山根康宏のワールドeSIMレポート
2025年4月14日

ドイツでプリペイドeSIMが買える! Vodafoneがオンライン販売を開始

ドイツはプリペイドSIMという製品がありながらも実際にキャリアの店舗では購入しにくいという難点がありました。しかしついにオンラインでキャリアからプリペイドeSIMが販売開始。現地キャリアSIMならではの快適な速度が利用できます。

買えなかったドイツのプリペイドSIM問題が解決

プリペイドのSIMカード / eSIMはほとんどの国で販売されています。ドイツでも各キャリアが複数の製品を販売しています。ところが実際にドイツに行ってみると、筆者の経験ではキャリアの店で「在庫無し」「売り切れ」などと言われて買えないケースがほとんど。たまに売っているお店があっても定価に10ユーロや20ユーロを上乗せするなど、キャリアの公式価格で買うことができないのが現状でした。そのため以前はeSIMプロバイダの製品を買ってレビューを行いました。

 

90円から購入可能!格安なドイツのプリペイドeSIMは速度も高速だった
https://esim.love/blog/2024/05/27/2230/

 

Vodafoneのドイツの店舗。プリペイドSIMは販売していなかった

ところが2025年3月にドイツを再訪した際、ネットでドイツのeSIM情報を調べたところ、VodafoneドイツがオンラインでeSIMを販売していることがわかりました。「オンライン購入可能」「eSIM提供」と、他の国同様に気軽にeSIMが買えるようになったのです。これでもう店舗をはしごして「プリペイドSIMはありませんか?」と聞きまわる必要もなくなります。また現地キャリアのSIMですから、eSIMプロバイダの製品よりも現地の回線品質がしっかりと使えるはずです。

VodafoneドイツがプリペイドeSIMを販売

料金も魅力的です。2025年3月末時点では、

・10GB:9.99ユーロ(約1610円)・4週間
・20GB:14.99ユーロ(約2410円)・4週間
・データ定額:79.99ユーロ(約1万2870円)・4週間
・120GB:99.99ユーロ(約1万6100円)・365日

有効期限は28日(4週間)、120GBプランのみ365日です。データ容量はヨーロッパ43か国でもそのまま使えます。また120GBプラン以外は4週間後にプラン変更が可能になります。なお後述しますが各プランの詳細を見ると、120GBプラン以外は4週間が過ぎると自動継続されます。そのため1回の滞在用に使う場合は対策が必要です。

オンラインでeSIMを購入

ではVodafoneのプリペイドeSIM販売ページを開いて購入してみます。今回はPCのブラウザから購入しました。

 

Vodafone Germany eSIM販売ページ
https://www.vodafone.de/freikarten/travel-germany-esim/

 

オンライン販売のeSIMの価格

今回は20GB 14.99ユーロを選びます。赤い「To the free eSIM」をクリックして、作業を進めていきます。

次のページでeSIM内容を確認

スクロールして個人情報を入力します。NationarityはJapaneseを選びましたが、住所は日本の住所がエラーになったので、ドイツの滞在先ホテルの住所にしました。そしてメールアドレスも入力します。続けてメール認証画面になるので、メールで届いた6桁の文字を入力して進むと、メールが認証されます。メール認証後の画面が以下で、最後に下の赤枠の「Continue with customer password」をクリックして進みます。

個人情報を入力

ここでパスワードを設定します。このパスワードは、後でメールで送られてくるeSIMのPDFファイルを開くときに使います。そのためわかりやすい文字がいいでしょう。パスワードは6文字から20文字の長さ、英語の大文字と、数字を1つ以上含めます。入力後に「Continue」をクリック。

パスワードを設定

パスワード設定が済んだことが確認できたので「Continue」をクリックします。

パスワード設定が確認できた

ようやく全ての入力項目の確認画面となります。このあとはオンラインによる本人認証へ移ります。下にある「Online via AutoID」がオンライン認証。もう1つの「Online via video chat」はカスタマーサポートデスクとビデオチャットを行います。ドイツのスタッフとのビデオチャットも面倒ですし、チャットは朝8時から夜18時までなので、オンライン認証を選びます。

オンライン認証を選択

画面をスクロールして2つのチェックを行い、「Buy now」をクリック。この後から認証へと移動します。

この先は本人認証だ

 

本人認証はやや面倒

次の画面はVodafoneを離れ、ドイツポストが提供するオンライン認証案内の画面になります。オンライン認証のAutoIDをクリック。

オンライン認証ページ

すると「POSTIENT」アプリをインストールして、プロセスコードを入力、という画面になります。プロセスコードは右下にあるQRコードを使って入力できます(その横にも手動入力用の英数字が表記されています)。

アプリ入力を指示

そこでQRコードからアプリをインストール。インストール後にQRコードを読むと、プロセスコードが入力されています。なおアプリはドイツ語なので、筆者は他のスマートフォンを使って画面を翻訳しながら進みましたが、基本的には黄色のボタンをタップして進みます。

(左)アプリを入れてプロセスコードをQRコードで入力し、
真ん中の黄色い「Continue」をタップ。(右)次の画面で下の「Beenden」をタップ

続いてパスポート撮影の手順が表示されます。これもドイツ語は分からずとも、写真の案内を見て進めば大丈夫でしょう。最初にパスポートの本人部分の画面を撮影します。それが終了すると「身分証明書の裏面を写せ」と表示されますが、パスポートには裏面がありません。筆者は表紙を開いて次のページを写しました。

パスポートの個人情報面と、裏面は無いため2ページ目をアップした

それが終わると、今度はホログラムチェックです。これはパスポートの写真ページの自分の顔写真にあるホログラムを読み込ませるようです。カメラで顔写真を写しながら、指示に従い何度か斜めに向けて画面を見せていきます(ビデオを撮るようにパスポートを動かしていく)。

