プリペイドSIM規制強化の香港でTEXTRのeSIMを使う

香港のプリペイドSIMカード、プリペイドeSIMは1人あたりの購入上限枚数が決まっています。また香港キャリア系のプリペイドはパスポートなどによる本人登録が必要となっています。そのため香港を訪問するときは規制を受けないeSIMプロバイダの製品を買うのが楽でしょう。今回は香港のプリペイド規制の最新情報と、TEXTRのeSIMの使用感をお届けします。
目次
10枚から3枚に購入上限が変更予定
海外旅行や出張で香港に行く人も多いと思います。また香港経由で深センなど中国に行く時も、香港で数日過ごす、という人も多いでしょう。香港でスマートフォンを使う場合、日本のキャリアのローミングサービス以外にも様々なeSIMプロバイダや、香港系のキャリアがeSIMを販売しています。しかしeSIMを買う場合、本人登録と購入枚数に気を付ける必要がある場合があります。
香港政府は「香港のキャリア・プロバイダ」の販売するSIMカード、eSIMに対して、本人登録を義務付けています。オンラインでeSIMを買っても、パスポート写真のアップロードなどを行って登録が必要なのです。登録をしないと使えないため、香港でeSIMをONにしたのにデータ通信ができない、というトラブルも起こりうります。
しかし香港以外のキャリア、プロバイダが販売するeSIMは登録が不要です。「eSIMが香港で使えるかどうか」ではなく、「そのeSIMを香港の会社が発行しているかどうか」が重要になります。
たとえばAiralo、Holafly、Sailyなど世界各国向けのeSIMを提供しているプロバイダの製品は、基本的に香港キャリア以外の回線を「香港で国際ローミング」として使うため、本人登録は不要です。一方でアマゾンなどで売っている香港eSIMの中で「登録が必要」と書いてあるものは香港のキャリア、香港のプロバイダが発行しています。

このような画面が出たら香港キャリア・香港プロバイダの発行eSIM
さて香港発行のeSIMを買ってしまった場合は本人登録をする手間が増えるだけですが、来年以降はちょっとした注意が必要になります。香港政府は2026年からプリペイドSIMの1人あたりの登録制限を3枚(3回線)にする予定です。そのため年に何度も香港い行くたびにeSIMを購入していた場合、購入の大本が同じ香港のプロバイダの場合、本人登録時にNGになる恐れがあるのです。
万が一そのような場合はメールやチャットなどでのサポートで解決すると思われますが、手間がかかりますね。香港のeSIMの選び方は、このあたりも含めて考えるべき時代になりそうです。
ただしプリペイドeSIMの番号の有効期限は大半が180日なので、半年ごとに香港を訪問する、といった場合は自動的に前の登録が解約されるので問題はおきないでしょう。なおシンガポールも同様に1人3回線までですが、これは全キャリア合計しての枚数。一方香港はキャリア・プロバイダごとに3回線です。香港eSIMを短期間中に続けて買う場合は、香港のどのキャリアの回線を使うeSIMなのかを確認し、前買ったものと別のキャリアを使うeSIMを買うのが無難かもしれません。
1日単位で買えるTEXTR
今回は本人登録の香港eSIMをTEXTRから購入してみました。香港のプランは1GB、3GB、5GB、10GB、20GBとシンプルです。

TEXTRの香港eSIMプラン
1GBプランはプロモーションながら7日間0.99ドル。3GB、5GBにしてもGB単価はあまり変わりません。ただし3GBと5GBは30日有効です。20GBプランは60日有効と長期滞在にも便利、かつ価格も約13日分とお得です。
購入はTEXTRのアプリから行いました。スマートフォンをWi-Fiに接続後、アプリから香港で検索。今回は試しのため1GBプランを買ってみます。

アプリから香港1GBプランを選択
ユーザー登録不要ですが、登録しておいた方があとからアプリやPCブラウザからもデータ使用量を確認できるので登録したほうがいいでしょう。新規eSIMを選んだあとはスクロールして確認します。

ユーザー登録推奨だ
支払いはクレジットカードで行いました。登録後、アプリでeSIMのQRコードが表示される他、メールでも登録情報が届きます。ここまでの作業は香港出発前に行っておくことができます。

クレカ購入後、アプリとメールでQRコードが参照できる
5Gながら実質4G接続も速度は快適
QRコードからスマートフォンへの登録はiOS、Android共にQRコードのスクリーンショットから行えます。登録時に「TextrのeSIMを追加しますか?」と表示され、その後はデータローミングを促されるのでONにします。すなわち香港キャリアではなく、多国のプロバイダのeSIMであることがわかります(そのため本人登録作業不要)。最後にWi-FiをOFFにすれば、アンテナピクトに5Gまたは4Gの表記が出てきます。

データローミングは必ず有効にする
さて画面を見ると、キャリア名に香港最大手キャリアのCSL回線を使っていることが表記されます。5G接続ということでさっそく香港の市内でスピードテスト。すると下り100Mbps、上り90Mbps前後と快適な速度です。

香港の街中での速度
ただし人の多いマーケットなどでは50Mbpsを切ることもあります。こちらは4Gの速度ということかもしれません。とはいえ数Mbpsという低速ではないため動画の視聴やPCをテザリング接続してのネット利用も快適でした。1日150円程度で使えるのであれば、短期滞在やトランジット時の利用にも十分便利と言えそうです。
香港在住の携帯電話研究家。海外(特に中国)のスマートフォンや通信事情に精通。IoT、スマートシティー、MaaS、インダストリアルデザインなど活動の幅は広い。最新機種のみならずジャンク品から百万円のラグジュアリーモデルまであらゆる携帯電話・スマートフォンを購入する収集家でもあり、その数はまもなく1800台に達する。


