世界最薄や色の変わるスマホなど、「スマホの祭典」で見つけた気になる10モデル
2025年3月3日から6日までスペイン・バルセロナで世界最大の通信関連イベント「MWC 25 Barcelona」が開催されました。スマートフォンの展示も数多く「スマホの祭典」とも言われる本イベントで、気になったスマートフォンを10機種ピックアップしました。シャオミなどメジャーメーカーだけではなく、新興国向けの製品の中にも注目すべきスマホがいくつかあったのです。それらの中からコンセプトモデルを中心に紹介します。
目次
世界最薄のコンセプトスマホ「SPARK Slim」
厚さが5.75mmという、普通のスマートフォンとして世界最薄サイズのスマートフォン「SPARK Slim」をTECNOが出展しました。TECNOはインドやアフリカで人気のメーカー。新興国向けなので低価格モデルばかりを出していると思いきや、昨年はローラブルディスプレイのスマートフォンを展示したり、今年は三つ折りスマートフォンも展示しました。いずれもコンセプトモデルですが、実際に動作する実機が展示されており、TECNOの技術力の高さを証明していました。
5.75mm厚のSPARK Slim
10倍望遠もワンタッチな「Tap Any Zoom」
スマートフォンのカメラ性能はどんどん高まっていますが、高倍率の望遠を取るときは画面で高い倍率を選んでも、目的の場所にフレームが合わなかったり、ピントがすぐに合わずにシャッターチャンスを逃すことがあります。TECNOの新技術「Tap Any Zoom」は、望遠レンズにデュアルペリスコープ方式を初採用。デュアルプリズム、レンズシフト光学式画像安定化、インテリジェント AI アルゴリズムにより最大30倍までの望遠画像をブレなくワンタッチで撮影できます。こちらの技術も実際に動作する試作モデルが展示されており、近いうちに製品になって登場するでしょう。
Tap Any Zoomカメラ搭載スマホ
スマホもレンズ交換式になる? シャオミのコンセプトモデル
高性能カメラフォン「Xiaomi 15 Ultra」を発表したシャオミは、さらなるカメラ性能を高めたスマートフォンのコンセプトモデルを展示しました。スマートフォンの背面にMagSafe互換のマグネットで装着できる、レンズユニットを取り付け可能なスマートフォンです。「Xiaomi Modular Optical System」と呼ぶこのシステムは、マイクロフォーサーズセンサーを内蔵したレンズユニットを交換レンズのように脱着できます。スマートフォンの内蔵カメラよりはるかに大きいレンズを採用できるため、明るさやボケに優れ、また望遠レンズの登場も可能になります。実際に実機を触ってみましたが操作性に違和感もなく、今すぐにでも発売してほしいと感じました。
レンズを装着できるXiaomi Modular Optical System
縦型三つ折りスマホも登場か
こちらのコンセプトモデルは残念ながらMWCで実機の展示がされなかった製品です。MWC直前にアナウンスされたため「ついに縦折り型も三つ折りの時代が来るのか」と期待されましたが、現時点ではまだ動作する製品は一般公開されていません。「ZERO Series Mini Tri-Fold」という名前のこのコンセプトモデルは完全に折りたたむと手のひらに納まる小さなサイズとなります。しかもバックパックのベルトに取り付けてアクションカメラのように使ったり、ヒンジを一か所だけ折り曲げて自立させるなど様々なスタイルで使用できます。ポケットにも無理なく入る大きさなので、スマートフォンの使い方を大きく変えるモデルになるでしょう。
ZERO Series Mini Tri-Fold
背面のデザインを変えられる楽しいスマホ
Infinixは背面にカラー電子ペーパーを搭載し、パターンや色をカスタマイズできるコンセプトモデルも出展しました。こちらの技術は「E-Color Shift 2.0 Technology」と呼ばれます。背面には46のカラー変更ゾーンがあり、スマートフォンの設定から好みのデザインを選択できます。またAI機能により、ユーザーが写真を選択するとそこからインテリジェントにカラーパターンを分析し、背面の色を自動的に変更するといった機能も搭載。パーソナライズの幅を広げてくれます。
