iPhoneのeSIMクイック転送を使って物理SIMからeSIMへ
ソフトバンクは9月19日、ソフトバンク、ワイモバイル、LINEMOの3ブランドの通信サービスがiOSの「eSIM イック転送」に対応したと発表しました。すでにNTTドコモやKDDI、楽天モバイルなどが「eSIM クイック転送」に対応していたのですが、ようやくこれでソフトバンク系の通信回線でも利用が可能になりました。ということで、早速試してみました。
目次
①対応はiOS 17から
eSIMクイック転送は、使用中のiPhoneのeSIMまたは物理SIMカードの情報を転送して、新たに使用するiPhoneのeSIMとして利用できる機能です。iPhone上の操作のみでeSIMを簡単に転送でき、しかも通信キャリアのeSIMプロファイル再発行に係る手数料がかからない画期的な機能です。
eSIMクイック転送を使ったeSIMの転送は、筆者が9月28日に公開した記事で紹介しています。
新たに対応することになったソフトバンクでは、このeSIMクイック転送を「ユーザーのiPhone上での設定と手続きだけで完結できる便利な機能」と紹介しており、手続きの手順もWebサイトで公開しています。なお注意が必要なことは、ソフトバンク、ワイモバイル、LINEMOでeSIMクイック転送を利用する場合は、iPhoneのOSがiOS 17以降である必要があります。また、切替操作の途中でソフトバンクのサイトを経由する必要があり、その受付時間が2時から23時30分までとなっている点です。
②iPhone上でワイモバイルの物理SIMをeSIMに変更
じつはこのeSIMクイック転送には、eSIMの転送だけでなく、物理SIMから転送し、新たなiPhoneでeSIMとして設定したり、あるいは既存のiPhone内で物理SIMからeSIMに変更する機能も備えています。
そこで、今回は物理SIMをeSIMに変更するという手続きにトライしてみました。具体的には、筆者手持ちのワイモバイル回線の物理SIMを、eSIMとしてiPhoneにインストールしてみました。
手順は次の通りです。
③ワイモバイルのeSIM化における注意事項
eSIMに変更する際にソフトバンクから「留意事項」が表示され、同意が求められます。かなり細かく色々な留意事項が記されていますが、重要なポイントは以下の通りです。
まずこのeSIMクイック転送を使った物理SIMからeSIMへの変更ではとくに手数料はかかりません。また今後、他のiPhoneへeSIMクイック転送を使ってeSIMの転送(機種変更)を行う場合は手数料はかからないようです。
一度eSIMに変更してしまうと、これまで使っていた物理SIMカードに戻すことはできません。どうしても再び物理SIMに戻す場合は、たとえば同じiPhone上で利用する場合においても店頭でSIMカードの切り替えが必要になり、その際に機種変更手数料3,850円が必要となります。
また、iPhoneでeSIMプロファイルを削除してしまった場合は、再びeSIMプロファイルをダウンロードする必要があります。オンラインで行えば手数料はかかりませんが、店頭で手続きする場合はeSIM再発行手数料が店頭3,850円かかります。iPhoneから他のスマホへeSIMの移行(機種変更)をする場合も、eSIMプロファイルの再発行が必要です。
④まとめ
9月19日よりようやく「eSIMクイック転送」に対応したソフトバンク(ワイモバイル)の回線で、物理SIMからeSIMへの変更手続きを試してみました。手持ちの物理SIMカードを簡単にeSIMに変更することが可能です。今後は、eSIMしか対応していないスマホなども登場することが考えられます(すでに北米で販売されているiPhoneは物理SIMは使えません)。そうした機種に変更する際に、こうした物理SIMからeSIMに変更する方法を知っておくとよいですね。
名桜大学人間健康学部健康情報学科教授。’90年代から携帯電話端末のレビューやサービスの解説を行ってきた。携帯電話情報サイトの編集長などを務めた後、2009年に大学教員に転身。以後スマートフォンの社会での活用などを研究テーマとして活躍。現在は医療・ヘルスケア分野へのデジタルデバイスの応用を中心に研究に従事。携帯電話コレクターとしても知られる。