ユーザー登録不要、日本で「ちょい利用」できるeSIMを使ってみた
eSIMが便利なのは日本でも世界でも、どの国にいてもその場でデータ通信回線を購入できることです(但し購入時には一時的にWi-Fi接続が必要です)。日本でも月末などでギガが足りない、なんてこともあるでしょう。日本で使えるeSIMも多くの製品が販売されていますが、今回は筆者も1日だけギガ不足になり、カフェのWi-Fiで「Japan eSIM」で検索。するとその名もずばりのESIMJAPANというサービスが見つかりました。訪日外国人向けのためか英語ページだけですが、ユーザー登録も不要で使えるとのこと。使い勝手を試してみました。
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オンラインで即購入できる日本用のeSIM
ESIMJAPANは4つのプランを提供しています。「5G定額」「4G定額」はデータが使い放題。「日数+データ容量」は3日5GB、7日15GBなど日数に応じて一定のデータ容量が使えます。これら3つのプランはauの回線とのこと。一方「1日3GBx日数」というプランもあり、5日から90日まで比較的長期利用に適しています。このプランだけ回線はソフトバンクです。
日本に特化したeSIMサービス「ESIMJAPAN」
特にアプリがあるわけでもなく、またユーザー登録ページもありません。その場で買ってすぐ使えるという簡単操作が売りのようです。日本語ページが無いのが残念ですが、簡単な英語なので難しいことは無いでしょう。また割引プロモーションも頻繁に行っているようで、今回(2024年10月)は10%オフをやっていました。
料金はもちろん日本の契約のほうが安いこともあるでしょう。そのため日本で長期に使う場合は日本のキャリア契約のほうがお得だと思われます。しかし数日など短期間だけ使いたい、特に「これから1日だけどうしても使いたい」といった緊急時には海外を含めたeSIMサービスを使うのが便利なこともあるはずです。
アプリ不要なのでスマートフォンのブラウザからも簡単に購入できます。今回もスマートフォンは日本発売のiPhone 12 miniを使っています。Wi-Fiに接続後、ESIMJAPANのページを開き、右上のメニューをタップすると各プランが選べます。なお「日本+韓国」など複数国で使えるプランもあります。また日本の都市ごとのプランがあるのですが、これは日本の土地勘に不慣れな外国人観光客に目的地別にわかりやすく購入できるプランということのようです。
スマホのブラウザから購入可能
10分で購入完了、すぐ利用できる
購入はプランを選んで進むだけと簡単です。今回は1日だけ使いたいので最低プランを選択。一番安い料金はBasicプラン3日4.99ドルで、1日あたり1GBが高速、それ以降は384kbpsに速度が落ちます。Proプランは1日2GBまで高速ですが、価格は6.99ドルとやや高くなります。なるべく安く使いたいことから今回はBasicプランをタップして進めていきます。ちょうどプロモーション期間中だったので10%オフになりました。
1GBまで高速3日プランを選択
あとは指示に従い氏名(英語)、メールアドレスなどを入力していきます。途中で端末を選ぶ画面がありますが、これは適当でOKです。ここにない端末はeSIM非対応ということでわざわざ選択画面が出てくるのですが、海外販売端末など出てこない端末もあるので、適当なものを選べばOKです。なお今回10%オフになりましたが消費税10%がかかるので結局は4.94ドルでした。
途中で端末を選ぶが適当でよい
支払いはクレジットカードかPayPalに対応します。支払い画面は日本円とアメリカドルが出てきますが、海外のサービスのためドルのほうが一般的に安くなるようです。念のため購入した日のレートを計算してどちらかを選ぶといいでしょう。今回は約750円でした。なおクレジットカードを選択したので、最後の画面でカード情報を入力、「Order Successful」の画面が出れば購入完了です。
特に難しいことはなくそのまま進めていく
メールは領収書、カード領収書(PayPal経由になっている模様)、そしてeSIMのQRコードと3通届きました。1分ほどかかったので、すぐにメールを開いても届かない場合はしばらく待つといいでしょう。あとはQRコードを開き、そこからeSIMをインストールしていきます。
メールは1分で到着。QRコードからインストール
eSIMを開通中に画面には「CMLinkからの新規eSIMをアクティベートする準備ができました。」と表示されます。アジア各国のeSIMを提供しているCMLinkの回線をESIMJAPANは使っているわけです。インストールが完了すると「モバイルデータ」の名前でeSIMがインストールされましたが、環境によっては他の名前となります。わかりやすい名前に変えてもいいでしょう。なおCMLinkは香港の回線サービスなので、eSIMを開いてデータローミングをONにします。Wi-Fiを切れば、アンテナピクト部分に「4G」のマークが表示され、無事データ通信が可能になります。
CMLinkの回線だった。データローミングはONにする
4Gで100Mbps弱の速度は快適
早速都内で使ってみました。池袋と渋谷の繁華街、秋葉原の人ごみの中で使ってみたのですが、データ速度は70Mpbsから100Mbps弱。地下鉄内でもこれくらいの速度が出ていたので優秀です。動画の視聴など不自由なく行うことができます。
都内の速度は70-100Mbps
とはいえ一部のエリアでは20Mbpsを切ることも。人が多いということも無く、auの回線があまりよくない場所なのかもしれません。しかし一般的な通信を行うには問題なく、実質1日の緊急用途として十分つかうことができました。
低速エリアもあったが緊急用だったので事足りた
アプリが無いため速度低下に注意
さてこのサービスは1日1GBを超えると速度が384kbpsに低下します。アプリが無いため警告の通知も無く、スマートフォンの設定画面からデータ残量を確認しつつ使い続ける必要があります。PCをテザリングでつないで大容量のファイルを送受信したり、動画のストリーミングサービスを使う場合などは注意が必要です。
実際に使ってみたところ、設定画面のデータ残量が1GBに達しない状況でも速度低下が起きていました。これはスマートフォンのデータ使用量が概算であり、正確な値ではないからです。そのため900MBを超えたあたりからは注意しながら使う必要があるでしょう。
高速で使用中、速度が落ちたので設定を見ると940MBで速度低下していた
日本のMVNOのサービスでも通信回線が384kbpsや128kbpという低速のものもあります。SNSのメッセージのやり取り程度ならばいいのでしょうが、動画の視聴やPCの接続にはやや不満が残る速度でしょう。eSIMサービスもデータ定額と言いながら、今回のように一定量を使った後は速度が低下するものもよくあります。eSIMを選ぶときには「定額」という言葉だけをうのみにせず、高速でどれだけ使えるかを把握して購入するのがいいでしょう。今回のESIMJAPANのようにしっかりと「1日1GB」のように明記してあるサービスは安心ですが、そのあたりが不明瞭なサービスは避けた方が無難かもしれません。
香港在住の携帯電話研究家。海外(特に中国)のスマートフォンや通信事情に精通。IoT、スマートシティー、MaaS、インダストリアルデザインなど活動の幅は広い。最新機種のみならずジャンク品から百万円のラグジュアリーモデルまであらゆる携帯電話・スマートフォンを購入する収集家でもあり、その数はまもなく1800台に達する。