山根康宏のワールドeSIMレポート
2024年2月27日

海外プロバイダ「Airalo」のeSIMを日本で使ってみる

2023年はeSIMを提供する会社が一気に増えた年でした。これはiPhoneだけではなくAndroidスマートフォンもハイエンドモデルの多くがeSIMに対応するようになったからでしょう。様々なeSIMがネット上で販売されていますが、今回は海外で販売されているAiraloのeSIMを日本で使ってみました。

 

①eSIMには国境無し

海外渡航に向かうとき、現地の通信回線は「日本のキャリアのローミング」「日本でWi-Fiルーターをレンタル」そして「現地でプリペイドSIMカードを買う」ことが一般的です。最近ではアマゾンなどで海外用プリペイドSIMカードが販売されており、日本を出発前に準備を済ませておくことも可能です。しかもeSIMならばメールですぐにQRコードを受け取ることができるため、出発直前や現地に到着してからも利用できます。

しかし逆のことを考えてみれば海外に行くだけではなく、海外で販売されているSIMカードを日本でも使えるわけです。そしてeSIMならば自宅ですぐに購入できます。eSIMは日本だけではなく海外でも多くのプロバイダが販売しており、日本に出張や旅行に行く人向けの製品も販売されています。これらeSIMは外国人専用ということもなく、日本に住んでいる日本人も使うことができるわけです。海外発行の日本向けSIMカードやeSIMの数はかなり多く、eSIMは国境を越えて使うことができるのです。

 

海外で販売されている日本向けeSIM

なお海外で発行されるeSIMの多くはデータ通信専用ですが、通話機能を持つものもいくつかあります。ただし電話番号は発行国のものであることが一般的なので、日本での通話はローミング料金となりかなり高額であり実用性はいま一つです。海外のeSIMを買う場合、通話機能にこだわる必要はなく、通話が必要な場合はSNSやメッセンジャーアプリの通話機能を使ったほうがいいでしょう。

②Airaloの料金プラン、日本向けも豊富

今回は海外のAiraloが発行するeSIMを使ってみました。Airaloについては以前の記事でも簡単に紹介しましたが、世界200か国向けのeSIMをオンラインで販売しています。

・最新技術があつまるドバイの展示会でeSIMスマホを探す
https://esim.love/blog/2023/12/18/1385/

Airaloのホームページは日本語にも対応しており、目的の国の料金も探しやすくなっています。またスマートフォン向けアプリもあるので、スマートフォンからeSIMの購入や登録も可能です。

 

日本語対応のAiraloのホームページ

気になる日本の料金体系は、2023年12月時点でデータが1GB、2GB、3GB、5GB、10GB、20GBの6タイプあり、有効期限は1GBが7日、2GBが15日、それ以上が30日となっています。価格はアメリカドル建てなので為替レートによって異なります。またプロモーションによる割引も定期的に行われます。eSIMを実際に利用した12月は10GBプランが半額で、5GBプランよりお得になっていました。

  • 2023年12月末時点の料金
    ・1GB:4.5ドル(約630円)
    ・2GB:6.5ドル(約920円)
    ・3GB:8.5ドル(約1200円)
    ・5GB:11.5ドル(約1620円)
    ・10GB:18ドル(約2530円)→9ドル(約1270円)*キャンペーン価格
    ・20GB:26ドル(約3660円)

なおデータ量の追加や有効期限の延長はできないため、容量・日数が不足した場合は新たにeSIMを追加購入する必要があります。

 

Airaloの日本向け料金

③アプリから日本用eSIMを購入

ではAiraloのアプリから日本用のeSIMを購入してみます。使用するスマートフォンは日本発売のiPhone 12 miniです。あらかじめWi-Fiで接続しておき、Airaloアプリのメニューから日本を選びます。続いて料金プランを選択。今回はキャンペーン半額の10GB 30日 9ドルを選びます。購入にはユーザー登録が必要ですが、SNSアカウントなどでログインできるのでGoogleアカウントから入りました。

 

AiraloアプリからeSIMを選択してログイン

画面の指示に従いクレジットカード番号を入力、eSIMの購入が終了します。

 

