山根康宏のワールドeSIMレポート
2025年5月12日

AI機能も強化したフリップ型スマホ、モトローラ「razr 60」シリーズをチェック

 

モトローラは海外でフリップ型のスマートフォン「razr 60」シリーズを発表しました。閉じても使える大画面搭載のハイエンドモデル「razr 60 Ultra」と、価格を抑えた折りたたみ普及モデル「razr 60」の2製品です。AI機能も強化した最新の折りたたみスマートフォンを紹介します。

デザインに注力した折りたたみスマホ

razr 60 Ultraとrazr 60は日本でも発売中の「razr 50」シリーズの後継モデルです。外観上の大きな変化はありませんが、細かい部分で改良がくわえられました。特にrazr 60 Ultraは上位モデルとしてフラッグシップクラスの性能を有しています。razr 60 UltraはチップセットにクアルコムのSnapdragon 8 Eliteを採用、画面サイズは7インチとなっています。スマートフォンとしては最高性能クラスであり、画面サイズもフリップ型として最大サイズです。

一方razr 60はミドルハイレンジクラスのメディアテックDimensity 7400Xをチップセットに搭載し、画面サイズは前モデルと同じ6.9インチです。どちらのモデルもまだ一部の国でしか販売されていませんが、両者の性能差はそのまま価格差に現われており、メモリ構成は異なるものの台湾ではrazr 60 Ultraが約16万円、razr 60が約10万円で販売されます。

razr 60(左)とrazr 60 Ultra(右)

フリップ型のスマートフォンは本体を開いたときの使い勝手は普通のスマートフォンと変わりません。本体の開いたときのサイズはrazr 60 Ultraが171.5 x 74 x 7.2mm、razr 60が171.3 x 74 x 7.3mm、どちらもかなりの薄さです。バッテリーはそれぞれ4700mAh(68W充電)、4500mAh(30W充電)です。

razr 60 Ultraの厚さは7.2mmと薄い

本体を閉じるとrazr 60 Ultraは4インチ、razr 60は3.6インチの外画面が現われます。この外画面はそのまま内蔵アプリを動かすことができるので、ちょっとした操作なら本体を開く必要がありません。ロック画面に通知が見えたら、そのままロック解除してSNSやメッセージをこの画面で見ることができるのです。またモトローラのスマートフォンは本体を持ったまま強く振ってアプリを起動する「motoアクション」機能を搭載しています。閉じた本体をポケットから出し、そのまま振ってカメラを起動、この外画面を見ながら自撮りする、と言ったこともできるのです。

razr 60(左)とrazr 60 Ultra(右)の外画面サイズの差

なお閉じたときの本体サイズはrazr 60 Ultraが88.1 x 74 x 15.9mm、razr 60が88.1 x 74 x 15.7mmです。重量はそれぞれ199gと188gと200gを切っているので重いとは感じられず、本体を握れば手のひらの中で動く小型のスマートフォンといった感覚で使うことも可能です。

razr 60 Ultraを横から見る

本体のカラバリはそれぞれ4色ずつ、合計8色となります。razr 60シリーズの特徴はこのカラバリで、普通のスマートフォンよりもカラフルな色合いが多いことがわかります。また表面仕上げをよく見ても、一般的なガラス仕上げとわかるものがありません。

それぞれの背面を見ると、razr 60 Ultraの緑色はアルカンターラを採用し布地風の仕上げになっています。木目のモデルは本物の木材を使用しており、肌に触れた感触は他のモデルと大きく違います。他にもrazr 60の灰色モデルは日本でドコモだけが発売している「razr 50d」が採用したアセテート樹脂。各製品を実際に触ってみると、ケースなどを付けずにそのまま裸で使いたくなるような、肌触りが心地よい素材が採用されています。

上がrazr 60 Ultraの全カラバリ、下はrazr 60の3色

 

閉じたまま使える外画面、AI機能も便利

razr 60シリーズは閉じたままアプリが使えると説明しましたが、他にもウィジェットを使うこともできるため、満員電車の中や片手がふさがっているときでも、本体を開かずある程度の機能を使用できます。この閉じた画面は片手持ちした時でも親指で画面タップ操作も可能なので、フリック入力でメッセージの返事を打つこともできないことはありません。

