韓国の5Gは高速なのか?韓国用5G eSIMで速度をチェック
各国で4Gより高速な5Gサービスが提供されており、旅行者がプリペイドで購入できるeSIMで利用できる国も多くあります。一方プリペイドeSIMでは4Gしか使えない国もあります。今回は世界でも有数の5G大国である韓国で、現地以外のプリペイドeSIMを購入して5G回線を使ってみました。
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韓国対応5G eSIM購入時の注意
韓国の通信キャリア3社、SKテレコム、KT、LG U+はそれぞれ旅行者向けのプリペイドeSIMを販売しています。仁川国際空港でも購入でき、そのレポートは前の記事をぜひ参照してください。一方ネットで「韓国 eSIM」で検索すると、多数のeSIMが販売されています。日本人の渡航先としても人気の韓国はeSIMが買いやすい国でもあるのです。
ただし現地3キャリアの販売するプリペイドのeSIMは通信回線は4Gまでしか対応していません。韓国は5Gを世界最初にサービスインした国もであり、5G普及率は現時点で約4割に達しています。5Gは「ギガビット」の高速通信も可能なだけに、せっかくならこの5G回線を使いたいものです。
試しにアマゾンなどで「韓国 5G eSIM」で検索すると、いくつかの製品が出てきます。しかし使った人のレビューを読むと「実は4G(LTE)で5Gにはつながらない」といったものがいくつか見られます。そのため5Gの表記があるからといって、それを購入しても5G回線を使えないものもあるようです。
いずれにせよ韓国で使える5GのeSIMを購入し、現地で爆速な回線を使いたいのであれば、韓国キャリアが直接販売する以外のものを探す必要があります。そこで海外にも目を向けて検索してみたところ、ByteSIMの販売するeSIMが韓国の5Gに対応しているとのことで、購入してみました。
ByteSIMの韓国5G eSIMを購入、回線は中国聯通香港
ByteSIMは海外各国のeSIMを販売するプロバイダです。世界各国及びヨーロッパやアジアなどエリア別のeSIMを販売しています。
ByteSIM
今回はiPhone 12 mini日本版からブラウザを起動して買ってみることにします。以下はWi-Fiを接続した状態で作業を進めます。ブラウザでbytesim.comにアクセス後、国から韓国を検索。案内のページにはしっかり5Gの表記が赤文字で書かれており、これなら本当に5G回線を使えそうです。料金プランを見るとかなり細かくなっており、無駄なく選ぶことができます。この中で「データ無制限(*5Gネットワーク)」というプランが気になりますが、使い放題ならこれに越したことはありません。
ByteSIMの韓国eSIMの案内。5G無制限プランがある
そこでこの「データ無制限(*5Gネットワーク)」3日間を選びました。価格は9.4ドル(約1480円)でした。指示に従って進みます。すぐにPaypalでも払えますが、クレジットカードにしたのでメールアドレスなどを入力していきます。住所は選択式なのですが、住所まで入力するのはちょっと面倒ですね。
「データ無制限(*5Gネットワーク)」3日間を選択して購入へ
クレジットカード情報を入力して購入完了。注文番号が表示されますが、すぐにメールが届くのでこれをメモしておく必要は無さそうです。
クレジットカードで購入できる
メールでは購入のお知らせと、1分後にすぐeSIMのQRコードが届いていました。ここからiPhone 12 miniにインストールしていきます。QRコードからのインストールは過去記事にも書いていますが、QRコード長押しからそのまま可能です。
メールでeSIMのQRコードが届くのでインストール
eSIMのインストール途中で「中国聯通」の表記があります。どうやらこのeSIMは海外eSIMを多数出している中国聯通香港の回線を使っているようです。その後「個人」などの名前でeSIMがインストールされているのでタップして、わかりやすい名前に変えておくことをお勧めします。今回はKoreaにしました。ネットワークを見るとSKテレコムとなっており、韓国ではこのキャリアにローミング接続されています。このeSIMは韓国キャリアのものではなく海外キャリアのものなので、データローミングはONにする必要があります。
eSIMの中身は中国聯通香港だった。データローミングはONにする
5Gの回線速度は300Mpbs、4Gの10倍。データ定額だが上限1GB
eSIMのインストールが終わったらWi-FiをOFFにします。するとアンテナピクトの横に「5G」の表記がされ、5Gで通信できることがわかります。さっそくスピードテストを行うと307Mbps。ギガの速度には足りないものの、十分高速であることがわかります。場所を変えても287Mbps程度と、このあたりが上限速度のようです。なおデータ残量はシステムから概算でチェック。
5G回線速度は300Mbps程度
ここで2023年8月の記事、ソウルで韓国3社の4G回線をeSIMで使った時のデータと比較します。
SKテレコムの速度を見ると、下りは30Mbps前後であり、5Gは約10倍速いことがわかります。一方上り速度を見ると25Mbps前後。今回買った5G eSIMでは上りは5Mpbs前後ですから、上りは逆に4G回線のほうが5倍程度早いことになります。
2023年8月のSKテレコム4G eSIM速度テスト
さていくつかテストをしているうちに、急に速度が出なくなりました。下りは5Mbps、上りは4Mbps程度で、これより高速にはならなかったのです。このeSIMのプランは「データ無制限(*5Gネットワーク)」とあります。この「*」の意味は注釈で、定額と言いながらある程度使うとそれ以下は速度規制がかかるということなのです。システムの通信量を見てみると、どうやら1GBで上限に達してしまい、それ以降は低速回線になることがわかりました。
1GBを超えると低速になるようだ
4Gとの差は少なく、現状は4Gで十分
ByteSIMの韓国用eSIMは購入時は通信キャリアがどこになるのかの明記がありません。SKテレコムは韓国最大のキャリアですから5G回線品質にも定評があるところですが、ローミング回線だからなのか、あるいはプリペイド回線だからなのか、実測値で300Mbpsと5Gとしてはそれほど速くないという結果となりました。
また上記記事で、LG U+を見ると4G回線でも100Mbps前後の速度が利用できています。そう考えると韓国用のeSIMは現時点では速度を求めるなら無理に5G対応を買わなくとも、LG U+など4Gで高速なeSIMを選ぶほうがいいかもしれません。
なお4Gの回線速度だけを比べるとSKテレコムよりLG U+が高速ではあるものの、これはソウルでのテスト。韓国全体のカバレッジではSKテレコムのほうが上とも言われているので、地方の観光地に行く時などは速度だけではなくエリアを意識してキャリアを選ぶのもいいのかもしれません。
いずれにせよ、韓国キャリアが直接5GのeSIMの販売を早く開始してほしいと思いますね。
名桜大学人間健康学部健康情報学科教授。’90年代から携帯電話端末のレビューやサービスの解説を行ってきた。携帯電話情報サイトの編集長などを務めた後、2009年に大学教員に転身。以後スマートフォンの社会での活用などを研究テーマとして活躍。現在は医療・ヘルスケア分野へのデジタルデバイスの応用を中心に研究に従事。携帯電話コレクターとしても知られる。