ホログラムチェックへ移動

最後に顔の認証です。顔写真ではなく、カメラに向かって顔を写し、指示通りに上下左右に動かしていきます。それが済めば最後の画面で「Beenden」をタップ。そのあとは、本人認証が通ればメールが来るとのこと。

「Beenden」をタップして完了

 

eSIM発行は約30分、料金チャージで利用可能

本人認証がどれくらいかかるかわかりませんでしたが、今回は10分ほどで「Your CallYa eSIM will be sent by e-mail shortly」(あなたのCallYa eSIMはすぐにメールで送られます)とのメールが届きました。つまりパスポートや顔認証がOKで、本人認証が通ったということになります。

eSIMはまもなく届くとの通知

そしてそれから約20分で「Your CallYa eSIM setup data」というメールでeSIMが届きました。本人認証の作業に実は30分くらいかかっており、それが終了してから約30分でeSIMが届きました。慣れない操作でしたが、eSIM購入には約1時間かかったことになります。

本人認証終了後、約30分でeSIMが届いた

さっそく添付のPDFファイルを開こうとするとパスワードを入力せよとの画面が。事前に自分で設定した6から20文字、英語の大文字と数字のパスワードを入れます。

PDFを開くためにパスワードが必要

PDFにはeSIM用のQRコードや手動入力用の設定値、ドイツの国番号+49から始まる電話番号などが表示されています。またeSIMをインストールするときに最初だけ必要なConfirmation code(ePIN)もQRコードの右側に表示されています(今回は943057)。

PDFにあるeSIM情報

あとはQRコードをスマートフォンで読み取っていきます。今回はサムスン端末を利用。スマートフォンはWi-Fiに接続しておき、設定のeSIMを追加からQRコードを読み取ります。途中で「サービスプロバイダから受け取ったコードを入力」とあるので、PDFファイルにあった943057を入力。そのまま進めていけばeSIMがインストールされます。

eSIMをインストール

さてこの状態では料金を払っていないため、eSIMは電波を拾ってもデータ通信が行えません。メールで支払い方法の案内が来るので、リンク先を開いて14.99ユーロをチャージします。

 

Vodafone Germany 料金支払い先
https://www.vodafone.de/meinvodafone/account/payment/

 

入金案内画面

さて冒頭にも書いたように、このeSIMは4週間後=28日後に自動継続されます。こちらは9.99ユーロプランの詳細の記述。ドイツ語と日本語訳を表示します。

4週間ごとに自動継続されてしまう

そこで筆者は日本のデビットカードの使用頻度の少ないものを使い、普段はお金をいれずに4週間後になっても自動的に引き落とされないようにしようと考えました。引き落としが無ければ回線は使えなくなるだけで、そのまま1年間有効とのこと。ところが支払いに日本のデビットカードの番号や情報を入力したものの、筆者の日本のカードはエラーが出て使うことができませんでした。

そこでPayPalで払うことにしました。PayPalの支払い先カードをそのデビットカードとして、普段は残高を入れないでおくことにして、自動引き落としを防ぐ対策としたのです。電話番号はPDFにあった+49で始まる番号をそのまま入力しました。チャージ金額は14.99ユーロとピッタリは払えず、5ユーロ単位。今回は15ユーロを選びます。

料金をチャージ。5ユーロ単位になっているので15ユーロを選びPayPalで支払った

PayPalの画面を経由して、無事に支払いが完了しました。

PayPalで入金が完了した(ページを和訳した画面)

さてここですぐにスマートフォンでデータ通信をしようとしたのですが、通信できませんでした。しかし1分ほど間ってSMSが届き、入金が実際にされたと通知を受けました。ここからスマートフォンでの通信は問題なく可能になります。

支払い後1分ほどでSMSが到着。ここから使える

 

5G接続もOK、ヨーロッパローミング対応

さっそく今回の滞在先、ハノーバーで使ってみましたが、5G回線に接続され、最高速度は下りで400Mbps弱、上りも100Mbps弱とかなり快適でした。前回テストしたeSIMプロバイダGlobal YoのeSIMはフランクフルトで平均100Mpbs、最高で300Mbpsが出ましたが高速になるエリアはわずかでした。今回はハノーバーのため同じ場所ではありませんが、Vodafoneの回線を直接使っていることもあってか広い範囲で200Mbps以上を記録。やはり現地のeSIMは快適度が高いと言えそうです。

ハノーバーの各地で300-400Mbpsをマーク

なおその後イタリア・ミラノに移動しました。通信設定でデータローミングをONにしたうえ、ミラノで使用。現地のVodafoneイタリアにローミングで接続し、5Gで下り250Mpbs前後とこちらでも快適に使えました。

ミラノでも快適だった

 

現地SIMならではの利便性は高い

eSIMは多くのプロバイダが様々な製品を販売しており、格安のものも見つかります。ただしローミング利用するeSIMも多く、通信速度や回線の安定性に欠けるものもあるのが現状です。もちろん快適に使える製品もありますが、実際に使ってみないとわからないものもあるでしょう。そのためeSIM.loveの本連載では様々なeSIMを実際に使ってみて使い勝手を試しているのです。

現地キャリアのeSIMはeSIMプロバイダの製品より価格が高いものもありますが、今回試したVodafoneドイツのeSIMは割高感はなく、5Gにもしっかりつながるなど現地SIMならではの安定性は高く評価できると思います。ただし4週間ごとの自動継続がある点がやや使いにくく、この点だけは注意する必要があります。

 

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