山根康宏のワールドeSIMレポート
2025年1月7日

1万台円で買えるeSIMプリペイド5Gスマホをアメリカで購入、データ定額で快適

eSIMの登場により、海外旅行時に購入するプリペイドSIMカードの購入方法も大きく変わりました。また海外各国で販売されているプリペイドスマートフォンもeSIM対応モデルがでてきたことで、より買いやすくなっています。今回はアメリカ・ラスベガスで現地キャリアT-Mobileが販売するプリペイドスマートフォンを買ってみました。

T-Mobileの店舗でプリペイドスマートフォンを購入

アメリカの大手キャリア、Verizon、AT&T、T-Mobileはプリペイドのスマートフォンも販売しています。今回はT-Mobileの製品を購入しました。プリペイドスマートフォンは「スマートフォン+プリペイドSIMカード」のセットで販売されますが、T-MobileはeSIMに対応したスマートフォンも提供しており、スマートフォンを買うだけで中にプリペイドのeSIMがセットされています。

実はT-Mobileの販売しているすべてのスマートフォンがプリペイドとして利用できます。ただしそれらの製品は定価販売なので高価です。一方プリペイド用として販売している製品はSIMロックをかけて、かなり安く売られています。2025年1月時点でT-Mobileで販売されているプリペイドスマートフォンはサムスンの「Galaxy A15 5G」とモトローラの「moto g 5G(2024)」の2機種です。

T-Moibleの販売するプリペイドスマートフォン

moto g 5G(2024)の本来の定価は199.99ドルです。しかしプリペイド販売品の製品説明を見ると「60ドルプラン加入で端末無料」と書かれています。SIMロックを掛けることでここまで安くできるわけです。実際にラスベガスにあるT-Mobileの店舗を訪問しました。

ラスベガスのT-Mobileストア

店に入るとスタッフが出迎えてくれるので「プリペイドスマートフォンを買いたい」と伝えると案内してくれました。確かにモトローラとサムスンの製品が置かれていました。どちらにしようかと考えようとすると「サムスンが売り切れで現在はモトローラしかない」とのことでした。

プリペイドスマートフォン販売コーナーの展示

説明を聞くと実際の販売価格は100ドル(約1万6000円)でした。この金額で、1か月データ定額(テザリングは10GB)のeSIM 60ドル/月プランが含まれているとのこと。WEBでの説明は60ドル(約9400円)でしたが、追加で40ドルがかかるようです。

まあ40ドルがスマートフォン代金と考えればお得かもしれませんね。ただし気になってあとで自分のeSIMアカウントを確認したところ、この40ドルはまるまる未使用分の料金でした。国際電話に使ったり、あるいは翌月もアメリカで使うのならばその時の料金に充当できます(60ドルプランを引き継ぐ場合は20ドルの追加が必要ですが)。

モトローラ端末を100ドルで購入

購入後、電源を入れてWi-Fiに接続するだけ

T-Mobileの店舗では購入後にパッケージを渡されるだけです。「ここで開封しますか?」と言われましたがホテルの部屋まで戻って自分でやってみることにしました。使い方は「電源を入れて、Wi-Fiに接続して、指示に従って設定を進めるだけ」とのこと。難しくは無さそうです。

ホテルに戻り、電源を入れる

起動ロゴの後は、Androidスマートフォンを初めて買った時と同じ、すべての設定から始まります。最初に言語選択がありましたが日本語もありました。そして指示に従って進めていきます。Wi-Fiの接続はホテルによってはログインページを開かなくてはならないこともありますが、設定中はその手のWi-Fiは使えません。そのため時間があるなら購入したT-Mobileの店舗で、店のWi-Fiを使ったほうがいいかもしれません。

設定を進めていく

設定の初めのほうで、すぐに「eSIMの設定」が表示されます。これも指示に従うだけです。なおeSIMスマートフォンではない場合は、パッケージに別途入っているnano SIMカードを入れる必要があります。eSIMスマートフォンならその手間も無いのが楽でいいですね。

eSIMの設定も進めていく

eSIMの設定は数分で終わります。そのあとはAndroidの設定を進めていきますが、ゆっくりやっても10分ほどで完了するでしょう。

eSIMインストール後、Androidの設定を完了させる

moto g 5G(2024)のホーム画面が出たら、Wi-FiをOFFにします。アンテナピクト部分にしっかり「5G UW」の表示が出ています。なお5GのあとのUWは「Ultra Capacity」、T-Mobileの5Gネットワークの強みを略称として付けています。

5Gの電波をつかんでいる

通信速度は400Mbps弱で十分

さっそくラスベガスの繁華街に出てみました。通信速度を数か所で測ったところ、400Mbpsまでは届かないものの300Mpbs後半が出ました。300を切る場所もあったものの、室内も含め比較的安定していました。T-Mobileは600MHz帯という、電波の周り込みがしやすい低い周波数も使用しています。そのため室内のカバーも他社より有利なのかもしれません。

また上りも100Mbps弱で、ライブストリーミングやデータのアップロードなども快適に行えそうです。

通信速度は十分だ

今回の60ドルプランはデータ定額のため、データ使用量を気にする必要はありません。しかし実際のデータ量の確認や、余った40ドルを活用するためにも、T-MobileのIDを作り、自分のアカウントページで詳細を確認するのがいいでしょう。

アカウントページで詳細を確認できる

ところでプリペイドでスマートフォンを買わずとも、プリペイドのeSIMを買えば実際は事足りるでしょう。ですが現地端末を買うメリットもあります。たとえば今回は展示会取材でラスベガスを訪問しており、頻繁に電話を使う用事がありました。普段自分が使っているスマートフォンは取材用に使うので、そちらにアメリカのeSIMを入れると取材中に電話がかかって基しまうこともあります。そのため専用の端末があると便利だったのです。

moto g 5G(2024)のスペックはチップセットがミドルレンジのDimensit 7020、カメラは5000万画素ですが、現地専用スマートフォンとして割り切って使うのでスペックも低くて問題なし。ちょっとしたメッセージを行うときもメインスマートフォンは出さずに今回買った端末を使いました。連絡場所の写真を撮るなど、その程度なら十分使えます。eSIMの登場でスマートフォンとのプリペイドセット製品はより簡単に購入できるようになっていくでしょう。

moto g 5G(2024)のカメラで写した写真。夕暮れ時もいい感じに撮れた

 

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