日本発売を希望したいOPPO Find N3シリーズはeSIM対応の折りたたみスマホ
2023年10月19日にOPPO(オッポ)はシンガポールで折りたたみスマートフォン2製品を発表しました。横折りスタイルの「Find N3」、縦折り式のフリップ型「Find N3 Flip」です。2タイプの製品を出しているのは他にはサムスンとファーウェイだけ。しかもOPPOはこの2モデルをグローバルにも展開します。日本でもぜひ発売してほしいこの2機種をシンガポールで触ってきました。
目次
①ハッセルブラッドカメラ搭載、アプリ複数利用も便利なFind N3
OPPOのスマートフォンは日本でも「Reno」シリーズが販売されています。売れ筋モデルは価格を抑えたコスパ重視の「Reno9 A」などの「A」シリーズですが、高性能なカメラを搭載した「Reno10 Pro 5G」も10月から販売されています。一方、今回紹介する2つのモデルはハイスペッククラスの上位モデルとなる「Find」シリーズ。Find N3は本体を横に開く折りたたみ式のモデルです。
折りたたみスマートフォンは重量が重く、厚みもあるイメージがあります。たとえばグーグルの「Pixel Fold」は重量が283g。サムスンの「Galaxy Z Fold5」はたたんだときの厚みが13.4mmとなります。これに対してFind N3は重量は239gで、これはiPhone 14 Pro Maxの240gよりも軽量。また閉じたときの厚さは11.7mmと薄くなっています。さらに閉じたときの画面サイズは6.31インチ、20:9の縦横比で、Pixel Foldの5.8インチ、Galaxy Z Fold5の6.2インチより大きく、普通のスマートフォンとほぼ同じ形状なので使いやすく感じます。
OPPOのハイエンドスマートフォンは老舗のカメラメーカー、ハッセルブラッドと提携しています。Find N3もハッセルブラッド監修のカメラを搭載しており、絵作りの点では他社の折りたたみモデルを超えています。しかもメインカメラは4800万画素、超広角も4800万画素、望遠は3倍で6400万画素。他社のハイエンドモデルと変わらぬ高画質なカメラを3つも搭載しているのです。
Find N3は開いた画面で複数のアプリも自在に分割して表示できます。アプリを使用中に、画面中央を2本の指先で上から下にスワイプすると「モーゼの十戒」のごとく、アプリが左右に割れたような表示になります。この状態で別のアプリを起動すると、左右にアプリが並んで表示されるのです。さらにショートカットバーからアプリアイコンをドラッグして重ねることで、画面の3分割表示も可能。大きい画面を活かして「地図検索しながらお店の情報をチェックして予約する」なんてことも、1画面でできてしまうのです。
そしてeSIMにももちろん対応。最近のスマートフォン新製品は、一部の国向けを除きグローバルモデルのハイエンド機はほぼeSIM対応が当たり前になっています。今回はeSIMのテストまではできませんでしたが、グローバルモデルでもあり世界各国のeSIMに対応。筆者の知人のジャーナリストは発表会の行われたシンガポールのeSIMで動作確認ができたとのこと。
②縦型アウトディスプレイで動画撮影も動画視聴も楽しいFind N3 Flip
もう1つの新モデル、Find N3 Flipは縦に折りたためるフリップスタイルのスマートフォンです。こちらもハッセルブラッドのカメラを搭載しており、カメラ性能もなかなかのもの。またコンパクトにたたんで持ち運べるスタイリッシュなデザインが若い世代にも受けている。
本体を開くと6.8インチのディスプレイが使えます。開いた状態では折りたたみモデルであることを意識せず、そのまま普通のスマートフォンとして使えるわけです。ディスプレイの解像度は2520 x 1080ピクセル、21:9とやや縦長です。
さて最近の縦折スタイルのスマートフォンは閉じたままでもある程度のアプリが使えるのが特徴になっています。モトローラの「razr 40 Ultra」は3.6インチ、サムスンの「Galaxy Z Flip5」は3.4インチの外画面を持っていて、内蔵アプリを使うことができます(サムスンは一部アプリのみ)。Find N3 Flipは縦長の3.26インチ、720 x 382ピクセルの外画面を搭載。17:9の縦横比なので小さいながらも一般的スマートフォンの画面とほぼ同じ形状であり、通知を表示したりスケジュールを見たり、あるいは動画の再生も可能です。
またカメラを起動すれば、外画面でプレビューしながら自撮りもできます。Find N3 Flipのカメラもハッセルブラッド監修で、メインの5000万画素、超広角4800万画素、2倍望遠3200万画素を搭載。実はカメラ性能もかなりいいのです。
③Find N3シリーズの日本発売は?
