山根康宏のワールドeSIMレポート
2024年8月23日

短期滞在でもお得な価格、フィンランドのeSIMは5Gで快適

フィンランドの名前を聞くと、サンタクロースやオーロラ、あるいはムーミンなどのイメージが湧く人が多いでしょう。フィンランドに観光に行く人もいると思いますが「日本から一番近いヨーロッパの都市」である首都ヘルシンキで飛行機を乗り継いで、他のヨーロッパ諸国へ行く人も多いかと思います。フィンランド航空もそのようにヨーロッパ乗継チケットをよく販売しています。

そのためヘルシンキへの滞在はトランジットの1日だけ、なんてこともあるかもしれません。そんな滞在客が多いことからか、フィンランドのキャリア「Elisa」は短期滞在者向けにも便利なeSIMをオンラインで販売しています。

短期滞在者への考慮もあるElisaのeSIM

ElisaのeSIM料金は、使っただけ払う従量料金と、データ量が一定期間含まれるパッケージ料金の2種類があります。まず従量料金はデータ料が0.066ユーロ/MB(約11円)、1日最大0.99ユーロ(約160円)とのこと。ただし速度などの情報が無く、別途インターネットパッケージがあることから、通信速度は遅いものと考えられます。従量料金の場合はeSIM購入時に10 / 15 / 20 / 30ユーロの料金を選ぶことができます。

 

ElisaのeSIM販売ページ

一方スマートフォンでデータ通信を行う場合はインターネットパッケージとなります。データ利用量は無制限で、4Gか5Gか、そして5Gでも通信速度が2種類あります。なおフィンランド以外のEU圏でもローミング利用できます(データ利用量は上限あり)。利用日数と料金の順番に並べると以下の通り。

・5G Turbo 600Mbps 3日:5.49ユーロ(約890円)
・4G Data 200Mbps 7日:8.99ユーロ(約1460円)
・5G Data 300Mbps 7日:9.99ユーロ(約1600円)
・4G Data 200Mbps 30日:24.99ユーロ(約4050円)
・5G Data 300Mpbs 30日:29.99ユーロ(約4860円)

3日で890円は安いですし、7日でも1500円前後、リーズナブルと言えます。

 

スマホ向けのデータパッケージ

また音声通話の含まれた料金もあります。こちらはフィンランドに出張で行くとか、長期滞在する人向けと言えるでしょう。いずれも有効期限は30日で、料金は約5000円以上とやや高価です。

 

音声通話込みのパッケージ

スマートフォンから購入、eSIMのPINに注意

ではElisaのプリペイドeSIMを購入してみます。アプリはないのですべてブラウザからの操作です。スマートフォンをWi-Fiに接続した上で、ElisaのプリペイドeSIM購入ページを開きます。

Elisa
https://lataa.elisa.fi/en/esim

画面を下にスクロールして希望のeSIMをタップします。今回は最短の3日間のTurbo 600MB、5.49ユーロを選択。さらに下にスクロールして「Continue」をタップします。

 

Elisaの販売ページから希望のeSIMを選ぶ

次の画面にはメールアドレスを入力、その下にある「I Accept the agreement terms」だけにチェックを入れて「Accept」をタップ、次の画面はもう支払いになります。カードを選んで番号などを入力して最後に「Pay」を押せば購入完了。簡単です。

 

メールアドレス入力後はクレジットカードで購入できる

購入後はすぐにeSIMが発行されます。画面をスクロールしていくと購入内容が表示されます。なおフィンランド以外のEU各国では6GBまで使えると記載があります。そして途中にある「PIN」の4桁の数字を必ずチェックしてください。今後のeSIM使用の時に必要になります。おそらく誰もが買っても1234に設定されていると思われますが、自分の購入画面を確認してください。さらにスクロールを進めていけばQRコードなどのeSIM情報が表示されます。なおこの画面はメールでも届きます。

 

