eSIM TIPS
2024年6月10日

eSIMがいよいよ本流に? 新iPadはeSIMオンリーに

2024年5月7日にAppleが発表した新型「iPad Pro」と「iPad Air」のWi-Fi + Cellularモデルでは、ついにSIMスロットがなくなり、eSIM専用モデルとなりました。

 

eSIM専用となった新型iPad(Apple社ホームページより)

いよいよSIMスロットがないiPadが日本で発売に

さる5月7日に発表され、5月15日から販売が開始されたiPad最新モデル「iPad Pro(M4)」と「iPad Air(M2)」は、どちらもWi-Fi+Celluer版がeSIM専用モデルとなりました。iPhoneや従来のiPadにあったnanoSIM(物理SIM)のスロットが廃止され、利用できるSIMはeSIMのみとなりました。

端末をeSIMのみ対応とするには、当然販売する通信キャリアにおけるeSIM提供体制が整っている必要があります。わが国でiPadを販売する各キャリアもすでにeSIMの提供が可能となっていますので、これを機に踏み切ったのでしょう。

また今回モデルチェンジしたiPad Proはとても薄型で、物理的なSIMカードを挿入するスペースを作るのに限界があったかもしれませんし、耐久性を維持するためSIMスロットを廃止したかったという狙いもあったのかもしれません。

 

iPad Proの薄さをAppleも強調する(Apple社ホームページより)

じつは米国ではすでに2022年発売のiPhone 14からeSIM専用となっており(米国以外で販売されるiPhoneにはSIMスロットが存在)、eSIMの普及が進めば日本で販売されるモデルもいずれeSIM専用モデルになっていくのだろうと思われていましたが、案外早くeSIMが本流になっていくのかもしれませんね。

海外旅行などにも重宝するeSIM

eSIMのメリットとして、複数のeSIMを保存しておくことが可能です。最大数は筆者も確認できていませんが、iPhoneやiPadは最大で8つほどのeSIMを保存できるとも言われています。

デュアルSIMとして2回線同時に待受け状態にして利用することができるほか、普段使わないeSIMも削除することなく端末に残しておき、必要な時に切り替えて使用するということが可能です。

また海外旅行などで、現地で利用するためのデータ通信プランをeSIMで追加するといった使い方もできるわけです。その際に、普段日本でメインに使用しているeSIMも、削除することなく端末内に留めておくことができるのです。

 

eSIMなら複数のプロファイルをスマホに蓄積できる

AppleはこれまでもSIMの変革を試みてきた

そもそもAppleは、SIMの改革を先陣切って取り組んできた端末メーカーともいえます。物理的なSIMカードのうち、最も小型の「nanoSIM」を最初に採用したのもAppleでした。2012年に販売されたiPhone 5がnanoSIMの最初のモデルとなりました。現在ではほとんどのスマホがnanoSIMを採用しています。

そしてeSIMの概念もAppleの試みから始まったと言えそうです。Appleは2014年にApple SIMという独自のサービスを通じて「遠隔ダウンロード型のSIM」を先行して実現させました。eSIM規格に正式対応した最初の端末は2016年登場のサムスンGear S2でしたが、同年にAppleが発売した9.7インチiPad Proから独自の内蔵SIMに対応させ、以後はeSIM規格に対応したモデルを販売してきています。

Celluer版のiPadはまさにAppleのSIM変革の旗艦といえそうですね。

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