eSIMに次ぐSIMの第3の形状「iSIM」とは、ソラコムがiSIM対応通信モジュールを量産販売
eSIMに次ぐSIMの新たな形状として今後注目されるのがiSIM(Integrated SIM)です。従来のカード型SIMからeSIM(チップ型SIM)への変化を経て、現在最も注目される規格と言われています。
目次
iSIMとは? eSIMとどう違う?
通信キャリアが提供するモバイルネットワークを通じたデータ通信、すなわち「セルラー通信」を利用するためにはモデム機能を果たす「通信モジュール(SoC=System on Chip)」と契約者情報を紐づける「SIM」が必要です。SIMには物理的なSIMやeSIMがありましたが、これまでは通信モジュールとSIMはそれぞれ独立していたものでした。
iSIMは独立して存在していたSIMの機能を、SoCに1チップで統合する技術です。物理的なSIMやeSIMが不要になるため、IoT(モノのインターネット)デバイスの設計が簡素化され、小型軽量化、省電力化を実現でます。また、通信モジュールとSIMがワンストップになることで、デバイスの製造から販売のライフサイクルにおいて、部品調達や物流、保管コストの削減、環境負荷の低減も期待されます。
ソラコムがiSIMを商用化、対応通信モジュールを量産開始
IoTを活用するために必要となるアプリケーションやデバイスなどをワンストップで提供する株式会社ソラコムはこのほど、iSIMを同社のデータ通信サービス「SORACOM Air for セルラー」で利用するための通信モジュールの量産販売を開始したと発表しました。Quectel Wireless Solutions Co., Ltd. の「BG773A-GL」と株式会社村田製作所の「Type 1SC」の2種類で、価格はBG773A-GLがサンプル100個当たり2800米ドル、量産500個当たり9000米ドルから、Type 1SCが量産1000個当たり1万9500米ドルからとなっています。あわせて、両通信モジュールとも評価ボードの販売も始めます。
また、両通信モジュールは、複数の回線契約を1台のiSIM対応モジュールの中で切り替えて利用できる「サブスクリプションコンテナ」機能を活用して、OTA(Over the Air)によるアップデートでLTE-MやNB-IoTなどのIoT向けに最適化された通信プラン「planX3」を追加することもできます。この「planX3」は、LPWAN通信(LTE-M、NB-IoT)向けに最適化されており、IoTデバイスの利用シーンに応じた柔軟な対応が可能です。また、従来のSORACOM IoT SIM同様に、IoTプラットフォームSORACOMの回線管理やデバイス管理、クラウド連携、データ収集など、IoTシステムの構築や運用をサポートするサービスも利用できます。
BG773A-GL(iSIM)
提供元:Quectel Wireless Solutions Co., Ltd.
型番:BG773AGL02AA-16N-KSC
対応する通信規格:LTE-M/NB-IoT
提供形式:LGA(表面実装タイプ)のモジュールをリール形状で提供
価格:
500個 9,000 USD
2000個 35,000 USD
SAMPLE 100個 2,800 USD
詳細:https://soracom.jp/store/29323/
BG773A-GL-TE-B(iSIM)
型番:BG773AGLKSCTB-KIT
対応する通信規格:LTE-M/NB-IoT
付属物:LTE用アンテナ付属(1本)
提供形式:「BG773A-GL」を搭載した開発ボードキット
価格:
150 USD
詳細:https://soracom.jp/store/29509/
Type 1SC(iSIM)
提供元:株式会社村田製作所
型番:LBAD0XX1SC-713
対応する通信規格:LTE-M/NB-IoT
提供形式:LGA(表面実装タイプ)のモジュールをリール形状で提供
価格:
1000個 19,500 USD
2000個 38,000 USD
詳細:https://soracom.jp/store/30618/
Type 1SC 評価キット(iSIM)
型番:LBAD0XX1SC-DMS-EVK-B
対応する通信規格:LTE-M/NB-IoT
付属物:
LTE用アンテナ付属(1本)
提供形式:「Type 1SC」を搭載した開発ボードキット
価格:
300 USD
詳細:https://soracom.jp/store/30622/
IoTデバイスの多様化に期待
ソラコムが長年培ってきた小型パッケージ技術によって実現させた超小型モジュールとiSIM技術の組み合わせにより、IoTデバイスの設計が簡素化され、小型・軽量化、省電力化が実現します。また、通信モジュールとSIMがワンストップになることで、デバイスの製造から販売のライフサイクルにおいて、部品調達や物流、保管コストを削減、環境負荷の低減も期待されます。
名桜大学人間健康学部健康情報学科教授。’90年代から携帯電話端末のレビューやサービスの解説を行ってきた。携帯電話情報サイトの編集長などを務めた後、2009年に大学教員に転身。以後スマートフォンの社会での活用などを研究テーマとして活躍。現在は医療・ヘルスケア分野へのデジタルデバイスの応用を中心に研究に従事。携帯電話コレクターとしても知られる。