です。テザリングでも同速度が出るので使い勝手は高いでしょう。ただしテザリングは12GBの上限があるため、複数端末を持っている場合は別途15リンギットのeSIMを買って入れるのもいいかもしれません。

 

クアラルンプールセントラル駅での速度

繁華街の屋外やショッピングモールも速度が落ちても100Mbps程度など、かなり快適に使えると感じました。一方で地下鉄車内などでは4G接続でかなり速度も落ちることもありました。なお今回帰国時はクアラルンプール空港のLCCターミナル、ターミナル2を使いましたが、ここでは電波の入りはかなり悪く、搭乗口付近では電波無し。空港は無料Wi-Fiがあるから困りませんが、やはりYesのカバレッジはやや弱いのかもしれません。とはいえ観光で滞在する分には十分使えるレベルです。

 

繁華街での電波は良好、地下鉄などはやや弱い

⑤日本からのローミングとの比較

YesのeSIMは約1000円でデータ定額ですから、日本のローミングを使う必要はほぼ無いと言えるかもしれません。ドコモの世界どこでもギガは24時間で980円ですから、30日定額のYesのほうがお得です。またahamoなら20GBまで海外で使えますが、もしもマレーシア滞在が15日以上だったり、他の国を周遊して15日以上過ぎるような場合は低速になってしまいます。日本のキャリアのローミングはローミング先のキャリアがMaxisなど大手なのでカバレッジが広く、クアラルンプール以外の都市も訪れるのであればYesのeSIMと「併用」するのがよさそうです。

⑥まとめ。エリアはやや弱いが安さと速度は魅力

クアラルンプールの今回の滞在は繁華街が中心であり、また車で1時間程度のちょっと離れたショッピングモールにも行きましたがそこでもYesの回線を普通に使うことができました。観光で訪問する分にはYesのeSIMでも問題は無さそうで、不安であれば日本のローミングの併用よりも、Maxisなど他社のプリペイドSIMカードを買うのがいいと思われます。滞在がやや長期でも安心なYesのeSIM、マレーシア渡航を考えている人はぜひ検討に入れてみてください。

最新の投稿

連載特集

  • 木暮祐一のeSIM奮闘記
  • 山根康宏のワールドeSIMレポート

タグ