OPPOは2021年12月に初代折りたたみ「Find N」を発表しましたが、発売は中国国内だけでした。折りたたみスマートフォンはディスプレイの強度が一般的なスマートフォンよりも弱く、購入後のアフターサポートは必須の製品です。そのコストを考えると海外展開はなかなか難しいのでしょう。
しかし翌2022年12月に発表した後継モデルの「Find N2」は同様に中国国内だけの展開でしたが、初の縦折りモデルとなる「Find N2 Flip」は年明けの2023年3月にグローバルで販売を開始。Find N2 Flipは発売直後から中国では大人気となり「中国折りたたみスマートフォン」の中で販売数トップとなりました。その人気をバックに海外展開したFind N2 Flipはヨーロッパやアジアで一定の人気を得ています。
それではFind N3、Find N3 Flipの日本国内投入はあるのでしょうか?OPPOは現在、上位モデルのReno10 Pro 5GをソフトバンクとSIMフリーで、ミドルレンジのReno9 AをMVNOキャリアとSiMフリーで出しています。Reno10 Pro 5GはSIMフリー定価86,800円(税込)。ソフトバンクでは様々な割引でより安価に購入できます。
一方、Find N3とFind N3 Flipの価格は発表会の行われたシンガポールでそれぞれ2,399シンガポールドル(約26万7000円)、1,499シンガポールドル(約16万7000円)です。Reno10 Pro 5Gより高く、このままSIMフリーで日本で販売するにはブランド力などを考えても難しそうです。そうなるとキャリアに販売してもらうことになるでしょうが、20万円超えのFind N3の投入はキャリアとしても及び腰になるのではないでしょうか。
Find N3 Flipはキャリアで割引をつければうまくすれば10万円を切り、分割払いでも月々5000円弱で販売できるでしょう。2年後の返却プランならもっと安く提供もできそうです。サムスンの縦折りモデルも人気が高まってきていますし、Find N3 Flipなら日本投入の可能性はあるかもしれません。
④2024年は折りたたみスマホが増える
2023年も数多くの折りたたみスマートフォンが登場しましたが、OPPOの2つの製品は高性能なカメラを搭載しており、「折りたたみ=フラッグシップ」と言える唯一の製品となっています。折りたたみスマートフォンを出している他社を見ると、フラッグシップモデルはカメラを強化した製品であり、「カメラフォンにするか、折りたたみにするか」と悩ませる製品展開をしています。OPPOの2製品はカメラも満足できる折りたたみモデルであり、今後他メーカーもこの動きに追従せざるを得なくなりそうです。
2023年は前述したようにモトローラの縦折りスマートフォンも中国でヒット。またインドやアフリカ向けに隠れたメジャーメーカーと言われるテクノ(Tecno)が横折り「Phantom V Fold」と縦折り「Phantom V Flip 5G」を投入するなど、市場をにぎわせる製品がいくつも出てきました。なおOPPOの姉妹メーカーであるOnePlusはFind N3のバリエーションモデルとして「OnePlus Open」をインドやアメリカで販売予定です。
2024年は折りたたみスマートフォンへ新規に参入するメーカーも出てくるでしょうし、廉価モデルも登場し、製品バリエーションは今以上に増える歳になるでしょう。日本にも今より多くの折りたたみモデルが発売されてほしいものです。
香港在住の携帯電話研究家。海外(特に中国)のスマートフォンや通信事情に精通。IoT、スマートシティー、MaaS、インダストリアルデザインなど活動の幅は広い。最新機種のみならずジャンク品から百万円のラグジュアリーモデルまであらゆる携帯電話・スマートフォンを購入する収集家でもあり、その数はまもなく1800台に達する。