株主優待でデータ通信用eSIMを配布?!、楽天グループ
楽天グループは2023年12月26日に、株主優待の内容を変更すると発表しました。2023年12月末時点の株主名簿に記載された100株(1単元)以上を保有する株主を対象とし、データ通信専用eSIM(30GB/月)を無料提供します。eSIMの利用期間は保有株式数や保有期間に応じて最短3カ月間から最大で6カ月間まで。
目次
●楽天グループの株主優待の内容
楽天グループでは、株主優待として2022年までは電子マネー「楽天キャッシュ」を500~2500円分配布していました。2023年はこれを楽天モバイルのデータ通信用eSIMに変更して、保有株式数や保有期間に応じて次のように配布すると発表しました。
まず、株主優待の対象となるのは、12月27日までに100株以上保有している株主となります。保有株式数や保有期間に応じた優待の内容は下表のとおりです。
株主には「第27期 楽天グループ株式会社 定時株主総会・株主優待 専用サイトのご案内および ID・パスワードのご通知」が郵送され、この通知書に記載の専用サイトにて申込み手続きを行います。通知書は、第27回定時株主総会招集ご通知等に同封され、2024年3月上旬に発送予定とされています。
継続5年以上保有の対象者とは、2018年12月31日の株主名簿を計算の起点とし、株主名簿確定基準日(6月30日および12月31日)の当社株主名簿に、同一株主番号で連続11回以上記載または記録された株主となります。
相続や株主名簿からの除籍等により株主番号が変更になった場合、保有株式をすべて売却するなどして株主名簿に記載されていない期間がある場合は、その直後の基準日からの起算となります。また保有株式数は、2023年12月31日を基準とし、途中の基準日の保有株式数については考慮しません。
なお提供されるeSIMはデータ通信のみ可能で、通話はできず、利用期間が過ぎれば自動解約となります。また優待専用の特別仕様であり、一部利用できない機能もあるとしていいます。
また、同一楽天IDで複数回、本優待をお申込みいただくことはできないとしており、同一株主には保有株式数が多数でも、1回線の提供のみとなるようです。
●まとめ
通信事業者の株主優待として通信サービスが無償提供されるというのは、通信の利用が欠かせないものとなった現代において良い試みと感じます。楽天グループも「株主の皆さまにも是非サービスを体験いただき、楽天グループが注力する楽天モバイルについて理解を深めて頂ければ」と説明しています。
もちろん楽天グループにとって通信サービスは事業の一部でしかありません。通信には関心を持たない株主も多数いるでしょう。一方で楽天モバイルをすでに契約しているユーザーにとっては、不要の株主優待になってしまうかもしれません。
株主優待の内容について、データ通信専用eSIM以外の複数選択肢があったほうがいいかもしれません。筆者は、このeSIM提供という株主優待が永続的に提供され、通年で通信サービスが利用できるのであれば、楽天グループの株主になるのも良いかと感じました。
名桜大学人間健康学部健康情報学科教授。’90年代から携帯電話端末のレビューやサービスの解説を行ってきた。携帯電話情報サイトの編集長などを務めた後、2009年に大学教員に転身。以後スマートフォンの社会での活用などを研究テーマとして活躍。現在は医療・ヘルスケア分野へのデジタルデバイスの応用を中心に研究に従事。携帯電話コレクターとしても知られる。