山根康宏のワールドeSIMレポート
2024年12月16日

eSIMスマホも! 高性能カメラや好デザインのスマホ新製品が海外で続々登場

スマートフォンの新製品発表のニュースは定期的に聞かれますが、特にこの冬は海外で大量の新製品が登場しました。中でもスマートフォンメーカーの多くが集まる中国では10月から12月にかけて30機種以上というとてつもない数の製品が出てきています。しかもそれらの大半がハイエンドモデルです。今回はそれらの中から話題の製品や日本投入が期待されるモデルを中心に数機種を紹介します。

OPPOから3年ぶりの日本向けカメラスマホ「Find X8」登場

2024年11月29日、OPPOは日本で新型スマートフォン「Find X8」と「A3 5G」を発表しました。このうちFind X8は日本向けの3年ぶりとなるハイエンドモデルです。しかし海外ではさらにその上のモデル「Find X8 Pro」も販売されており、カメラ性能に優れたこの2つのモデルは人気になっています。なお両モデルともチップセットにメディアテックの最上位品となるDimensity 9400を搭載。クアルコムのSnapdragon 8 Eliteに対抗する高い性能が魅力です。

日本で発売になったFind X8

Find X8、Find X8 Proはどちらも老舗カメラメーカーのハッセルブラッドとコラボを行っています。同社の絵作りをカメラ性能に反映させており、たとえば「XPANモード」という、パノラマ風の写真も撮影できます。また背面の3つのカメラはいずれも5000万画素で、特に3倍の望遠カメラは世界初のW型プリズムレンズで薄い本体サイズの中で高倍率な望遠を実現しています。

ハッセルブラッドカメラのXPAN撮影ができる

日本には上陸しなかったFind X8 ProはFind X8をさらに高性能化したモデルです。望遠は6倍を追加したクワッド5000万画素仕様。本体の横にはカメラの起動、シャッター、ズーム調整が可能なクイックボタンも搭載。写真をより楽しめるモデルになっています。他にも画面サイズやバッテリー容量も増えており、OPPO全製品の中で最上位に位置する製品となっています。

Find X8 Proの右側面に見えるクイックボタン

 

日本発売が気になる謎のメーカーのスマホ2機種もチェック

スマートフォンメーカーの名前として日本で知られている海外企業はアップル、グーグル、サムスン、シャオミ、OPPO、ASUSと言ったところでしょうか。最近ではNothingも話題になっています。数年前まではここにファーウェイの名前もありましたが、最近ではスマートウォッチに特化しています。しかしまだまだ日本でスマートフォンを出している海外メーカーはあります。その1社、Nubia(ヌビア)は中国ZTEの傘下企業で、日本ではゲーミングスマートフォン「REDMAGIC」シリーズを出しています。その最新モデル「REDMAGIC 10 Pro」が11月に海外で発表されました。

nubia REDMAGIC 10 Pro

REDMAGIC 10 Proの大きな特徴はディスプレイの下に埋め込まれたフロントカメラ、UDC(アンダーディスプレイカメラ)の採用です。これによりゲームをプレイしたり動画を見ていても視界を遮る邪魔な「穴」が一切ないため、ディスプレイ全面をすべて表示エリアに使うことができます。リフレッシュレートも144Hzと高速でゲームの追従性も高くなっています。さらに本体の側面上下には横向きに持った時に左右のゲームボタンになるショルダートリガーボタンも配置。ゲーミングモデルらしい仕様です。

背面を見ると回転式の空冷ファンが内蔵されています。背面右側から空気を取り込み本体内のチップセットを冷却し、左側のスリットから熱を排出します。ファンは回転時にLEDライトで光る効果もあるので、ゲームをしている気分を盛り上げてくれます。

左上側の赤いライトが光っている部分が回転ファンだ

Nubiaのもう一つの新製品「nubia Z70 Ultra」はカメラを強化した製品です。広角5000万画素カメラの焦点距離は一般的なスマートフォンの23mmではなく、ポートレート撮影向きの35mm。しかも絞り羽根を内蔵しF1.6からF4.0まで手動で調整ができます。一眼カメラのレンズと同じことが可能で、ボケを生かした写真撮影も得意とします。また望遠2.7倍、超広角の残りのカメラも5000万画素。どのカメラを使っても高解像度な写真や動画が撮れるわけです。

「作品」を撮るためのカメラを搭載したnubia Z70 Ultra

バッテリーは6150mAhと大容量で80Wの急速充電に対応。ディスプレイはREDMAGIC 10 Proと同じUDC、144Hzと高性能。チップセットはどちらの機種もSnapdragon 8 Eliteを搭載します。Nubiaは日本ではまだあまり知られていない謎メーカーですが、カメラフォンとしての性能は他社のフラッグシップモデルと互角の域に達しています。おそらくどちらのモデルも近いうちに日本で発売されると考えられます。

ゲーミングスマートフォンと変わらぬ高性能ディスプレイを搭載

 

