eSIM TIPS
2025年10月30日

eSIM対応パソコン・PCとは?仕組み・設定方法・対応機種・法人活用について解説

スマートフォンだけでなく、近年はノートパソコンにも「eSIM」を搭載するモデルが増えています。Wi-Fiが使えない環境でもすぐにネット接続できる利便性から、特に法人利用やテレワークで注目を集めています。この記事では、eSIM対応パソコンの仕組みや設定方法、メリットをわかりやすく紹介します。

eSIMとは

eSIM(embedded SIM)とは、従来の物理SIMカードのように差し替える必要がなく、契約情報をオンラインで遠隔書き込みすることで、モバイルデータ通信を利用できます。設定はすべてオンラインで行えるため、カードを抜き差しする手間がなく、利便性や柔軟性が大きく高まっています。

PC用eSIMの最大の特徴は、Wi-Fi環境がなくても、LTEや5Gといったモバイル回線で直接インターネット接続できる点です。カフェや移動中、出張先など、Wi-Fiが不安定な場所でも安定した通信環境を確保でき、モバイルルーターを別途持ち歩く必要もありません。

設定はすべてオンラインで完結するため、物理SIMカードの抜き差しやモバイルルーターの充電管理といった手間から解放されます。

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【2024年最新】eSIM(イーシム)とは?基本的な特長と普及が進む背景、課題について解説!

なぜPCにもeSIMが搭載され始めているのか

PCへのeSIM搭載が進む背景には、大きく3つの要因があります。

まず、スマートフォンのように「すぐネットにつながる体験」をPCでも実現したいという常時接続(Always-Connected)化の潮流です。MicrosoftやIntel、Qualcommは「Always Connected PC」を掲げ、eSIM内蔵型PCを推進しています。

次に、通信契約をPCにバンドルするビジネスモデルの登場が挙げられます。一部メーカーではPC購入時に数年間のデータ通信契約を付帯するサービスを提供しており、利用者は別途モバイル回線契約を意識せずに運用できるようになりました。

さらに、企業やIT管理者からの管理性・運用性向上の要請も背景にあります。eSIMなら物理SIM配布の手間を削減でき、プロファイルの遠隔管理・発行・停止が可能になるため、法人での大規模導入が進んでいます。

法人利用でもeSIM搭載パソコンが注目されている理由

企業のIT部門や経営層の間で、eSIM搭載PCの導入が急速に進んでいます。リモートワークの普及や働き方改革により、社外での業務環境整備が経営課題となる中、eSIM搭載PCが解決策として期待されています。ここでは、法人がeSIM搭載PCに注目する3つの理由を解説します。

リモートワーク・出張時の通信環境を安定化できる

企業では、社外勤務や出張時の通信環境の確保が大きな課題となっています。特に、Wi-Fiが不安定な場所や利用できない環境では、通信が途切れて業務が滞るリスクを抱えるケースが少なくありません。

eSIM搭載PCであれば、モバイル回線(LTE/5G)を直接利用できるため、Wi-Fi環境に依存せず安定した通信が可能です。VPNを通じて社内ネットワークへ安全にアクセスできるため、セキュリティ面でも安心して業務を遂行できます。

とくに、ホテルや建設現場、移動中の新幹線内など、Wi-Fi環境が整っていない場所でその強みを発揮します。通信の途切れを防ぐことで、オンライン会議や資料共有、クラウド上での作業をスムーズに進められ、業務効率を大幅に向上させることができます。

通信管理の一元化とセキュリティ強化につながる

従来の通信管理では、物理SIMカードやモバイルルーターを従業員ごとに貸与・返却する必要があり、管理工数が大きな負担となっていました。さらに、紛失や返却忘れが発生した場合には、情報漏えいのリスクが高まるという課題もありました。

eSIM搭載PCを導入することで、企業側はリモートでプロファイル(通信契約情報)の発行・削除を行い、端末単位で通信の有効・無効を即時に切り替えることができます。物理SIMの配布・回収作業が不要となるため、IT部門の運用負荷を大幅に軽減できます。

