衛星直接通信のau Starlink Direct、eSIMなら即開通して利用可能
2025年4月10日より、auではスペースXが開発した最新鋭かつ低軌道のStarlink衛星とスマートフォンが直接接続できるサービス「au Starlink Direct」を開始しました。サービス開始当初はauユーザー限定のサービスでしたが、5月7日からはさらにau以外のユーザーでも利用可能になりました。もちろんeSIMで契約できます。さっそく契約してみましたので、eSIM設定までの手順をご紹介します。
目次
au Starlink Directのサービス概要
au Starlink Directは、au 5G/4G LTEエリア外でも、空が見える環境であれば「衛星モード」に自動で切り替わり、テキストメッセージなどの送受信などができるようになります。海でも山頂でも、空が見える環境であればどこでもテキストメッセージを送れます。災害時にも役立つはずです。au 5G/4G LTEエリア外で、居場所を送信することができ、自分の位置を家族や友達に共有できます。
衛星モード経由で利用可能なアプリは、iPhoneでは「iOS メッセージ」アプリ、Androidでは「Google メッセージ」アプリとなります。
衛星モードで利用可能な機能等
これらアプリ経由のテキストメッセージの送受信のほか、AIチャットの利用も可能です。Androidであれば「Gemini in Google メッセージ」を、iPhoneであれば「シンプルAIチャット」を使ってAIチャットが可能です。このほか衛星モードでも災害時に緊急速報メールを受信できます。
対応モデルはiOSではiPhone 13以降の各モデルと、AndroidではGoogle Pixel 7(近日対応予定)以降の各機種(Pro、Foldを含む)となっています。さらにauユーザーであればauが販売したシャープやソニー、シャオミなどの最新端末へも対応の幅が広がります。
auユーザーの利用方法
auユーザーは申込不要、無償で利用可能です。iPhoneユーザーは、「設定」>「モバイル通信」>「モバイルデータ通信のオプション」と画面遷移後、「衛星通信」がオンになっているか確認します。Androidユーザーは、「設定」>「ネットワークとインターネット」>au(ご自身の電話番号)>「SIM(au)」と画面遷移後、「ローミング」をオンにします。
iPhoneは「衛星通信」をオンに、Androidは「ローミング」をオンに
もし「衛星通信」の項目が画面に表示されないなどの場合は、最新OSにアップデート、キャリア設定アップデートを実施します。
以上で衛星モードが利用可能になります。
UQ mobileおよび他社回線ユーザーの利用方法
UQ mobileや他社回線を利用しているユーザーもau Starlink Directの利用が可能になりました。「au Starlink Direct専用プラン」の契約が必要で、利用料は1,650円/月です。なお2025年6月30日までは「au Starlink Direct専用プラン無料キャンペーン」を実施中で申し込み当月から6カ月は無料となります。
またUQ mobileを利用しているユーザーで、「コミコミプランバリュー」「トクトクプラン2」を利用しているユーザーは対象プランセット割引(-1,100円)適用で550円/月となります(ただし同一のau IDで申し込む必要があります)。このほか契約事務手数料3,850円が必要となります。
au Starlink Directの利用に当たっては、au回線を「au Starlink Direct専用プラン」で新規契約する形になります。物理SIMカードまたはeSIMを選択して申し込みます。
他社回線でau Starlink DirectのeSIMを新規契約
筆者はあいにくauの回線契約を持っていなかったので、他社回線という扱いでau Starlink Directを新規契約してみました。eSIMを選択すれば、オンラインで申し込んですぐに利用可能になります。
契約の手順は以下のとおりです。eSIMのプロファイルダウンロードまで一気に手続きから設定まで進めたいので、au Starlink Directを設定するiPhoneで契約申込みから始めました。
au Online Shopのau Starlink Directの申込ページから手続きを開始、対応機種の確認などをした上で希望のSIMは「eSIM」を選択。手順に従って手続きを進めます
au IDでログインし、指示に従って進みます。au Starlink Direct専用プランを選択
新規契約になるので契約に必要な情報の入力やeKYCの本人認証などを進めていきます
続いて「My auアプリ」にログインし、eSIMのプロファイルをダウンロードします。ダウンロードするとiPhoneがeSIMのアクティベートを始めます
eSIMのアクティベート完了後、追加した回線のモバイル通信プランの名称設定に進みます。ここは自身で分るよう名前を付ければ良いのですが、筆者は「衛星」と設定しました。またすでに物理SIMが挿入されているiPhoneにeSIMで回線を追加する契約としたので、eSIMのアクティベートが完了するとアンテナピクトが2段(2回線)になっていることを確認できます
iPhoneの設定から、当該のSIMの回線を選択、「衛星通信」がオンになっていることを確認します。これでau Starlink Directの契約とインストールが完了です
衛星通信を試したかったのに…
au Starlink Directを使ってスターリンク衛星との通信を行うには、5G/4G/LTEの電波が一切入らない、いわゆる「圏外」の場所に行かなくてはなりません。しかし、昨今は通信キャリア各社とも通信エリアを充実させるべくネットワーク整備に力を入れているので、なかなか圏外になる場所がありません。
とくに筆者が住む沖縄県ではauがどのキャリアよりもエリア拡充に力を入れていて、圏外になる場所はほとんどありません。そうした中で、沖縄県最北端の有人島である伊平屋島の西海岸は電波状況が悪いと聞いたので、伊平屋島まで遠征してきました(笑)。
伊平屋島は沖縄県最北端の有人島。那覇から車で2時間ほどの今帰仁村・運天港からさらにフェリーで1時間20分です
とにかく海が美しい伊平屋島、緯度的には鹿児島県の与論島の隣ぐらいです
東海岸沿いに集落が点在し、東側はどのキャリアも電波が途切れるところはありません
電波が入りづらいという西海岸は人家がほぼ見当たりません。「圏外」を求めてレンタカーで走り回ります
伊平屋村役場からは西海岸沿い北方、ターム浜からヤヘ岩の間が電波が入りづらいと聞いていました。その海岸沿いをくまなく走り回り、ようやくドコモとソフトバンクが圏外になる場所を見つけたのですが、なんとなんとauは圏外にならず…。大変残念ながら衛星モードを試すことはできませんでした。
電波が入らないと聞いていたのでその辺りを走り回ったのですが…
auによれば、auが圏外の場所に行くとiPhoneのアンテナピクト横に「衛星」と表示され、衛星モードであることを示すのだそうです。このモードを見たくて伊平屋島まで行ったのに、沖縄県におけるauのネットワーク良さに脱帽となりました。
衛星モードになるとアンテナピクト横に「衛星」と表示されるそうです。Androidであれば衛星のアイコンが出るようです
衛星モードを求めて、「圏外」探しの旅はまだまだ続きそうです(笑)
名桜大学人間健康学部健康情報学科教授。’90年代から携帯電話端末のレビューやサービスの解説を行ってきた。携帯電話情報サイトの編集長などを務めた後、2009年に大学教員に転身。以後スマートフォンの社会での活用などを研究テーマとして活躍。現在は医療・ヘルスケア分野へのデジタルデバイスの応用を中心に研究に従事。携帯電話コレクターとしても知られる。