シャオミやファーウェイの海外向け新機種にも注目

日本では家電製品なども次々と発売し存在感を高めているシャオミですが、海外では2025年向けのフラッグシップモデルとなる「Xiaomi 15」「Xiaomi 15 Pro」を発売しました。カラバリが複数ある中で、シルバーカラーのモデルは背面を3D加工した特殊なデザイン。職人技による仕上げとのこと。

波を打つような3DデザインのXiaomi 15 Proシルバーモデル

チップセットはSnapdragon 8 Eliteを搭載、カメラは5000万画素が3つ(広角、超広角、5倍望遠)。海外のハイエンドスマートフォンはもはやすべてのカメラが高画質です。バッテリーは6100mAhと大きく90Wの急速充電に加え、ワイヤレスでも50Wの急速充電が可能。外観に特徴のあるモデルなので、限定品として日本でもぜひ販売してほしいものです。

スマートフォンのスペックも最強だ

さて日本ではスマートフォンを久しく出していないファーウェイですが、海外では今も定期的に新製品を投入しています。その中でも2024年11月に発表した「Mate 70 RS Ultimate Design」はスポーツカーをイメージした高級感とスピード感を味わえるデザインが特徴の製品です。カメラは5000万画素の広角がF1.4からF4.0の可変絞りに対応、超広角は4000万画素、そして3.5倍4800万画素の望遠を搭載します。

独特なデザインが目を惹くMate 70 RS Ultimate

チップセットは非公開。ファーウェイがアメリカ商務省の制裁を受けているためであり、市場調査会社によるとファーウエイの子会社ハイシリコン製のもの(Kilin 9000シリーズ)を搭載しているとのこと。設計的には数年前のものですが、ファーウェイが独自にカスタマイズしたOS「HarmonyOS」による本体動作は機敏であり、AI性能、特にカメラの画像処理や後からの編集などでは大きな威力を発揮します。グーグルサービスは搭載していませんが、中国に加えアジアや中東などで販売されます。

自社チップセットに自社OSを搭載

ファーウェイからはもう1機種、同社の2つ折りモデルで最薄となる「Mate X6」も登場しています。閉じたときの厚みは9.9mmと1cmを切ります。また開いたときは4.6mmとこちらも激薄サイズ。この薄さの中にMate 70 RS Ultimate Designと同じトリプルカメラを搭載しており、折りたたみモデルながらカメラフォンとしても高い性能を発揮します。

ファーウェイ史上最薄の2つ折りスマホ、Mate X6

なお蛇足ながらファーウェイの3つ折りスマートフォン「Mate XT Ultimate Design」は開いた時の厚みが3.6mmであり、ファーウェイの全スマートフォンの中で最も薄い製品になっています。Mate XT Ultimate Designについては過去の記事を参照してください。

世界初、Z型の3つ折りスマホ「Mate XT Ultimate Design」をチェック

日本人の知らないハイパフォーマンスなスマホたち

ところですべてのスマートフォンの中で、一番高性能なカメラを搭載しているモデルはどの機種でしょうか。グーグルのPixelシリーズやアップルのiPhoneを思い浮かべる人が多いでしょう。カメラ性能のベンチマークを計測するDXOMARKによると、2024年11月末時点で最高のモデルはファーウェイの「Pura 70 Ultra」。ファーウェイのカメラは今でも高い性能を誇っているのです。そして次点に位置するのがグーグルの「Pixel 9 Pro XL」と、同点でHONORの「Magic6 Pro」がランクインしています。

HONORはもともとファーウェイのサブブランドで、2021年から独立したメーカーになっています。つまりカメラ性能の高さはファーウェイ譲りともいえるのです。そのHONORが11月に投入した「Magic7 Pro」はいずれDXOMARKでも高い評価を受けるでしょう。チップセットはSnapdragon 8 Elite、カメラは5000万画素広角と5000万画素超広角に加え、2億画素の3倍望遠を搭載しています。

世界1位のカメラを狙うHONOR Magic7 Pro

さらに日本では知られていないvivoのハイエンドモデルも注目です。「X200 Pro」はチップセットにOPPO Find X8と同じDimensity 9400を搭載、カメラはHONOR Magic7 Proによく似た構成で、5000万画素広角、5000万画素超広角、2億画素3.7倍望遠を搭載します。さらにバッテリー容量は6000mAhです。

vivoのX200 Pro

姉妹機である「X200 Pro mini」は中国のみで販売されていますが、他の国への投入を求める声の高いモデルです。特徴は本体サイズで、ディスプレイは6.37インチ。今となっては小型モデルと言われる「iPhone 16」「iPhone 16 Pro」と同等の大きさで、直接対抗するモデルになります。カメラは5000万画素を3つ搭載し、iPhoneを上回る性能です。中国ではこのvivoを含め各社の競争が厳しく、アップルへ興味を持つ若い世代向けに高性能カメラモデルで自社に目を振り向かせようとしているのです。

iPhone 16対抗となるvivo X200 Pro mini

 

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