山根康宏のワールドeSIMレポート
2024年10月7日

世界最薄折りたたみなど、eSIMスマホも多数登場したIFA2024レポート

2024年9月上旬にドイツ・ベルリンで開催されたIFA2024は家電を中心にスマートIoT製品の新製品が多数出店される展示会です。スマートフォンの新製品も数多く出展されました。今回はその中から注目の製品を紹介します。

9.2mmの最薄折りたたみ「HONOR Magic V3」

HONORの「Magic V3」は画面を左右に折り曲げる折りたたみスマートフォン。最大の特徴はその薄さで、閉じたときは9.2mm。一般的なスマートフォンは9mm前後ですから、もはや折りたたみスマートフォンとは思えぬ厚みです。また開いたときは4.35mmとこちらも極薄です。ちなみにサムスンのGalaxy Z Fold6は閉じたときが12.1mm、開いたときが5.6mm。グーグルのPixel 9 Pro Foldが10.5mm / 5.1mmですから、Magic V3の薄さが際立っています。


HONORの折りたたみスマホ、Magic V3

重量も226gと軽量です。カメラは広角が5000万画素、望遠が5000万画素で3.5倍、超広角が4000万画素といずれも高画質。バッテリーは5150mAhで66Wの有線、50Wの無線充電にも対応します。クアルコムのSnapdragon 8 Gen 3をチップセットに採用するハイエンドスマートフォンらしく、すべてが高性能。もはや折りたたみスマートフォンを「選ばない」理由が見当たりません。そしてeSIMにも対応します。ただし価格は1999ユーロと、まだ高いのが難点です。ヨーロッパやアジアなど、グローバル市場で販売されます。


一般的なスマートフォンと変わらない厚さ

カラー表示もできる目にやさしいスマホ「TCL 50 Pro NXTPAPR 5G」

「TCL 50 Pro NXTPAPR 5G」はTVメーカーTCLのスマートフォンです。NXTPAERは名前からわかるように次世代のディスプレイで、最大の特徴は目にやさしい表示ができること。目にやさしいディスプレイとしては電子ペーパーがありますが、電子ブックリーダーによくみられるモノクロディスプレイが大半です。カラーの電子ペーパーもありますが発色数は少なく、動画表示もスムーズではありません。NXTPAPERは電子ペーパーのような目にやさしい表示ながらも、一般的な液晶ディスプレイのような明るくスムーズな表示を可能にします。

TCL 50 Pro NXTPAPR 5G

画面はカラー、モノクロ、電子ペーパー風の3つのモードに切り替え可能。モノクロと電子ペーパー風にすると電池の持ちがよくなるうえに、電子ブックも読みやすくなります。電子ブックを読みながら、カラーの電子雑誌を読みたくなったらカラー表示に切り替える、という使い方もできるわけです。モノクロ表示でも画面のスクロールやページ切り替えは電子ペーパーのように残像が残ることもありません。長時間ディスプレイを見てしまう人だけではなく、目の健康を考え学生向けにも適したスマートフォンと言えます。

モノクロ表示にも切り替えできる

HANMARブランドのタフなスマホ

ブランドとコラボしたスマートフォンもいくつか展示されていました。アメリカのゼネラルモーターズのオフロード車ブランドHAMMER(ハマー)のスマートフォン「HAMMER Construction 2」は、MIL-STD-810H、IP69対応などハードな使用に耐えうるタフなモデルです。バッテリーも6500mAhと高容量。暗やみでもモノクロ撮影できるナイトビジョンカメラを搭載します。標準モデルはeSIM搭載、カメラは5000万画素。サーマルモデルは1億800万画素カメラにサーマルイメージカメラを搭載と、本格的なアウトドアユースに対応します。

ハマーの車とマッチした性能なHAMMER Construction 2

新たな折りたたみスマホ「Doogee V Flip Pro」

海外では毎月のように折りたたみスマートフォンが登場しています。中国の中堅メーカーのDoogeeもIFAでは「Doogee V Flip Pro」を展示。5Gには非対応の4Gモデルです。他社ブランドでの販売も計画されており、どこかの国でこのモデルを見かけるようになるかもしれません。本体を閉じたままでも通話やカメラの利用が可能、ウィジェットを動かすことができます。

Doogee V Flip Pro

チップセットはメディアテックのHelio G99。同チップセット搭載のスマートフォンは1万円程度が相場ですが、折りたたみモデルにすることでプレミアム感をつけることが可能になり、数倍以上の価格で販売できるというわけ。一方で5Gの折りたたみスマートフォンよりも低価格なことから、折りたたみスマートフォンの価格破壊を引き起こしてくれそうです。

4Gモデルだが高価格帯での販売ができる

5Gへ転換する中堅メーカー、「CUBOT MAX 5」

CUBOTもDoogee同様の中堅メーカーですが、最新モデルとして5G対応の「MAX 5」を展示していました。メディアテックのDimensity 8200を採用する5Gスマートフォンです。もはや大手メーカーはエントリーモデルも5Gに対応しており、しかも価格は200ドルを切る格安モデルも出てきています。中堅メーカーも5G対応は必須であり、さらに本体デザインにも力を入れた製品を増やしています。

CUBOT MAX 5

カメラはメインに1億画素を採用。実際に試してみましたがかなり綺麗な写真が撮影できます。大手メーカーとそん色のないカメラ性能と言えます。またディスプレイは6.95インチでリフレッシュレートは144Hzとゲーミングスマートフォンクラスの性能も誇ります。ただしeSIMの対応を聞くと「検討中」とのこと。中堅メーカーの次のステップはeSIM対応になるかもしれません。

カメラ性能も高い

ついに登場するnano SIMカードサイズのeSIM、GlocalMeの「All SIM」

eSIMではなくvSIMを搭載するルーターやスマートフォンを販売するGlocalMeは、なかなか面白いルーターを展示していました。1つは世界対応の電源のマルチタップ変換プラグ「RoamPlug」。一見すると普通の変換プラグで、側面のスライドを動かすことでイギリス、ヨーロッパ、中国など世界中の電源コネクタに装着可能。さらに65Wの出力とUSB端子を備え、スマートフォンだけではなくノートPCも充電できます。これだけなら他社にもありそうな製品ですが、RoamPlugはvSIMルーターを内蔵。つまりホテルなどの電源に挿せば、このコネクタがWi-Fiルーターになるのです。vSIMなので全世界に対応。これは面白い製品です。

マルチ変換タップにvSIMルーターを入れたRoamPlug

そしてこの冬発売を予定している「All SIM」は注目の製品になります。以前も紹介した「eSIM.me」同様の製品で、nano SIMカードの形をしながらeSIMを内蔵できるカードです。特徴はiOSにも対応すること。他社品はAndroid OSだけへの対応なので、All SIMならiPhoneでも使うことが可能になります。またGlocalMe自身がグローバル対応のデータプランを提供していることから、All SIMでも安価なデータプランが利用可能になります。こちらの製品は発売後すぐにレビューしたいと考えています。

GlocalMeのAll SIM(SIMカードはイメージ)

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