E-Color Shift 2.0 Technologyで背面の色やパターンを変えられる
日本で製造されるキャタピラースマホが発売に
アメリカや日本に自社ブランドでスマートフォンやタブレットを展開しているOrbicは、重機メーカーのキャタピラーからライセンスを受け、「CAT」ブランドのスマートフォンを日本で製造しグローバルに販売すると発表しました。4月以降に本格的な生産が始まり、日本でも発売になります。CATのスマートフォンはタフな仕様が特徴ながらも本体の厚さを抑えるなど、使い勝手も重視したモデルが登場予定。またフィーチャーフォンも計画されています。Orbicは現在も日本でスマートフォンなどを販売していますが、ブランド力が低いことが弱みになっています。今後出てくるCATブランドのスマートフォンで、日本を含む全世界で一定のシェアを獲得することもできるでしょう。
OrbicのCATブランドスマホとケータイ
タフネススマホもスタイリッシュな製品が増える
CAT以外にも中国メーカーからタフ仕様のスマートフォンが数多く登場しています。その中の1社、Doogeeのタフモデルは他のメーカーの製品とは異なり、デザインがスタイリッシュ。厚みや重量は一般的なスマートフォンよりありますが、その外観デザインは普段使い用としても通用しそう。スーツ姿にも合うデザインの製品も出しています。タフネススマートフォンもMILスペックや使用可能温度幅の拡大、落下強度アップ、さらにサーマルカメラ搭載など各社の製品は似通った性能を競い合っているのが実情。Doogeeはデザインで差別化を図っているのです。
スタイリッシュなDOOGEE Blade10 Max
衛星通信スマホがこれから増える
iPhoneや一部のスマートフォンは衛星通信に対応しており、緊急時にもショートメッセージを送ったり位置情報を通知することができます。その衛星通信もスターリンクなど様々な規格がありますが、業界の標準規格であるNTN(Non-Terrestrial Network、非地上系ネットワーク)に対応したモデルが出てきました。Blackviewの「APEX 2」です。このモデルはタフなデザインをあえて強化した形状で、見た目からして頑丈なボディーは本格的なアウトドアユーズに最適。そして山岳地などでも緊急連絡を確実に行うことができます。
衛星通信ができるBlackview APEX 2。サイズは巨大だ
縦折スマホはもう普通の製品だ
MWCでは縦折りスマートフォンも複数製品の展示がありました。FROGというODMメーカーは相手先ブランドでスマートフォンを開発していますが、4G対応の縦折スマートフォンを出展していました。同社ブースでは実際に商談が行われており、今後どこかのブランドでこのモデルが販売される予定です。もはや大手メーカーだけではなくODMメーカーも縦折りスマートフォンを開発する時代になっているわけです。新興国のマイナーメーカーあたりから同じ製品が多数登場することでしょう。
FROGの縦折りスマホ
ふくろうの目のようなデザインのタフスマホ
これまたタフ仕様のスマートフォンですが、背面のカメラだけが大きく目のように目立つ姿は、まるでふくろうのよう。IIIF150というメーカーは薄型のタフ仕様のスマートフォンを複数展開しています。その中でも「Air2」はタフモデルの中で最薄という8.55mmの薄さ。Doogeeのようにデザインにフォーカスしたタフネスモデルは2025年のトレンドになるのかもしれません。
タフモデルで最薄のAir2 Ultra
香港在住の携帯電話研究家。海外(特に中国)のスマートフォンや通信事情に精通。IoT、スマートシティー、MaaS、インダストリアルデザインなど活動の幅は広い。最新機種のみならずジャンク品から百万円のラグジュアリーモデルまであらゆる携帯電話・スマートフォンを購入する収集家でもあり、その数はまもなく1800台に達する。