山根康宏のワールドeSIMレポート
2024年8月9日

パリで使えるフランスキャリアのeSIMはヨーロッパローミング対応

2024年夏季オリンピックの開催地だったパリ。普段でも多い観光客もオリンピック期間中はさらに増えていたことでしょう。このパリ・フランスで使えるeSIMは様々なものが販売されていますが、今回は確実につながる安定性を考えて地元フランスキャリア、Bouygue(ブイグ、以下カタカナで表記します)のeSIMをオンラインで買って使ってみました。フランス企業の製品なのに日本語ページから日本語で購入可能、ヨーロッパ各国でも使える優れたeSIMです。なおテストに使ったスマートフォンは日本で購入したiPhone 12 miniです。

日本語対応のブイグのeSIM購入ページ

海外旅行や出張に行くとき、ネットでeSIMを検索すると数多くの製品が出てきます。しかし値段につられて商品ページにいてみると英語だけの表記で、内容がよくわからない、なんてこともあるかと思います。一方で日本語で購入できるページも多くありますが、どれがいいか判断できないこともあるでしょう。

海外用のeSIMは様々なタイプが販売されていますが、一番安定して使えるのは渡航先の国のキャリアが発行するeSIMです。今回の目的地はパリなのでフランスのキャリアのeSIMを買うことにしました。とはいえフランスのキャリアのWEBページを開いてみると、いきなりフランス語で何が書いてあるかさっぱりわかりません。翻訳しながらなんとか先に進める、そんな状況です。

ところがフランスキャリアのブイグ(Bouygue)は海外からの渡航者向けに日本語のページを用意しているのです。購入もすべて日本語でOK、またeSIMの価格も高すぎるということも無く、フランスに行くならお勧めのeSIMと言えそうです。しかもそのままヨーロッパローミングも可能なので、フランスついでに他の国を訪問するときも利用できます。

ブイグのeSIM購入ページはこちらです。
https://bouygues-telecom.simoptions.com/ja/

 

ブイグなら日本語でプリペイドeSIMが買える

 

オンラインで購入してみる

ではブイグのeSIMを購入してみます。今回はPCのブラウザから購入してみました。上記URLからWEBページにアクセス、すると恐らく39.9ユーロのSIMの案内が出ているはずです。こちらは30GB使えますが約6500円と高いですね。そこで画面をスクロールして下へ進むと他のeSIMオプションが選べるので「Travel Basic」を選ぶことにしました。ちなみに販売されているのは以下の3製品。いずれもフランスに加え、ヨーロッパ約50の国・地域で使えます。

・My Europian eSIM 39.9ユーロ(約6500円):30GB / 30日
・Travel Basic+ 19.9ユーロ(約3300円):15GB / 15日
・Travel Basic 16.9ユーロ(約2800円):15GB / 15日

ただし実際の購入ページに行くとTravel Basic+は21.9ユーロ(約3600円)、Travel Basicは19.9ユーロ(約3300円)でした。どうやら価格改定が商品ページに反映されていないようです。

 

下にスクロールしてTravel Basicをクリック

画面に「Travel Basic eSIM Plan」の表示と16.90ユーロを確認したら「ESIMを購入します」をクリックします。

 

ESIMを購入をクリック

購入ページでは確かに19.9ユーロになっています。名前、メールアドレス、電話番号を入力。電話番号は日本の番号で81-90-1234-5678のように、日本の国番号の81から入力します(携帯番号の090や080は、頭のゼロを抜く)。そしてその下にある「スマートフォンがeSIMに対応していることを確認しました。 互換性を確認してください」をチェックしてください。

そのあとの住所を続行ではクレジットカードの住所をローマ字で入力、最後に「お支払い」でクレジットカード番号を入れて購入できます。

 

日本語なので難しいことはないだろう

クレジットカード番号を入力すると注文完了画面となります。日本でショッピングするのと同じ感覚で購入できます。

 

注文確認メールも日本語だ

そのあとはメールをチェック。なおブイグのeSIMはeSIMプロバイダのSimOptionが販売業務を行っているので、メールはSimOptionのドメインから到着します。まあタイトルを見ればブイグのeSIMのものであることがわかるでしょう。

SimOptionからメールが届く

このメールにはPDFの添付ファイルがあり、そこにeSIMのQRコードと「SM-DP+ アドレス」が記載されています。これをスマートフォンにインストールすれば使用できるわけです。

 