また、セキュリティ面でも大きなメリットがあります。退職者や紛失端末に対して通信を迅速に遮断できるため、不正利用や外部からの不正アクセスを防止し、情報漏えいリスクを最小化できます。さらに、通信ログを一元的に管理できることから、社内ネットワークの監査やコンプライアンス対応にも有効に活用できます。

導入・運用コストの最適化が可能になる

従来のコスト構造では、物理SIMカードの発行・配送・管理に人的コストがかかるほか、モバイルルーターの貸与・返却・台数管理も煩雑で、運用費用が膨らみやすいという課題がありました。

一方、eSIM搭載PCでは物理SIMが不要となるため、在庫・物流・紛失対応にかかるコストを削減できます。さらに、データ通信プランをユーザー単位で柔軟に設定できることから、通信料のムダを防ぐことが可能です。法人向けeSIMサービスの中には、回線契約の一括管理やデータシェアリングに対応するものもあります。

また、導入形態として法人向けレンタルサービスを利用する方法もあります。通信事業者による法人eSIMサービスが拡大しており、eSIM対応PCを短期・長期で柔軟にレンタルできるプランも登場しています。初期導入コストを抑えつつ、通信と端末を一体的に運用できる点が大きな魅力です。

eSIM搭載パソコンの機種

日本国内の主要PCメーカーは、ビジネス向けモデルを中心にeSIM搭載機種を展開しています。特にモバイルワークを重視した軽量・長時間駆動モデルで採用が進んでおり、法人導入だけでなく、個人ユーザー向けのラインナップも充実してきました。主なeSIM搭載機種は以下の通りです。

メーカー 掲載モデル
VAIO VAIO S13 VJS1368
VAIO Pro PK VJPK234000002
VAIO Pro PJ VJPJ234000003
富士通(FUJITSU) FMV LIFEBOOK UHシリーズ WU2/J3 5G KC WU2J3 A017 GF
MV LIFEBOOK UHシリーズ WU2/J3 5G KC WU2J3 A019 G
FMV LIFEBOOK UHシリーズ WU2/J3 5G KC WU2J3 A007 G
FMV LIFEBOOK UHシリーズ WU2/J3 5G KC WU2J3 A003 G
FMV LIFEBOOK UHシリーズ WU2/J3 5G KC WU2J3 A026 G
FMV LIFEBOOK UHシリーズ WU2/J3 5G KC WU2J3 A025 G
FMV Note U WU7-K3 KC WU7K3 A002 G
パナソニック(Let’s note) Let’s note SR4 CF-SR4AE6AS
Let’s note QR4 プレミアムエディション 5Gモデル CF-QR4YUCCP
Let’s note QR4 CF-QR4STGAS
Let’s note FC6 CF-FC6STHAS
Let’s note SR4 CF-SR4STGAS
Let’s note FV4 CF-FV4STGAS
レノボ(Lenovo/ThinkPad) ThinkPad X1 Titanium Yoga 2 in 1 
ThinkPad X1 Carbon Gen 9 
ThinkPad X1 Fold ThinkPad X1 Nano 
ThinkPad X12 Detachable 
Lenovo Ideapad Flex 5G 
Lenovo Yoga C630 
Lenovo Miix 630 
Lenovo X1 Fold 
Lenovo Yoga 520 
Lenovo Yoga 720 (コンバーチブルラップトップPC)
NEC(LAVIE) LAVIE NEXTREME Carbon など…

eSIM対応PCを選ぶ際は、対応する通信バンド(LTE/5Gの周波数帯)やバッテリー駆動時間、重量などを確認することが重要です。同じシリーズでも構成によってはeSIM非搭載モデルが存在する場合があるため、購入前にメーカーの仕様表で必ず確認しましょう。最新の対応状況や詳細スペックについては、各メーカーの公式サイトでの確認をおすすめします。

WindowsでeSIMを使う設定方法について

eSIM対応PCを購入したら、次は通信を開始するための設定が必要です。Windows環境でのeSIMプロファイル追加は、QRコードを読み取るだけで簡単に完了します。ここでは、設定手順から対応キャリアの選び方、トラブル時の対処法まで順を追って解説します。

eSIMプロファイルの追加手順(QRコード・手動設定)

