完全無料のeSIM登場! 広告視聴で使えるFirstyを日本で使ってみた
eSIMの価格をネットで調べると、100円程度で使える格安の製品も見つかります。しかしそれよりも安い「完全無料」を謳うeSIMがFirstyから提供されています。その仕組みは広告を見るだけで無料データ利用分が溜まるというもの。実際の使い勝手を日本で試してみました。なお今回テストに使用したスマートフォンは日本販売のiPhone 12 miniです。
目次
日本でも使えるFirsty、広告プランは無料
FirstyのeSIMには2つのプランがあります。「Firsty Free」は基本料金無料、「Firsty Fast」は1日1ユーロで使うことができます。世界各国で使用が可能でもちろん日本でも使えます。ネットワークは自動的に最適なものが選ばれるので特に気にして使う必要はありません。
どちらのプランでもメール、地図、WhatsAppなどメッセンジャーは無料で使えるとのこと。そしてFirsty Freeプランを選べばブラウザや他のアプリ、さらにYouTubeなど動画配信も無料で利用できます。ここまで太っ腹なサービスを提供できるのはユーザーが広告を見ることで無料データ使用時間を入手できるというビジネスモデルを展開しているからです。
無料と1日1ユーロ、2つのプランしかないFirsty
Firstyはオランダの会社であり、通信回線はオランダKPNのものを利用、オランダ以外の国では各国のキャリアでローミング利用することになります。通信回線は現地の通信情況に応じて適時、自動的に切り替わるので速度の低下を最小限に抑えるとのことです。もちろんローミングだからといって追加料金がかかることもなく、「無料」または「1日1ユーロ(から)」、のどちらかで使えます。
アプリから簡単にeSIMをインストール
FirstyのeSIMを使うには、まずはFirstyのアプリをダウンロードします。あとはGoogle IDなどでログインして先に進みユーザー登録を行います。途中で「よく使うアプリを次から選択」「テザリングはするか」といった項目が出てきますが、アンケートの類なのでサービス内容が変わることはありません。
インストール後、ログインが必要
初期設定が完了すると、プラン選択に移ります。完全無料の「Firsty Free」、1ユーロからの料金でより高速な「Comfort+」、2.5ユーロからとより高価格ですがさらに高速、ビデオ視聴にも対応する「First Class」です。今回は無料でどこまで使えるかを試すためFirsty Freeを選びました。
3つのプランがある
そのあとは画面の指示に従います。アプリから直接eSIMをインストールするので、QRコードを読むといった作業は不要です。
アプリからeSIMをインストール
インストールされたeSIMは「仕事」という名前で、そのままでもいいのですがわかりやすいように「Firsty」に変更しました。eSIMの詳細を見るとKPN NLという名称が見えますが、これはオランダのキャリアKPNのこと。そのため日本で使うためにはローミングをONにする必要があります。Wi-FiをオフにしてローミングをONにすれば、アンテナピクトの横に5Gまたは4Gの表示が出てくるはずです。
インストール後、ローミングをONにする
広告視聴も簡単、低速だが十分使える
eSIMインストールが終わったらアプリに戻ると、初期画面が表示されます。上に大きく「0 MINUTES」とあるようにデータ利用可能量は分数でカウントされます。その下にある「Watch ad」をクリックすると広告が表示されます。広告は15秒から30秒、場合によっては2本流れます。広告を視聴し終わると「Congrats! 60 Minutes of Free Data」の表示がされ、60分の無料データが獲得できます。
広告を視聴すると60分データが無料になる
画面下の「Continue」をタップしてアプリ画面に戻ると、上の部分に「59 MINUTES」とデータの残り時間が表示されます。60分を取得した瞬間からカウントが始まるので、すぐ59分という表示になるのですね。なお広告を見るために別途データ通信利用分を獲得する必要はなく、0分の状態でも広告を視聴できます。
