ついに5Gに対応した韓国キャリアのeSIMをソウルでテスト
韓国向けのeSIMは様々なものが販売されていますが、韓国キャリアが直接提供する回線を利用するものは、4Gまでの対応で5Gは非対応でした。しかしLG U+がついに5Gに対応、ローミング回線を使うeSIMプロバイダ以外の製品でもあり、現地の高速な通信速度が期待できます。今回は2025年7月にソウルを訪問し購入してみました。なおテストに使ったスマートフォンは日本発売のグーグル「Pixel 9 Pro」です。
目次
オンラインまたは韓国の空港で購入可能
LG U+のプリペイドeSIMはオンラインまたは韓国の空港で購入できます。韓国の空港でのeSIMの購入は過去に記事を書いているので参照してください。
eSIM初心者も安心、韓国ソウル仁川空港のeSIM販売カウンターが大移動
今回は仁川空港から韓国に入国しましたが、LG U+のカウンターには大きく「5G Upgrade」の表示があり、5G対応を大きくアピールしています。なお「From just W3,000~」の表記があるように、5Gの料金は従来の4G料金プラス3000ウォンからとなっています。
5G対応をアピールするLG U+のカウンター
LG U+はオンラインでもeSIMを販売しており、こちらからも5G対応のeSIMが購入できます。
https://www.lguplus.com/korea-sim/jpn/pc
韓国到着前に購入しておきたい場合はオンライン販売を利用するといいでしょう。ただしeSIMの開通操作は韓国到着後、空港の無料Wi-Fiなどを利用して行うことになります。
LG U+のオンライン販売ページ
4Gプランに320円プラスから利用可能
LG U+のプリペイドeSIMはデータ利用のみとなります。有効期限は1日から。1日の計算は開通から24時間なので、たとえば土曜の午後13時に仁川空港着、月曜日の朝9時に仁川空港発の場合は、土・日・月の3日間ではなく、滞在時間が44時間=24時間x2日以内なので、2日間の購入でカバーできます。なお注意事項として利用上限があり、5G、4Gどちらも1日あたり3GBを超えるとそれ以降は5Mbpsに速度が落され、毎日深夜0時にこの制限はリセットされます。
5GのeSIMの価格は以下の通り。たとえば1日(24時間)なら9500ウォン(約1010円)、3日(72時間)なら2万5000ウォン(約2670円)、5日(120時間)なら3万4500ウォン(約3680円)です。
LG U+ 5G eSIM料金
参考までに4G(LTE)の料金はこちら。日数が少ない場合は5G eSIMとの差は3000ウォン(約320円)ですが、有効期限が長いほど差額は大きくなります。
LG U+ 4G(LTE)eSIM料金
今回は空港のカウンターで購入し、eSIMインストールも行ってもらったので導入作業は省略します。eSIMの導入は記事を参照してください。
5G接続は1Gbpsオーバーで快適
では5Gではどれくらい高速なのか、比較のため4GのeSIMも購入し、ソウル市内の数か所でテストを行いました。
まずは各地へ路線バスが発着する高速バスターミナル。バス乗り場(屋外)とチケット売り場(屋内)で速度を試しましたがどちらでも5Gは高速で1Gbps以上をマーク。さすが韓国の5Gは高速だと感心するところです。一方4Gでは最大で150Mbps程度。これでも不満は出ませんが、パソコンで大量のデータの送受信を行うときなどは若干不満があるかもしれません。
なおカンナムやミョンドンなどでも5Gの最高速度は同様に1Gbps以上、低速でも600Mbpsなどなかなか良い成績でした。4Gは同じエリアで50Mbpsから100Mbpsといった速度です。
高速ターミナルでの速度テスト。5G(左)は1Gbpsを超える
一方、ソウル駅前や東大門では5Gでもやや低速で、おおむね300Mbps台。とはいえ4Gでは50bps前後だったためやはり5G回線は高速です。このようにソウル市内では5GのeSIMを利用したほうがストレスは感じにくいでしょう。
ソウル駅では5Gの速度は落ちるが4Gよりは高速だ
とはいえ「1日3GB」の利用制限は実は5G回線では不利に働きます。たとえばPCでYouTube動画を視聴する際、5G接続では4Kや2K解像度で再生され、4G接続では1080pなど低解像度で接続されるケースがあります。そのため同じ動画を視聴しても、5G接続のほうがより多くのデータを使うため、先に上限の3GBに達してしまうのです。
今回も帰りの仁川国際空港でPCを使って動画を見たり大容量のプレゼンファイルの送受信などの作業を行っている途中で、通信速度が低下してしまいました。空港は無料Wi-Fiがあり高速なので事なきを得ましたが、通信速度を計るとしっかりと5Mbpsに制限されていました。なお前述したように深夜0時にこの規制は解消され、0時過ぎからまた5Gの高速回線を利用できます。
1日3GBを超えるとその日は0時まで5Mbpsになる
高速回線利用にベストだが3GB規制がネック
LG U+の5GプリペイドeSIMはおそらく契約回線と全く変わらぬ速度で利用できると思われます。そのため5Gの高速通信を自由に活用でき、さらに4Gよりも高速な体験が利用できます。とはいえ4Gの速度でも一般的な利用には十分でしょう。また5Gの利用は1日上限の3GBへも使い方によってはあっという間に到達してしまいます。
そのため5G eSIMの利用は「ストレスのない高速回線が利用したい」「1日3GB以下」という、やや制限のかかったものになってしまっているのが残念なところです。
上限3GBは4G時代のヘビーユーザーの想定最大利用数から計算した値だと思われます。しかし5Gでは前述したようにあっという間にギガを使ってしまうため、今後他の2つのキャリア、SKテレコムとKTのプリペイドeSIMが5Gに対応する際は、ぜひ上限ギガ数をより高いものにしてほしいと思います。
5G回線は快適だが上限3GBがネック
香港在住の携帯電話研究家。海外(特に中国)のスマートフォンや通信事情に精通。IoT、スマートシティー、MaaS、インダストリアルデザインなど活動の幅は広い。最新機種のみならずジャンク品から百万円のラグジュアリーモデルまであらゆる携帯電話・スマートフォンを購入する収集家でもあり、その数はまもなく1800台に達する。