WindowsでeSIMを利用するには、Windows 11以降とeSIM対応PCが必要です。ここでは、PCがeSIMに対応しているかの事前確認方法とeSIMプロファイルを追加する際の手順について紹介します。

事前確認:PCがeSIMに対応しているか確認する

  1. 1.「設定」→「ネットワークとインターネット」→「携帯ネットワーク」を開く
  2. 2.「携帯データネットワークにこのSIMを使用する」のドロップダウンメニューに「eSIM」が表示されていればOK

eSIMプロファイルの追加手順

  1. 「設定」→「ネットワークとインターネット」→「携帯ネットワーク」を開く
  2. 「eSIMプロファイルを管理」を選択
  3. 「SIMを追加」をクリック
  4. 通信事業者から提供されたQRコードをスキャン(または手動でアクティベーションコードを入力)
  5. 「アクティブ化」をクリックして完了

設定後は、Wi-Fi環境がなくてもモバイルネットワークでインターネットに接続できるようになります。

対応キャリアと契約方法

日本国内では、ドコモ・au・ソフトバンクといった大手キャリアを中心に、パソコン向けのeSIM対応プランが提供されています。これにより、既存のスマートフォン契約をeSIMに切り替えたり、オンライン上で新たにプロファイルを発行したりすることも可能です。

また法人向けには、複数端末の通信契約を一括で管理できるeSIMサービスや、通信を含むレンタルモデルを展開する事業者も増えています。多くの場合、契約はオンラインで完結でき、本人確認書類のアップロードや、端末固有のEID(eSIM識別番号)の入力が必要となる場合があるため注意が必要です。

通信できない・認識しない時のトラブル解消法

eSIMが認識されない、または通信できない場合、主な原因として以下が考えられます。

  • ・eSIMプロファイルが正しくインストールされていない
  • ・通信設定が無効になっている
  • ・モバイル通信が「オフ」または機内モードが有効になっている
  • ・利用中のキャリアが一時的にサービスを停止している

この場合、Windows設定から「ネットワークとインターネット」→「携帯ネットワーク」を開き、状態を確認しましょう。プロファイルの再ダウンロードやPCの再起動を試すことで改善する可能性があります。また、VPNやセキュリティソフトが通信をブロックしている場合は、一時的に解除して検証してください。

それでも改善しない場合は、キャリアやメーカーのサポートへ問い合わせ、eSIM再発行を依頼しましょう。法人契約の場合は、契約ベンダーに問い合わせを行い対応を確認することが推奨されます。

eSIMをパソコンで使うメリット

eSIM搭載PCは、法人だけでなく個人ユーザーにとっても多くのメリットがあります。物理SIMカード不要の手軽さから、外出先での通信環境安定化、コスト削減まで、さまざまな利点が得られます。ここでは、実際の利用シーンを踏まえながら、eSIM搭載PCの具体的なメリットを解説します。

SIMカード不要で即時開通できる利便性

従来、PCでモバイル通信を利用するには、モバイルルーターを別途契約して持ち歩くか、スマートフォンのテザリング機能を使う必要がありました。どちらも追加の機器管理や接続設定が必要で、外出先ですぐに使い始めるには手間がかかっていました。

eSIM搭載パソコンは、オンライン手続きのみで通信契約を完了でき、発行されたQRコードをPCで読み取るだけで即時開通が可能です。PC単体でモバイル通信が使えるため、別の機器を用意する必要がなく、購入後すぐにどこでもインターネット接続できる利便性が大きなメリットです。

特に法人では、複数拠点やテレワーク端末への即時配備が容易になります。通信開通までのリードタイムが短縮されるため、新入社員の受け入れや急なプロジェクト立ち上げにも迅速に対応でき、業務のスピード化を実現できます。