カード支払い後、すぐにeSIMが発行される。PIN番号を必ずメモしておく

このQRコードを使ってスマートフォンにeSIMのインストールを進めていきます。インストールの途中で「SIMのPINを入力」という画面が出るので、先ほどメモした1234(半角)を入力してOKをタップ、そのまま進めばeSIMのインストールが完了します。インストール後は設定画面からモバイル通信を開いてeSIMを確認します。おそらく「仕事」などの名前になっているので、わかりやすいように今回は「elisa」に名前を変えておきました。

 

eSIMインストール途中にPINの入力を求められる

このPINはSIMカードの不正利用を防ぐものですが、はっきり言って「百害あって一利なし」、不要です。数年前にネット上などで「スマホのセキュリティーを高めるためにSIMのPINを登録したほうがいい」などとわけ知った顔でアドバイスする声もありましたが、PINの入力を3回間違うとPUK(購入時のPINの下に記載されている)の入力などが必要になり、それも間違うとSIMを一切使うことができなくなります。SIMカード / eSIMのPINは購入時に設定されていた場合は即座に解除するべきです。

PINの解除は設定からモバイル通信を開き、インストールしたeSIM(今回は名前をelisaにしている)をタップします。eSIMの画面になったら下へスクロールすると「SIM PIN」とあるのでタップします。次の画面でSIM PINがONになっているので、ここをスライドさせてOFFにします。

 

eSIMの詳細画面からSIM PINを外す

これだけでは解除できず、次の画面で最初に登録されているPIN、今回購入したeSIMの1234(半角)を入力します。入力後は画面右上の「完了」をタップ。これでSIMのPINが解除されます。

 

市内で5Gの速度は快適、郊外は4G

さっそくヘルシンキの空港で使ってみました。スマートフォンのWi-FiをOFFにするとアンテナピクトには5Gの表示がされ、5Gで接続されていることがわかります。下り速度は400-450Mbps、上り速度は50Mbps前後と快速でした。このeSIMは最大速度600Mpbsとのことで、実測でこれだけ出れば十分でしょう。またデータ使用量は無制限なので、動画を見るのも安心・快適です。

 

ヘルシンキの空港では400Mpbs以上を出した

空港では荷物を預けたりした後に、市内に出ることにしました。ヘルシンキ空港から市内までは鉄道で約30分。P線とI線があるのですが、実は環状線で東京の山手線や大阪の大阪環状線のような運行形態、ヘルシンキ中央駅が終点です。空港はほぼ中間地点にあるので、どちらに乗ってもだいたい同じ時間で中央駅に到着できます。

今回はトランジットで半日の滞在だったためにヘルシンキ中央駅付近のショッピングモール巡り程度しかできませんでした。中央駅付近での速度は下りが300Mbps前後、上りは50Mbps前後。空港よりはやや速度が落ちますが、それでも十分高速ですね。なおショッピングモールの中も若干速度が落ちて200Mbpsを切ることがありましたが、5Gでの接続は維持されていました。

 

ヘルシンキ中央駅では300Mbps前後

なお中央駅からだいぶ離れると通信回線は4Gに落ちます。空港への鉄道でも中央駅と空港からかなり離れるとアンテナピクト表示は4Gとなり、下りが40Mbps前後、上りは5Mbps前後でした。4G回線であればこれくらいが妥当なところでしょうか。

 

4G接続では速度が落ちる

日本からのローミングとの比較・まとめ

フィンランドをトランジットや旅行で訪れるのであれば、3日プランか7日プランを買うことになるでしょう。5Gプランでそれぞれ約890円、約1600円です。

ドコモの世界そのままギガと比較すると、トランジット利用に使える24時間プランは980円なので、Elisaの3日プランのほうが安いですね。また2日プランで1780円なので、Erisaの7日プランのほうが安上がりです。このようにフィンランドへ行く場合はElisaのeSIMを買った方がお得と言えるでしょう。

そしてahamoは2970円の月額で20GBを日本と海外で使えます。日本で「ギガ」が残っており、数日の滞在ならそのままahamoをフィンランドで使うのもわるくないと思います。とはいえElisaなら7日間1600円でデータ定額ですから、フィンランドを訪れるときは購入を検討するのもよさそうです。

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