iPhoneのeSIMユーザーに朗報、次期iOSでは電話番号別に着信音やメッセージを管理可能に
アップルは7月13日より、次期iOSであるiOS 17のパブリックベータ版の配信を開始しました。iOS 17は今秋から一般公開されるものですが、それに先立ってiOS 17の新機能をいち早く試すことができるのです。色々な新機能が追加されますが、eSIMユーザーの皆さんにとっても利便性が向上する新機能が盛り込まれていますよ。
目次
①そもそもパブリックベータ版って?
ソフトウェアにはベータ版と呼ばれるものがあります。これはソフトウェアを開発する際に、発売前の開発途中で多くの人に試してもらい、その評価や意見を聞くことを目的として提供されるものです。iOSでも同様に新たなバージョンが登場する前にベータ版が公開されます。
iOSの場合は「開発者向けベータ(デベロッパベータ)」と「パブリックベータ」の2種類があります。「開発者向けベータ」は、アプリ開発者が既存アプリの互換性を確認するために公開されています。一方「パブリックベータ」は、正式リリースよりも早く新しいiOSに触れたいと言う人に向けたiOSベータ版となっています。
リリース時期の流れとしては、『開発者向けベータ版の公開 → 開発者の意見を取り入れつつ、何度か新しいバージョンを公開 → パブリックベータ版を公開し、一般の希望者へ提供 → 全ての不具合が解消し、全世界へ正式リリース』となります。
②次期iOSでeSIMユーザーに役立ちそうな機能
iPhoneでeSIMを活用するユーザーはほぼ間違いなくデュアルSIMとして2回線を同じiPhoneで活用しているはずです。これまでのデュアルSIM対応iPhoneでは、SIMごとにメッセージを振り分けることができませんでした。しかし次期iOSからはこれが回線ごとに振り分けられるようになります。つまりSIM1の番号宛に送られてきたメッセージは、SIM2での受信分と別々に保存されるのです。プライベート用とビジネス用で番号(SIM)を使い分けるといったときに、それぞれを管理しやすくなり利便性が確実に向上します。
さらに次期iOSではSIMごとに別々の着信音を設定できるようになります。これまでは、着信音だけではSIM1での着信なのか、SIM2の着信なのかを区別できませんでした。着信音だけで回線を区別したかったユーザーには待望の機能といえます。
③パブリックベータ版iOSのインストール方法
秋以降、iOS 17の正式配信が開始された後は、通常のiOSアップデートと同様にiPhoneの設定画面から更新が可能になります。現時点で配信されているパブリックベータ版は、前述の通り開発者やテスター向けに配信されるもので、正式配信前に試しにiOS 17を利用してみたいというユーザー向けのものです。このため不具合が発生する可能性もあり、あくまで自己責任で“お試し”したいという方向けと考える必要があります。
このため、インストールにあたり万が一不具合が発生した際に通常版iOSに戻せるよう、必ずiPhoneのバックアップをしておきましょう。
開発者向けベータ版をインストールするには、まず「Apple Developer Program」というAppleの開発者プログラムに登録する必要があります。これまでベータ版のiOSを利用するには、年額12,980円を支払う必要がありましたが、これが今回からは不要になりました。
続いて、Apple Developer Webサイトへのサインインで使用するApple IDでiPhoneにサインインし、設定画面を開きます。「設定」>「一般」>「ソフトウェアアップデート」>「ベータアップデート」の順に選択し、デベロッパベータ版を選択します。新しいデベロッパベータ版が利用可能になり次第、「ソフトウェアアップデート」からインストールできます。
④まとめ
パブリックベータ版はあくまで開発途中のiOSであり、正式版の配信前に先がけて新機能にアクセスできるわけですが、その分、より不安定なバージョンでもあり、ご利用はあくまで自己責任であることは言うまでもありません。
- Appleベータ版ソフトウェアのインストール
https://developer.apple.com/jp/support/install-beta/
名桜大学人間健康学部健康情報学科教授。’90年代から携帯電話端末のレビューやサービスの解説を行ってきた。携帯電話情報サイトの編集長などを務めた後、2009年に大学教員に転身。以後スマートフォンの社会での活用などを研究テーマとして活躍。現在は医療・ヘルスケア分野へのデジタルデバイスの応用を中心に研究に従事。携帯電話コレクターとしても知られる。