リゾート地「キプロス」でeSIMは買えるのか?現地で購入して使ってみた
地中海に浮かぶキプロスは南北に国が分かれた島ですが、ヨーロッパの避暑地として知られています。しかし日本ではその情報が少なく、特に現地の通信回線についてはあまり多くありません。今回はキプロス共和国のラルナカへ行って、eSIMを購入してみました。
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ラルナカ空港で買えるキプロスのeSIM
今回訪問したラルナカへはヨーロッパ各地から飛行機が飛んでいます。筆者はギリシャのテッサロニキから訪問し、アテネに戻りましたが、フライト時間は1時間ほど。ギリシャ訪問ついでに寄るのも簡単です。さてキプロスでデータ通信を使うのであれば、eSIMプロバイダーの発行するローミングeSIMの多くが同国をカバーエリアにしています。たとえばAiralo, Holaflyなど、大抵のeSIMがキプロスもカバーしています。他の国を周遊してからキプロスへ行くことも多いでしょうから、それらのeSIMを使うのも便利でしょう。
ところがラルナカの空港で売っているeSIMは大容量で低価格。もしも避暑で1週間など長期滞在するなら、現地でeSIMを買うのがお得です。
キプロスはギリシャ語圏を感じさせるラルナカ空港の案内
ラルナカの空港は小さく、到着ロビーに出てくるとレンタカーの店などが並んでいます。右手方向へ行くと小さな売店、キオスクがあります。表にはeSIMの案内はありませんが、レジの所にずらりとプリペイドSIMカードなどが並べられています。
右手のカフェの先にキオスクがある
レジ周りを見ると複数のSIMが売っています。ここでキプロスのキャリアについて。キプロスには3つのキャリアがあり、シェアの高い順からCyta、Epic、PrimeTelとなっています。レジ横の黄色いディスプレイにあるのがEpicのSIM、レジにあるピンクと黒のパッケージがPrime Telです。
EpicとPrimeTelのSIMを販売
事前にある程度情報を掴んでいたのですが、SIMカードまたはeSIM単体を買って、そこにデータ料金をチャージして使うのが最もお得なようです。たとえばEpicはSIMカードが2ユーロ、ここに50GB(と通話込み)で10ユーロ、100GB(同)が15ユーロ。つまり12ユーロで50GB、17ユーロで100GB使えます。一方、PrimeTelはあらかじめパッケージを含んで販売しています。楽に買うならPrimeTelのほうがよさそうです。
PrimeTelなら最初からデータ込みで売っている
レジのスタッフに「eSIMもありますか?」と聞くと物理SIMカード、eSIM、どちらもあるとのこと。20ユーロ(約3500円)で有効期限は30日、キプロス外のEU各国でも10GB使えるとのことです。なおあとから気が付いたのですが、Epicも同様のSIMを売っていました。
20ユーロ250GBのeSIM
速度は快適、ヨーロッパでも使える
パッケージの中にはQRコードの記載された紙が1枚入っているだけです。ユーザー登録など不要でそのまま使えます。
QRコードの紙が入っている
空港に無料Wi-Fiがあるのでその場でインストールも簡単に行えました。
ラルナカ空港ですぐにインストール
まずは空港で速度チェック。空港の外に出てバス停で速度を試しました。下りは80-90Mbps、上りは40-50Mbpsとまずまず。
空港バス停付近
続いて観光地でもありホテルも多く連なるアシノン通り、通称「椰子の木通り」へ。いかにも避暑地で、のんびりした雰囲気のエリアです。
椰子の木通り
ここでは200Mbpsを軽くオーバー。上りは空港よりちょっと速い程度ながらも、快速です。これならビーチで1日中、動画を流しながらのんびりする、なんてこともできますね。なにせ250GBもデータがありますから。
観光地でこの速度は快適すぎる
ラルナカにある唯一の大型ショッピングモール、Metropolis Mallへやってきました。ここには大型スーパーや大手チェーン店、家電量販店などが入っています。フードコートもあるので結構楽しめます。そしてキャリアの店舗もあるので、ここでeSIMも購入できます。
Metropolis Mall
ここではさらに高速で、最速値は283Mbpsでした。他の場所では200Mbpsを切る場所もありましたが、どうやらラルナカの街中は200Mbps程度を常にキープしており、長期滞在していても現地のeSIMで快適に使うことが可能です。
ショッピングモールでこの速度
なおこの後ドイツでも使ってみたのですが、速度テストの写真を撮るのを失念。下り40Mbps程度とまあまあの速度でした。ラルナカでeSIMを買ったあと、他のEU国を訪れてもある程度は使えそうです。
避暑地らしいのんびりしたラルナカ
アシノン通りにはレストランやホテルが並び、また小さなスーパーやキオスクも多数あるので買い物には困りません。小道を入ると最大手キャリアCytaの店もあるので、ここでプリペイドeSIMを買うこともできます。なお億に見える黄色い看板の店はEpicの店舗です。しかし市内の移動はバスやタクシーになりますし、空港でeSIMを買ってしまうのが一番楽でしょう。
Cytaの大型店舗
今回はアシノン通りエリアに宿泊し、Metroporis Mallまで行ってきましたが、途中の街中には商店などはほとんどなく、観光客が買い物をするならばこの2つの場所に限られます。避暑地という名の通り、ここはビーチでのんびり過ごす場所であり、買い物をあれこれするというところではないわけです。
ラルナカの街全体がのんびりしている
今回買ったeSIMは250GBという大容量で、数日の滞在では使いきれないでしょう。しかしeSIMプロバイダーの料金を見ると、たとえばairaloはヨーロッパ周遊が18ユーロで5GB。数日の滞在ギリギリでしょうか。もちろんキプロス以外の国を回ってからラルナカに訪問する場合はそれらのeSIMを買うことは有用でしょう。もしヨーロッパ周遊中にキプロス・ラルナカを訪れるなら、今回紹介した現地eSIMを買うのもいいと思います。
ノラ猫も多いラルナカ、現地eSIMの購入も検討しよう
香港在住の携帯電話研究家。海外(特に中国)のスマートフォンや通信事情に精通。IoT、スマートシティー、MaaS、インダストリアルデザインなど活動の幅は広い。最新機種のみならずジャンク品から百万円のラグジュアリーモデルまであらゆる携帯電話・スマートフォンを購入する収集家でもあり、その数はまもなく1800台に達する。