なお画面の右下のデュアルカメラの部分はアプリの表示が隠れてしまうものの、使い続けていると時に気になるものではありませんでした。それを気にするよりも、閉じた状態で時にはゲームまでできてしまう利便性が勝るのです。そして大きな画面が必要だと感じたときは本体を開けばいいので、フリップ式のスマートフォンは便利な存在であることがわかるでしょう。

閉じたままでもアプリやウィジェットが使えるのは便利

そしてAI機能の強化がrazr 60シリーズのもう1つの特徴になっています。moto aiと呼ぶモトローラ開発のAI機能が本格的にに搭載されているのです。さらにAIサービスとしてメジャーなPerprexityとも協業し、moto aiの幾つかの機能から直接呼び出すことも可能。他にもグーグルのGeminiに加え、マイクロソフトのCopilotも搭載しています。なおrazr 60 Ultraは本体の左側面にAIボタンが搭載されているので、moto aiをワンタッチで呼び出せます。

razr 60 UltraのAIボタン

moto aiはこのような機能に対応します。

・Next Move:画面表示のコンテンツに対して、保存やAI検索など必要な操作を示唆
・Playlist Studio:音楽の最適なプレイリストを生成し、Amazon Musicへの転送も可能
・Image Studio:ラフなスケッチやアイディアからアバターや画像を生成
・Signature Style:撮影した写真のシーン別自動補正
・Group Shot:集合写真撮影時に複数の撮影を行い全員が目を開けている写真を生成
・Catch Me Up:未読の通知を自動的に要約作成
・Pay Attention:録音した音声の文字起こし

 

moto aiで最適な操作を行ってくれる

ところでrazr 60シリーズはもちろんeSIMに対応しています。物理SIMカード2枚、または物理SIMカード+eSIMというデュアル運用が可能です。

eSIMにももちろん対応する

 

高性能なカメラで自撮りも撮れる

カメラに関しては上位モデルのrazr 60 Ultraは大きく進化しています。メインカメラは5000万画素で、超広角の5000万画素カメラを加えた2カメラ仕様となっています。さらに画面上部のフロントカメラも5000万画素。モトローラによるとこの5000万画素トリプルカメラ仕様はフリップ式スマートフォンで最高性能とのことです。

一方razr 60は5000万画素カメラと1300万画素超広角カメラの組み合わせ。フロントカメラは3200万画素です。ミドルハイレンジモデルとして十分な性能と言えるでしょう。

カメラの比較。上がrazr 60、下がrazr 60 Ultra

望遠カメラはありませんが、カメラアプリで写真を選択すると2倍も選べます。5000万画素センサーなので2倍から3倍のデジタル望遠でも十分な画質を得られます。また最大倍率は30倍まで。実用的なのは20倍程度ですが、これだけあれば日常的に困ることは無いでしょう。なお動画撮影性能はどちらのモデルも4K 60fpsに対応、razr 60 Ultraは8k 30fpsも行けます。

5000万画素のメインカメラは十分高画質だ

特にrazr 60 Ultraは暗所での撮影に強いと感じます。写真のみならず動画もかなり綺麗な撮影が可能です。フリップ式スマートフォンはカメラがより使いやすいだけに、あらゆるシーンで失敗なく撮影できるカメラの搭載は必須だと感じます。

暗い場所でも明るく写せる

そして閉じたまま高画質なメインカメラで自撮りができるのも便利です。超広角カメラも使えるので、3人や5人の集合セルフィーも十分撮影可能。アクションカメラのように使えるこのスタイルでの撮影はフリップ式スマートフォンならではです。

超広角で撮影するとかなり広い画角になる

 

折りたたみスマホの新しいスタイル

razr 60シリーズは今までのフリップ式スマートフォンのデザインをさらに進化させ、また新しい素材を積極的に採用するなどスマートフォンそのものの作り方を変える製品だと感じました。さらにAIきのうも強化されており、閉じたままの画面でも様々な操作ができます。年々増える折りたたみスマートフォンの中でも新しいスタイルを提唱するモデルでもあり、日本で発売される日が早く来てほしい製品だと感じられました。

新世代のフリップ式スマートフォン

 

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