山根康宏のワールドeSIMレポート
2025年8月25日

1日1ドルから使える中国データ定額のabesteSIMを深センで使ってみた

中国向けのeSIMで比較的安価な製品を見つけたので今回試してみました。abesteSIMの製品で、料金は1日1ドルから。データ上限を超えると定額で使い放題ということで、その使い勝手を中国・深センで試しました。なおテストに使ったスマートフォンは日本発売のグーグル「Pixel 9 Pro」です。

短期滞在者にも便利なabesteSIM

abesteSIMはネットを徘徊中に見つけた製品です。シンガポールの企業ですが、世界各国向けの製品を販売しています。ホームページを開くと料金がSDG=シンガポールドルで表示されますが、アメリカドルやユーロへ切り替えできます。ユーザー登録するとオンラインでデータ残量を見ることができるのですが、今回は1日分を購入したので、詳細なデータは気にせず使うとして、登録は行いませんでした。

https://abestesim.com/

abesteSIMのホームページ

検索ウィンドウでChinaと入力して中国の料金を見ると、多彩な料金体系となっていました。まず料金は通常とTicTok対応の2種類に分かれます。そして通常料金を見ると、有効日数は1日から60日まで9タイプ、データ容量は1日あたり500MBから3GBと上限無し(Unlimited)の5タイプ。さらに3日以上は有効日数あたりの総データ量(例:3日3GB)などのプランが加わります。

多彩な料金体系

なお1日の料金は500MBも1GBも1ドルで同じでした。一部の料金体系はデータ容量が異なっても金額が同じものもあるようです。またそれぞれ1日あたりのデータ量量を超えると128Kbpsに速度規制がかかります。また上限無しプランは8から20Mbpsと常時低速です。

ユーザー登録不要、ブラウザから簡単購入

今回はスマートフォンのブラウザから購入しました。なお中国でのeSIM購入は、あらかじめ日本で購入しておき、日本で開通させておくのがベストではありますが、大抵の製品は開通は中国に着いてから空港などでWi-F経由、というものが一般的です。今回のabesteSIMも事前購入を推奨、中国国内で開通するようにと説明にありました。

とはいえ今回は事前に時間が無く中国・深センのホテルのWi-Fiで購入することにしました。スマートフォンをWi-Fiに接続し、abesteSIMのホームページを開きます。画面中央上部をタイプして通貨をUSDに変更、Chinaで検索して中国eSIMを表示させます。そして「1 Day」「Daily 1GB」を選び、進みます。金額が1ドルなのを確認した後は、クレジットカードやGoogle Payなどで購入ができます。

プランを選んで購入、ステップは簡単

今回はGoogle Payで払いましたが、すぐに支払いが完了しました。そのあとはメールを開くと購入完了のメールと、QRコードなどインストール情報の記載されたメールが届きます。購入完了後QRコード入手まで時間差は無く、すぐに発行されます。なおQRコードのメールに記載されている緑色のインストールボタンはiOS用です。Androidスマートフォンの場合は、このメール画面のスクリーンショットを撮っておきます。

購入完了後、すぐにQRコードが届く

Androidスマートフォンは設定を開き、SIMの追加から進みます。QRコードのスキャン画面になるので、下の「写真からスキャン」で先ほどのQRコードのスクショを指定、そのまま指示に従います。「CMLinkのeSIMの設定」と出ることからわかるように、中国やアジア向けにローミングサービスを行っているCMLinkの回線を使ったeSIMであることがわかります。

QRコードのスクショをスキャンして進む

インストール中の画面から完了するまでは2分くらいかかったので、やや待つ必要があるかもしれません。インストール完了後はSIM管理画面からCMLinkをONにします。またデータローミングはONにする必要があります。そしてWi-FiをOFFにすればアンテナピクトの横にLTEと表示され、4G回線につながりました。つながらない場合は、データローミングを確認してONになっていることを必ずチェックしてください。その後機内モードのON・OFFを数回繰り返すと表記が変わり、5G回線に接続されました。

インストール後Wi-FiをOFF。機内モード入り切りで5Gにつながった

 

5G接続だが実質4G、速度制限はやや厳しい

今回は深センの電脳街でテスト。5Gにつながっていることから速度に期待がかかります。さっそく速度テストを行ったところ、下り60Mbps、上り30Mpbs程度。5Gの速度ではありませんが、十分使える速度です。なおCMLinkのローミング回線なので、中国国内でも壁越えで主要SNSサービスをそのまま使えます。

下り60Mbpsはまずまずの速度

その後電脳街エリアを回って何度か試しましたが、最高速度は下り156Mbpsでした。おそらく150Mbps程度で制限をかけていると思われますが、これだけの速度があればPCをテザリングでつないでの作業も使い物になるでしょう。

150Mbpsを超える場所もあった

さて使っているうちに急激に速度が落ちてしまいました。設定画面でデータ使用量を見ると0.99GB、1日1GBの上限に達したようです。そこで速度を計ってみると、下りは70Mpbs、上りは10Mbpsでした。ここまで遅いとYouTubeを見るのは厳しく、メッセンジャーもテキストだけならいいのですが、写真が入っているとかなり表示に待たされます。データ容量上限後も低速で定額で使えるといいますが、緊急用途程度の速度と言えます。

1日の上限を超えると低速になる

3日や5日を買っている場合は、深夜の0時を過ぎるとこの1日上限はクリアされます。128Kbpsというのでもう少し速度を期待したのですが、確実に通信したい場合はより高容量のものを買ったほうが良さそうです。また上限無しプランは8から20Mbpsですが、同程度の速度と考えると実用性はかなり厳しいかもしれません。

多彩なプランがあるので滞在日数に応じて使い分けることができるのがabesteSIMの特徴ですが、今回のように1日だけの滞在時に気軽に買う、という使い方もいいかもしれません。香港旅行や出張時に深センに1日でかけるという人にも向いているでしょう。

 

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