eSIMレビュー
2024年6月24日

台湾3社のeSIMを5Gと4Gで速度チェック、高速なのはどのキャリア?

台湾のキャリアは統廃合が進み、2024年5月時点で3社に集約されています。3社はいずれも海外からの渡航者向けにプリペイドのeSIMも販売しています。料金は5Gと4Gのもので異なり、有効日数も柔軟に数プランあるので台湾滞在時には有用です。今回は3社のeSIMを台北桃園空港で購入して5Gと4Gで速度をチェック、どのキャリアが一番なのかを調べてみました。なおスマートフォンは日本販売のiPhone 12 miniを使っています。

台北桃園空港で売っている3社のeSIM料金

台北桃園空港でのeSIM購入体験は2023年7月に記事化しています。その時はターミナル2に夜遅くに到着したため、キャリアは中華電信(Chunghwa Telecom)しか選べませんでした。プランは4Gを選んでいます。

台北桃園空港でeSIMを購入、データ使い放題で快適な台湾滞在

今回はターミナル1に朝10時に到着しました。昼間ですから3キャリアともカウンターは開空いています。なお入国審査の手前にも中華電信のカウンターがありましたが、入国審査が混雑することを考えると入国後に購入したほうがいいでしょう。そして荷物を受け取るターンテーブルエリアにも、中華電信と遠伝電信(Far EasTone)のプリペイドSIM販売カウンターがありました。ここでは中華電信のみeSIMがあり、遠伝電信は物理SIMカードのみの販売。なおここでの販売は代理店のようです。

荷物を受け取って到着ロビーに出てくれば、右手に行くとすぐに3キャリアのカウンターがあります。「台北桃園空港」「SIMカード」で検索すればネットに多くの情報がでてくると思いますが、ここでSIMを買う人はかなり多くいます。スタッフも日本人慣れしているので、スマートフォンの言語が日本語でもそのまま対応してくれることがほとんどです。

 

台北桃園空港ターミナル1の3キャリアカウンター

3社ともプリペイドeSIMも販売しており、物理SIMカードと価格は変わりません。また料金もほぼ横並びとなっています。音声通話にも対応しますが、現地で使うことはあまりないでしょう。データは4Gプランが定額でテザリングもOK。一方5Gプランもデータ定額ですがテザリングは1日1GB相当(と考えるのがわかりやすいです)。5G 3日プランなら期間中に合計3GBまで、5G 5日プランなら合計5GBまでテザリング可能といった具合です。速度を気にせずテザリングも使い放題の4Gプランがいいか、より高速な5Gプランが快適なのか、それを今回確かめてみます。

3社の料金をまずは写真で紹介します。1台湾ドルは約4.9円、5円と計算してしまったほうが概算ですがわ
かりやすいでしょう(2024年5月時点)。i以下の写真の金額に5をかけるとざっくりした日本円になります。なお遠伝電信は市内ではFar EasTone表記が目立つので、本記事でもここから先はFar EasToneと記載します。

 

中華電信

 

Far EasTone

 

台湾大哥大(Taiwan Mobile)

3社を見ると、料金がほとんど変わらないことがわかります。中華電信のみ5Gプランが3つしかないなどの違いもありますが、4Gプランを見ると日数当たりの料金に大きな違いはありません。基本的に各社、到着日はゼロとカウントするので3日プランで4日間、7日プランなら8日間使えます。

4Gプランと5Gプランの違いは前述したようにテザリングの制限、そして料金です。たとえば中華電信で4Gの7日は500台湾ドル(約2400円)、テザリング無制限です。一方5Gの7日は800台湾ドル(約3900円)、テザリングは合計7GBまでです。他のスマートフォンやホテルでノートPCを使うなんてときは、使い方によってはテザリング容量があっという間になくなってしまう恐れもあります。両者の価格差は1500円もあるため、5Gを選ぶ場合は速度を求める時で、そうでなければ4Gプランでも十分かもしれません。実際に5Gと4Gで速度テストを行いました。

パスポートを提示して10分以内に購入と開通完了

eSIMの買い方は前回の記事にも書いていますが、台湾はパスポートによる登録が必要です。また3キャリア共にクレジットカードでの支払いが可能でした。Far EasToneではパスポートの入国印ページが見つかりにくかったことからか、どこに入国印が押されたかを確認されました。台湾大哥大はパスポートと台北までの搭乗券を渡して登録が行われました。