出張やリモートワーク時の通信環境を安定化

出張先やリモート環境では、Wi-Fiが不安定または利用できないケースが多く、業務が滞る大きな要因となっていました。さらに、公共Wi-Fiの利用によるセキュリティリスクも懸念されており、企業にとって安全で安定した通信環境の確保が課題となっていました。

eSIM搭載パソコンであれば、モバイル回線(LTE/5G)を直接利用できるため、Wi-Fi環境に依存せず常に安定した通信が可能です。VPNと組み合わせることで、社外からでも安全に社内ネットワークへアクセスでき、セキュリティを確保しながらスムーズに業務を遂行できます。通信の切断や再接続のストレスも軽減され、オンライン会議や資料共有、クラウド作業を円滑に進められます。

外出先や移動中でもオフィスと同様の作業環境を維持できる点は、eSIM搭載PCの大きな魅力です。生産性とセキュリティを両立し、どこからでも安心して業務を行える柔軟な働き方を支援します。

モバイルルーター不要でコスト削減にもつながる

これまで、PCでモバイル通信を利用するにはモバイルルーターが必要でした。企業では出張者やリモートワーカーへの貸与・返却管理に手間がかかり、端末費用・通信費・運用負担が大きな課題となっていました。紛失リスクやバッテリー劣化による交換コストも無視できませんでした。

eSIM搭載パソコンは、PC単体でモバイル通信が完結するため、ルーター購入や貸出管理が一切不要です。通信契約をPCに直接紐付けられるため、物理SIM配布の手間も省けます。利用者ごとに最適なデータプランを設定できるため、使わない容量への無駄な支払いも削減できます。

結果として、機器購入費・管理工数・通信料の3つを同時に削減でき、IT運用部門の負担軽減と経費最適化を両立できます。

PCのeSIMよくある質問(Q&A)

パソコンでeSIMの設定はどうすればいいですか?

eSIMは数ステップで簡単に設定できます。手順は以下のとおりです。

  1. 1.「設定」→「ネットワークとインターネット」→「携帯ネットワーク」を開く
  2. 2.「SIMの追加」または「eSIMプロファイルを管理」を選択
  3. 3.通信事業者から提供されたQRコードをスキャン
  4. 4.画面の案内に従ってeSIMをインストール
  5. 5.「アクティブ化」をクリックして接続を確認

eSIMはパソコンで使える?

はい、eSIMは対応しているパソコンで利用できます。eSIM対応パソコンでは、物理SIMカードを挿入することなくモバイルネットワークに直接接続できるため、外出先でも安定したインターネット通信が可能です。テザリング不要であるため、より快適にモバイルワークを行えます。

PCにeSIMがあるかどうかを確認する方法は?

PCにeSIMが搭載されているか確認するには、「設定」→「ネットワークとインターネット」→「携帯ネットワーク」を開き、「eSIMプロファイルの管理」が表示されるかを確認します。さらに、「詳細設定」で「EID」が表示されていれば、eSIM対応モデルです。

Windows 11で通信量を節約するにはどうしたらいいですか?

Windows 11で通信量を節約するには、ネットワークを「従量制課金接続」に設定するのが効果的です。さらに、バックグラウンド通信の制限や不要データの削除、OS更新の一時停止、Wi-Fi環境での利用などを組み合わせると、通信量を大幅に抑えられます。

PCでeSIMを利用するにはどこを選んだらいい?

パソコンでeSIMを利用する際、どこを選んだらいいのか悩みますよね。おすすめは、ずばり「テックレンタル」です。パソコンやスマートフォンのレンタルや販売などを中心に累計で約7,000社と取引をしており、お客様の業務効率化やコスト削減をIT・デジタル機器でサポートしています。

不明な点があっても、専任担当制による丁寧なフォローがあるため、レンタル中であっても安心して利用することが可能です。

まとめ

この記事では、eSIM対応パソコンの仕組みや設定方法、メリットをわかりやすく紹介しました。

eSIM搭載パソコンは、通信と端末を一体化することで、これまでのモバイルワークをより快適で安全なものへと進化させています。Wi-Fi環境を選ばず、出張先や移動中でも安定したネット接続を実現できる点は、業務効率化と柔軟な働き方を両立する大きな強みです。

今後、レンタルなどを介して法人利用を中心に普及が加速すると、PCのあり方そのものが変わり、常時接続型の新しいワークスタイルが一般化していくでしょう。

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