PDFファイルにはQRコードが記載されている

購入したeSIMはフランスのみで開通可能

スマートフォンへのeSIMのインストールは他の記事などを参照してください。今回はPCで購入したのでそのままPDFのQRコードを画面に表示し、スマートフォンから読み込みました。インストールしたeSIMは「仕事」などわかりにくい名称になっているので、すぐに変えたほうがいいでしょう(今回はBouyguesに変更)。インストールしたeSIMのデータをONにすれば、すぐに開通して使用できます。開通後はSMSで電話番号が通知されます。

なおフランス国内で使う場合はデータローミングをONにする必要はありません。他のヨーロッパの国で使う場合は必ずデータローミングをONにします。

またこのeSIMはフランス以外で使えるものの、最初の開通はフランスで行う必要があります。事前に日本でeSIMを購入してスマートフォンにインストールして、ロンドン経由でパリに行くような場合、ロンドンではeSIMは開通できずデータ通信ができないのです。必ず最初にフランスでeSIMの開通を行う必要があります。

 

eSIMインストール後は名前を変えたほうがいい。フランスではデータローミングはOFFでよい。SMSで電話番号が通知された。

パリ市内でeSIMを使用、4Gで速度は合格点

ではパリ市内で使ってみました。さっそく凱旋門へ向かいます。スマートフォンのアンテナピクトは4Gで、5Gへの接続は出来ないようでした。凱旋門での速度は下りが50Mbps弱、上りが15Mbps前後。高速とは言えないものの十分使える速度で、SNSや動画視聴なども問題なく行えます。

 

凱旋門の速度

 

その後市内各地を探索しましたが、下り速度は30 – 50Mbps、上り速度は10 – 20Mbpsでした。この速度で15GBもあれば1週間程度の長期滞在でもデータ不足になることは無いでしょう。

 

パリ市内数か所でも速度は同程度

最後にシャルルドゴール空港で速度を計ったところ、4Gながらも下りは150Mbpsをマーク。もしかしたら5Gにつながってたのかもしれませんがかなり高速でした。とはいえできれば市内でもこれくらいの速度が欲しいところです。

 

シャルルドゴール空港は高速アクセス可能だった

なおアプリでのデータ残量確認はできないので、スマートフォンの設定画面のデータ使用量から概算で使ったデータ量を確認する必要があります。

パリより高速なロンドンとヘルシンキ

さてパリの後はイギリス・ロンドンとフィンランド・ヘルシンキにも立ち寄ったのでブイグのeSIMをそのまま使ってみました。前述したようにeSIMの設定画面からデータローミングをONにしておきます。

まずロンドンは市内中心部数か所で測定したところ、下りは100Mpbs前後とパリより高速でした。一方上りは10Mbps前後と速度は若干遅めです。ロンドンは1泊のみでしたが不自由なく使えました。

 

ロンドンのヴィクトリア駅にて

続いてヘルシンキです。空港から中央駅まで電車で向かい、中央駅周辺で速度テストを行いました。ヘルシンキは100Mbpsを超えることはなく、それでも90Mpbs前後と十分な速度です。一方上りはかなり遅く、1Mbps台しか出ませんでした。ここまで遅いとSNSの写真アップロードにもやや時間がかかりますし、動画のアップロードはちょっと待たされる感じです。このあたりはローミングなので仕方ないところでしょう。

 

ヘルシンキ中央駅、空港からの電車を降りてすぐにテスト

日本からのローミングとの比較・まとめ

日本のローミング料金と比較すると、ドコモのドコモの世界そのままギガのフランスの料金は4日間が3280円です。ヨーロッパ旅行や出張で4日間というのは最低滞在日数で、実際はそれより長く滞在するのではないでしょうか?世界そのままギガの5日間料金は3980円。ブイグのTravel Basicは19.9ユーロ(約3300円)、15日間15GB利用可能です。フランスや他のヨーロッパ諸国滞在が5日以上になる場合は、ブイグのeSIMのほうがお得です。

また海外用SIMとして使うのも便利なahamoは月額2970円で20GB、海外では15日間使えます。ahamoを国内で併用している場合は、余ったギガを海外でも使える点は便利ですね。ただ日本である程度ギガを使う用ならば、ブイグのeSIMを海外用に買うのもよいでしょう。

今回購入したブイグのeSIMは購入のしやすさやリーズナブルな料金から、フランスのみならずフランスを起点としてヨーロッパ各国を訪問する人に便利な製品だと感じました。

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