筆者は過去にも数度台北でeSIMを買っていますが、年々スムーズに処理されるようになっていると感じます。「eSIM購入を伝える→スタッフが申込書作成→パスポート提示→スタッフがコピー→申込書にサイン数か所→スマートフォンを渡してeSIMをインストールしてもらう」という作業となりますが、今回は10分もかからず終わりました。物理SIMカードですとスマートフォンからSIMの抜き差しをしたり、そのたびにロック解除を行うなど余計な時間がかかるのですが、eSIMはそのあたり余計な時間がかかりません。

 

スタッフが実際に使ったQRコードの用紙。以前よりスムーズに出していた

台北市内テスト(1)桃園空港

それでは実際に各社のネットワーク品質にはどれくらいの差があるのでしょうか?また5Gと4Gで速度に差は出るのでしょうか?今回は5G対応のeSIMを購入たので5Gの速度をそのままテスト。また4Gは手動で5Gオフにして4G接続の状況でテストしました。

 

台北市内4か所で5G、4Gをテスト

まずはeSIMを買った桃園空港の到着ロビーです。テストは3回行い、最高速度を記録しました。

5Gでは4社とも400Mbps以上とかなり高速です。中華電信のみ500Mbpsをオーバー。ただ上りの速度を見ると、Far EasToneが144Mbpと他社より1.5倍以上高速でした。一方4Gを見ると、中華電信は239Mbpsとかなりの速度を出しています。台湾大哥大が122Mbpで一番遅い結果となりました。またこの結果を見るとわかるように、5Gと4Gの速度の差は上りの速度でも顕著に泡われます。

 

桃園空港

台北市内テスト(2)台北車駅

続いて台北駅の入り口付近でのテストです。

5Gはここでも中華電信が一番高速で500Mbpsを超えていました。また上りも136Mbpsと高速でした。とはいえFar EasToneがここでも上りは最速値を出しています。台湾大哥大も遅くはありませんが、2社にやや引き離されている情況でした。そして4Gは3社とも200Mbps前後とかなり良好な結果でした。

 

台北車駅

台北市内テスト(3)台北101

今回テストしたのは日曜日だったので、買い物客で賑わう台北101の入り口でもテストを行いました。

人が多いことや、高層ビルが多いことからか5Gの速度は他のエリアよりやや落ちます。それでも中華電信は384Mbpsと高速でした。ただ上り速度は4Gレベルとあまり良くはありません。一方Far EasToneは台湾大哥大に抜かれたものの、上りの速度は他社を寄せ付けません。4Gは台湾大哥大が100Mpbs弱とかなりの好成績でした。

 

台北101

台北市内テスト(4)遼寧夜市

最後に市内にある小規模な夜市、遼寧夜市でテストしました。雨模様だっため人通りは少なかったものの、街中の特に目立ったビルなども無いエリアでの参考地になるでしょう。

5Gの中華電信の速度はここでも500Mbpsをオーバー。Far EasToneは上りで初めて中華電信を下回りました。台湾大哥大も健闘しています。4Gは中華電信の圧勝でした。

 

遼寧夜市

中華電信1強ともいえぬ成績、台北に行くなら現地購入がお勧め

4か所に限らず市内を探索中にところどころで各社の回線を使ってみましたが、中華電信の5Gネットワークが一番高速だと感じられました。とはいえ動画のアップロードなど大量のデータを送り出すのであれば、上りの速度が4社の中で平均して高速なFar EasToneも悪くありません。さらに台湾大哥大は上位2社にはやや劣るものの、それでも5Gの平均パフォーマンスは良好です。

4Gと5Gの差を比べてみると、台北の主要エリアでの4Gの速度はかなり早く、一般的な使い方をするのであれば4Gプランを買っても不自由することは無いと感じます。上りの速度が欲しい時は5Gプランを使えば確実に速度の差は体感できるので、ビジネスシーンや動画のストリーミングを行うときなどは、5Gにするのがいいのかもしれません。

さて台湾のプリペイドeSIMは日本からも買えるものが多数で回っています。そのため台湾到着前に日本で買っておくのもいいでしょう。ただし台湾キャリアの回線を使うeSIMは本人登録作業が必要なこともあり、場合によってはそれに時間がかかる場合もあります。また他国のキャリアのローミングサービスを使うeSIMの場合は、速度が遅いものもあるようです。

あらかじめ日本でeSIMを買って準備しておけば、台湾到着後にすぐに移動できます。とはいえ桃園空港のキャリアカウンターもよほどのことが無い限り混雑はしておらず、仮に中華電信に行列ができていても代わりの他の2社を買ってもそれほど大きな差は出ないでしょう。台湾に行く機会のある人は、現地でのeSIM購入をぜひ試してほしいと思います。

 

現地回線だからこそ確実に使える

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