eSIM対応、最新折りたたみスマホ「Galaxy Z Flip5」「Galaxy Z Fold5」の実機をチェック
2023年7月26日、サムスンは折りたたみスマートフォン2機種「Galaxy Z Flip5」と「Galaxy Z Fold5」を発表しました。どちらのモデルもチップセットにSnapdragon 8 Gen 2を搭載する高性能なモデルです。日本投入も確実視される最新の折りたたみスマートフォンはどのように進化したのか、実機をさっそく触ってみました。
目次
①閉じても使える大型外画面搭載 Galaxy Z Flip5
Galaxy Z Flip5は縦に折りたたむことのできるスマートフォン。開いたときは6.7インチの画面サイズになります。ヒンジは途中の曲げた状態でも固定できるので、机やテーブルの上におけば画面が見やすくなりますし、三脚いらずで写真撮影もできます。
折りたたんだときの本体サイズは85.1 x 71.9 x 15.1mmとコンパクトで片手でも十分持つことができます。重量も187gで、200gを超える最近のスマートフォンより軽量です。本体を閉じると外側にもう1つの画面が現れます。こちらは3.4インチでほぼ正方形。閉じていても時計や通知などの情報を見ることができるのです。
最近のスマートフォンは大型化が進んでいますが、Galaxy Z Flip5なら「開けば大画面スマホ、閉じれば小型画面のスマホ」と、まるで2台のスマートフォンを使い分けるような事もできるのです。外画面は自分の好きな写真などで壁紙を着飾ったり、カレンダーや天気予報、スマートフォンからの通知や着信(閉じたまま通話もできます)などのウィジェットが多数用意されており、本体を開かずある程度のことができます。
アプリも一部動かすことができます。閉じたまま地図検索したりYouTube動画を見ることもできるのです。混んでいる電車の中でも手のひらサイズのスマートフォンで動画を見る、そんなことが出来てしまうわけです。
カメラは1200万画素の広角と1200万画素の超広角を搭載します。本体を閉じればこの2つのメインカメラを使って自撮りもできます。一般的に自撮りをする場合はメイン画面にあるフロントカメラを使いますが、画質はあまりよくありません。Galaxy Z Flip5なら画質のいいメインカメラを使い、しかも本体を閉じたままで撮影できるのです。
自由な角度に曲げて使えるので、このようにL字に折りたたみ表の画面を使った表示も可能。逆V字の形で机の上に置くこともできます。
開いたときの本体サイズは165.1 x 71.9 x 6.9mm、普通のスマートフォンとして使えます。バッテリーは3700mAhで25W充電に対応。今までの折りたたみスマートフォンと比べ、外画面が加わったことで使い方の可能性が無限大に広がったと感じられます。
②開けばタブレット、ペンも使える Galaxy Z Fold5
Galaxy Z Fold5は横に開く折りたたみスマートフォンです。開けば7.6インチの大画面となり、小型タブレットとして使うことができます。解像度は1812 x 2176ピクセルでやや正方形に近い形状です。これだけの画面サイズがあれば複数のアプリの同時利用も実用的。左右、上下に2つのアプリを表示できますし、最大3画面分割で3つのアプリを起動できます。さらに電卓や時計などを小画面でポップアップ表示も可能。タブレットのような使い方が出来るのです。
また別売の「Sペン」を使って開いたメイン画面に手書きもできます。会議のメモを取ったり、イラストを描いたりと、ビジネスやクリエイティブ方面でも使えるスマートフォンなのです。なお開いたときの本体サイズは154.9 x 129.9 x 6.1mm、厚さは意外と薄いです。重量は253gで片手でも十分持てるでしょう。
本体を閉じると154.9 x 67.1 x 13.4mmのスリムなサイズになります。ディスプレイは6.2インチ904 x 2316ピクセルで、縦横比は23:9とかなりワイド。その分、上下に2つのアプリを分割表示しても使いやすそうです。なおメインカメラは5000万画素広角、1000万画素3倍望遠、1200万画素超広角を搭載。バッテリーは4400mAh、25W充電対応です。
Galaxy Z Flip5とGalaxy Z Fold5は、閉じたときにヒンジ部分に隙間が無くぴたりと閉じる構造になりました。前モデルはヒンジ側に隙間が開いており、ハードウェア的にはこの部分が大きく進化しています。他社からも同様の構造の折りたたみスマートフォンは出ているのですが、サムスンの製品はIPX8の防水に対応している点が大きな特徴。折りたたみスマートフォンはヒンジ部分から水の侵入の恐れがありますが、Galaxy Z Flip5とGalaxy Z Fold5ならその心配もありません。
Galaxy Z Fold5も本体をL字に折り曲げて使うことができます。カメラアプリなどは「上半分がカメラプレビュー、下半分がシャッターボタンやモード切替」のように2分割表示され使いやすいです。また上側でビデオ会議、下側で手書きメモを取る、といったアプリの複数同時利用も可能。大画面の折りたたみモデルにしかできない便利な使い方もできます。
③eSIM対応、Galaxy Z Fold5で試してみた
Galaxy Z Flip5、Galaxy Z Fold5はどちらもeSIMに対応しています。最近のAndroidスマートフォンもハイエンドモデルを中心にeSIMを利用できる製品が増えています。
eSIMの設定はiPhoneとほぼ変わりません。スマートフォンをあらかじめWi-Fiに接続させて置き、eSIM追加メニューから事前に購入したeSIMのQRコードを読むだけです。Galaxy Z Fold5で試してみましたが、7.6インチの全画面を使ってQRコードをプレビューするので読み込みエラーも置きにくいでしょう。
QRコード読み取り後の挙動もiPhoneとほぼ同等です。今回は新製品の発表のあった韓国で現地キャリアSKテレコムのeSIMを追加してみました。昼間は取材で時間が無く、夜の会食の時にようやくeSIMのテストを行いました。
eSIMの追加が完了されれば、SIMマネージャーの画面にeSIMが加わっていることがわかります。AndroidでのeSIM体験はまた追々行いますが、SIMの名前の下にキャリア名が表示される点はiPhoneよりわかりやすいと感じます。
ソウル市内で試してみましたが、韓国のプリペイドSIMは5G非対応なのが残念。4Gでは室内で下り20-40Mbps、上り10-20Mpbsでした。ソウルでのeSIM体験もまた追って行う予定です。
④折りたたみスマホの時代がやってきた
今回の2製品は、折りたたみスマートフォンをより一般化する製品だと感じます。Galaxy Z Flip5は閉じたままでも使えるため、スマートフォンの使用範囲が大きく広がります。Galaxy Z Fold5は大画面を普段はスリムなスタイルで持ち運べ、エンタメはもちろんペンを使って仕事にも活用できます。日本でも過去モデルはこれまで発売されてきており、今回の2製品も発売は確実でしょう。日本発売のアナウンスが待ち遠しい2製品ではないでしょうか。
香港在住の携帯電話研究家。海外(特に中国)のスマートフォンや通信事情に精通。IoT、スマートシティー、MaaS、インダストリアルデザインなど活動の幅は広い。最新機種のみならずジャンク品から百万円のラグジュアリーモデルまであらゆる携帯電話・スマートフォンを購入する収集家でもあり、その数はまもなく1800台に達する。