この状態でメールをチェックすると問題なく読むことができました。では実際にどれくらいの速度が出るのでしょうか?冒頭の写真にあるように、通信速度は0.1Mbps(100Kpbs)でした。これはMVNOの低価格プランに近い速度と言えます。メッセージなどは何とか使えるというレベルです。
60分を獲得、メールチェックもOK。速度は0.1Mpbs
ブラウザを立ち上げてみると、写真の多いページは読み込みにやや時間がかかります。YouTubeは最低画質でもかなり止まってしまいますね。ショート動画も最初の2-3本を読み込んだ後、そのあとの読み込みは待たされます。TikTokも同様といったところ。見れないことはありませんが、読み込み待ちが長いので割り切って使うのがよさそうです。
ブラウザはギリギリ、動画のストリーミングはかなり待たされる
ところで60分を使い切る前に、念のため広告をもう一度見るとどうなるでしょうか。たとえば残り15分になったところで広告を見ると、15分+60分=75分が利用可能時間になるのではなく、最大で60分となります。そのため0分になってしまったら改めて広告を見る、という使い方でも十分でしょう。ちなみにロック画面には残り時間が表示されるので、あとどれくらい使えるかもすぐにわかります。
残り時間が何分でも、広告を見ると最大60分までとなる。残り時間はロック画面でも表示される
有料プランは快適に使える
このように無料プランはメッセンジャーを使う程度が実用的で、その他の利用はやや速度が厳しいところです。それでも完全無料で使えるのは便利であり、eSIMスマートフォンを持っている人はインストールしておくといいかもしれません。
またより高速に使いたいのであれば有料プランを使うのもお勧めです。Firstyによると有料プランは「1日1ユーロ(から)」となっているのですが、実際は購入日数によって料金は変わります。また最大購入可能日数は30日です。
Confort+
1日ー2日:1.7ユーロ/日
3日ー5日:1.4ユーロ/日
6日ー8日:1.3ユーロ/日
9日ー11日:1.2ユーロ/日
12日ー14日:1.1ユーロ/日
15日ー30日:1ユーロ/日
First Class
1日ー2日:2.9ユーロ/日
3日ー5日:2.5ユーロ/日
6日ー11日:2.2ユーロ/日
12日ー15日:2.1ユーロ/日
16日ー30日:1ユーロ/日
たとえばConfort+で1週間使うと1.3ユーロx7=9.1ユーロ(約1440円)なので、他社がより安いeSIMを出しているかもしれません。一方で1日だけ使うなら200円程度ですから緊急用として十分リーズナブルです。
さて今回は有料プランがどれくらい高速なのか、First Classを1日買って使ってみました。購入はアプリのトップページから、画面下部の購入エリアをタップ。次の画面で購入日数をスライドさせ、その下にあるConfort+かFirst Classを選びます。次の画面ではクレジットカードでの購入となり、購入が完了するとその旨表示されます。
画面下をタップして購入、日数とプランを選び、最後に「Activate now」をタップ
アプリ画面に戻ると残り日数が「1 DAY」となります。なお「AND 1HOUR」と1時間が追加されているのですが、これがボーナス時間なのかは確認できませんでした。その後使い続けていくと、残り時間は1時間ごとの概算で表示されます。
そして気になるのが通信速度。First Cassでは下り最大125Mbps、上り最大40Mbpsをマークしました。十分な速度です。これで1日(24時間)使えるのなら悪くはありません。
残り時間表示が変わった。速度は下り125Mpbsをマーク
4Gのエリアでも100Mpbs程度が出ていたのでかなり優秀と言えるでしょう。完全無料でもメッセージ程度は使えますし、緊急時には十分高速にも使えるFirsty、意外と使えるeSIMかもしれません。
香港在住の携帯電話研究家。海外(特に中国)のスマートフォンや通信事情に精通。IoT、スマートシティー、MaaS、インダストリアルデザインなど活動の幅は広い。最新機種のみならずジャンク品から百万円のラグジュアリーモデルまであらゆる携帯電話・スマートフォンを購入する収集家でもあり、その数はまもなく1800台に達する。