物価の高いスイスで7日間使い放題の現地eSIMを買ってみた
スイスといえば物価が高いことで知られていますが、旅行者向けのプリペイドeSIMの価格は意外と手ごろな価格で購入できます。今回はジュネーブで地元キャリアのeSIMをオンライン購入してみました。なお使用したスマートフォンは日本販売のiPhone 12 miniです。
目次
スイス最大手SwisscomのプリペイドeSIM
スイスの大手キャリアは3社、Swisscom、Sunrise、Salt.(旧Orange)と偶然なのかすべて「S」で始まる社名の会社が事業展開を行っています。このうち最大手がSwisscomで、シェアは50%を超えています。プリペイドサービスには旅行者向けのプランがあるので、今回はこちらを購入してみることにしました。
Swisscomは旅行者向けプリペイドサービスを提供
旅行者向けのプリペイドサービス名は「Prepaid Flat 7」で、SIMカード、eSIMのどちらも選べます。オンラインでの購入も可能でeSIMはその場でQRコードが発行されます。価格は20スイスフラン(約3400円)で7日間有効。スイス内の通話、SMS、データ通信がすべて使い放題です。ただしデータ通信速度は下りが最大50Mbps、上りが10Mbpsとなります。日本のMVNOに比べれば十分高速であり、動画の視聴なども問題ない速度です。
3000円台で7日間データ定額
今回はスイスのジュネーブを訪れました。ジュネーブの空港では大手3社のプリペイドSIMは販売されておらず、ヨーロッパ各国でMVNO事業を行っているLyca Mobile、Lebaraの2社のカウンターがあります。Lebaraのカウンターに行ってみるとまず支払いは現金のみ。そして料金は1GBで20スイスフラン、3GBで30スイスフラン(約5100円)と、やはり割高感があります。おそらく速度規制は無さそうですが、MVNOなので低速かもしれません。スイスに滞在する期間は旅行でもビジネスでも多くの人が7日以内でしょうから、SwisscomのPrepaid Flat 7がお勧めです。
ジュネーブ空港のLebaraのカウンター。両替所でも取り扱っている
Prepaid Flat 7購入にはパスポート写真アップロードが必要
では実際にPrepaid Flat 7を購入してみます。まず初めにスイスはプリペイドSIMの購入に身分証明書が必要です。そのためオンラインで買う場合はパスポート写真をアップロードする必要があります。今回はPCから購入を行いました。
Prepaid Flat 7
https://www.swisscom.ch/en/residential/mobile-subscription/prepaid/tourists.html
購入ページの中ほどから進む
ページ中ほどから「order now」をクリック。次のページでは新番号か既存番号を選びますが、素直に新番号を選択。次の画面でeSIMを選びます。
先にeSIMを選んでから進む
続いてのページでは「I am new to Swisscom」からユーザー登録に進みます。
I am new to Swisscomをクリック
ユーザー登録ではパスポートの登録が必要です。
JapanとPasportを選ぶ
次の画面ではQRコードが出るので、Wi-Fi接続されたスマートフォンでQRコードを読み取ります。するとパスポートの登録画面が出るのでパスポートをスキャンします。
PC画面とスマホ画面が連動する。パスポート読み込む
続いてスマートフォン側で顔認証を行います。パスポートの顔写真と自分の顔写真で二重に本人認証を行うわけです。
顔認証も行う
読み込みが終わったら住所登録を行います。英語で入力しますが、日本の住所を登録しようとしたところ、郵便番号が正しいフォーマットで入力したにも関わらずエラーが出てしまいました。そのためジュネーブで滞在したホテルの住所で登録を行いました。
住所の登録も必要
この後はメールアドレスの確認、パスワード設定を済ませます。それが終わるとようやくプリペイドeSIM購入画面に戻ります。
改めてプリペイドeSIM購入に進む
クレジットカードで支払いが終わったあと、Swisscomのホームページにログインされた状態になっているのでユーザーページを開きます。上部のアイコンから「Mobile」を選ぶと、eSIMのQRコードが表示されます。なおメールでもQRコードは届きます。
QRコードが表示できる
50Mbpsは十分な速度
インストールしたeSIMは「仕事」など適当名前が付いているので、わかりやすい名前(Swisscom)などにしたほうがいいかもしれません。地元スイスのキャリアなので、データローミングをONにする必要はありません。グローバルeSIMプロバイダーのeSIMの中にはデータローミングを必要とするものがあり、eSIMインストール後にこの操作を行うことを忘れてしまうとデータ通信ができません。地元キャリアの場合はその心配が無いのも使いやすいところです。Wi-FiをOFFにすれば、アンテナピクト横に5Gの文字が見えるはず。
またしばらくするとSMSで開通の通知も届きました。eSIMには電話番号がありますが、設定画面に自動で表示される他、SMSにも表示されています。
インストール後のeSIMの状況。SMSも届く
ではジュネーブ市内で使ってみました。今回はジュネーブ空港到着後、空港でeSIMの開通を行いました。そこでまずは空港での速度テスト。製品紹介通り、下りは50Mbps弱、上りは10Mbps弱の速度です。
ジュネーブ空港で速度テスト
次にジュネーブ市内へ出ました。市の入り口ともいえるジュネーヴ・コルナヴァン駅は規模が小さく、付近も商店やショッピングモールがありますが、街そのものがコンパクトでした。駅付近にはキャリアのショップがいくつかありますが、家電量販店はデパートの中などにあるのみ。大規模な店舗は郊外にあるようです。
ジュネーヴ・コルナヴァン駅付近にあったSalt.の店舗
駅付近でも速度は同等。5G接続ながら速度は超高速ではない一方、安定して50Mbps弱が出ているので動画視聴だけではなく、オンラインのビデオ会議もトラブルなくつなぐことができそうです。
駅前も同等の速度
日本からのローミングとの比較とまとめ
今回購入したeSIMは約3400円で7日間使えます。そしてデータ速度に上限はあるものの実用性は問題なく、使い放題です。これに対してドコモの世界そのままギガはは4日間で3280円です。つまり4日以内ならばドコモのローミングサービスでもいいでしょうし、5日以上ならばSwisscomのeSIMが安上がりです。個人的な感想は、物価の高いスイスでこの価格は他国と比べて比較的リーズナブルな部類に入ると思います。
Swisscomは購入時にユーザー登録と本人認証を行う必要があるのが面倒でした。ただしSwisscomはジュネーブの駅に店舗があるため、そこで購入すればパスポートを出すだけで買えるでしょう。とはいえ過去の経験から「店舗購入はオンライン購入より高い」場合があるので、スイスを再訪した時は店舗でもeSIMを購入してみようと思います。
香港在住の携帯電話研究家。海外(特に中国)のスマートフォンや通信事情に精通。IoT、スマートシティー、MaaS、インダストリアルデザインなど活動の幅は広い。最新機種のみならずジャンク品から百万円のラグジュアリーモデルまであらゆる携帯電話・スマートフォンを購入する収集家でもあり、その数はまもなく1800台に達する。