画面通りに進んでクレジットカードで購入

この状態ではまだ購入しか済んでいないため、続いてスマートフォンへeSIMをインストールします。購入終了画面最下段の「eSIMの詳細を見る」をタップすると、自分のeSIMの使用状況がわかりますが、まだインストール前なので購入プランの10GBが残った状態です。この画面で真ん中下のeSIMをインストールの下にある「手順を表示」をタップ、続けて指示に従いeSIMをインストールします。

 

eSIMの状態が表示されたがまだインストールされていないので進む

eSIMのインストール画面では画面下部に表示される「続ける」をタップして進めていきます。途中で「…SingtelからのeSIMをアクティベート…」の表示が出ることからわかるように、このeSIMはシンガポールのキャリア、Singtelが提供しているものをベースにAiraloが販売しているのです。

インストールが終われば画面上に緑の表示で「eSIMが正確にインストールされました。」と表示されるので画面を戻ります。次に設定画面のモバイル通信のSIM一覧から今インストールしたeSIMを探し、「副回線」などの名前になっているのでわかりやすい名前に変更したほうがよいでしょう。さらにそのeSIMを選びデータローミングをONにします。これは海外(今回はシンガポール)キャリアの回線のため、日本での利用はローミングになるからです。最後にWi-Fiをオフにすれば、無事データ通信が始まります。

 

このプランはSingtelの回線。インストール終了後は設定画面でeSIM名変更とデータローミングをONにする

④東京都内での使い勝手は?

設定画面では5G通信をオートにしましたが、アンテナピクトを見ると4Gの表示で、5G回線には接続できないようです。通信回線はソフトバンクを常時つかんでいました。

さっそく東京都内でスピードをテスト。下りの速度はだいたい40から100Mbps程度で十分安定しています。SNSや地図検索、動画視聴などもストレスなく行うことができました。ソフトバンク回線を使うので日本のソフトバンク契約者と同じ環境で使うことができるわけです。

 

回線速度は40-100Mbpsだった

ただし電波の弱い場所もあるようで、10Mbps程度とかなり遅くなることも。とはいえ移動すれば速度は復活したので、電波環境の悪さに起因しているものでありAiraloのeSIMそのものに問題があるわけではありません。また最高速度は130Mbpsを記録しました。

 

数か所でチェック

アプリはデータ残量がグラフ表示で見やすく、また有効期限も明示されるので使いやすいと思います。データパッケージの追加=eSIMの追加購入も簡単です。さらに紹介コードを使うと3ドルを自分と紹介者が受け取ることができます。海外旅行シーズンなどに活用すれば、数日分のeSIMを紹介料から入手することもできるでしょう。

 

見やすく使いやすいアプリ。紹介制度もある

⑤日本キャリアとの料金比較、緊急用途として十分使える

AiraloのeSIMはこのように日本でもデータが欲しい時に追加回線として購入して使うことができます。たとえば自分のスマートフォンの回線が調子悪い時、AiraloのeSIMを買って別キャリアを使うということもできるでしょう。とはいえ日本でどのキャリアを使うかは明記されておらず、今回はソフトバンク回線でしたが、今後は別のキャリアを使うサービスになるかもしれないので注意が必要です。

料金面では日本のMVNOも安いものの、多くはポストペイドなので契約が必要です。そのため即座に使うことはできません。また1ヶ月だけ使いたい場合はすぐに解約も面倒です。またMVNOは速度が遅いものもあります。

AiraloのeSIMなら使いたいときだけ購入でき、料金も10GBで約2500円(キャンペーンなら約1300円)、20GBで約3700円で1か月使え、1か月後には自動的に使えなくなりますからそのまま放置すれば利用も停止できます。そして通信速度は大手キャリアの4Gのフル速度が利用できます。このように考えるとAiraloの日本向けeSIMは、日本でも緊急用として十分使える価格設定になっているのではないでしょうか。短い期間だけ回線が1つ必要になったときなど、海外のeSIMもチェックすることをお勧めします。

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