顔写真による本人認証が必要、ギリシャでeSIMを購入してみた
ヨーロッパの一部の国ではプリペイドSIMの購入に本人認証が必要です。今回訪問したギリシャでもeSIMを買うときはスマートフォンからパスポートのスキャンと顔写真撮影が必要でした。
購入したVodafoneギリシャのプリペイドeSIMは速度は十分で使い勝手は良かったものの、eSIMの発行は即座ではなく約6時間待つ必要がありました。
そのため購入は到着後ではなく事前に行っておくと良さそうです。
目次
シンプルプランのVodafoneギリシャ
ギリシャの首都、アテネの国際空港(エレフテリオスヴェニゼロス国際空港)のメインターミナルにはSIM販売カウンターがあります。ここではVodafoneギリシャとMVNOキャリアのプリペイドSIMカードを販売していましたが、eSIMは販売していませんでした。
また価格は定価プラスアルファ程度だったのですが、アクティベーションフィーとして12.5ユーロ(約2,000円)が別途かかります。eSIMを買わずnano SIMカードを買う場合でも、ここでの購入は割高です。
なお市内の中心部、シンタグマ広場にはVodafoneとCosmoteという大手キャリアの店舗があるので、そちらで買う方がいいでしょう。
さて今回はeSIMをスマートフォンから購入します。
Vodafoneのプランがわかりやすかったのでそちらを買うことにしました。プリペイドプランは2つで20ユーロ(約3,300円) 25GB 20日有効と、30ユーロ(約4,900円) データ定額 30日有効です。
ただし購入作業中に判明したのですが、eSIMを選ぶと別途9.8ユーロ(約1,600円)のeSIM代金がかかります。そうなると20GBで約4,900円、定額で6,500円となってしまいます。このあたりはキャンペーンなどでeSIM代金の割引が欲しいところです。
eSIM購入は簡単、本人認証ややが面倒
ではスマートフォンから直接eSIMを購入してみます。アテネ国際空港の無料Wi-Fiにスマートフォンを接続して進めていきました。
冒頭に書いた通りギリシャはプリペイドSIMの購入に本人認証が必要です。またeSIM発行は即時ではなく時間がかかります。VodafoneギリシャのプリペイドSIM購入ページはこちらになります。
ページにアクセス後は画面をスクロールして20ユーロまたは30ユーロのプランを選びます。選択後、次の画面でeSIMを選びますが、ここで9.9ユーロのeSIM代金がかかることが表示されます。
eSIM選択後、すぐ下のウィンドウから電話番号を選びます。好みのものを選んだら次のページでパスポート番号、氏名、電話番号を入力、その下のチェックボックスにチェックして進んでいきます。
パスポートのアップロード画面が出るので、スマートフォンのカメラで撮影し、確定します。
次のページでは個人情報の再確認となりますが「父親の名前」を入れるのがちょっと変わっていると感じます。
最後に最終確認ページとなります。
続いて顔写真の撮影です。「Take a photo」のタップでフロントカメラが起動するので撮影します。なるべく明るく、背景は白い壁などの場所がいいでしょう。
撮影終了後、支払い画面へ進みます。クレジットカード情報を入れて「Payment」を行います。
なお筆者は今回はPaypalを使いました。
支払が終わればオーダーコードが表示されます。
ところが画面には「顔写真と本人照明写真がマッチしない」と警告が出ました。そのため「Upload your document」から再びパスポートを撮影して送信、すると無事に「Thank You!」の画面が出て、購入が完了しました。
なお「24時間以内にeSIMの受付を完了、ただし日曜日は除く」と記載されています。このことから本人認証はVodafoneのスタッフが人力で行っているのかもしれません。日曜日にかかったり、夜遅くに購入すると届くまでかなり時間がかかりそうです。
本人認証に6時間、QRコードはメールから表示
購入が完了したのは火曜日の早朝の4:28、証明書再送信が終わったのは4:31でした。さてメールを確認してみると、4:28には受付が完了したと届いていました。それからメールが届くのをひたすら待ちます。
そして受付完了して電話番号の通知が来たのは10:32、約6時間後でした。
なおここからの作業はQRコードを読み込むので、メール受領などパソコンで行っています。
メール本文を読むとギリシャ語の後に英語があります。英語の文章のSTEP 2の下のあたりの「Activate eSIM for connection 6*********(10桁の番号)eSIM Serial Numberの部分にある、10桁の番号が電話番号です。そしてこの部分をクリックします。
次の画面で空欄があるので、その部分に電話番号を入力します。
するとQRコードが表示されます。あとはこのQRコードをスマートフォンで読み取って、eSIMをインストールします。なおQRコードの左側には「eSIM PIN」として4桁のピンコードが表示されます。
これはSIMの暗証番号のようなもので、現代においては必要ありません。
このPINを残したままにすると、スマートフォンの電源を入れるたびに、スマートフォンのロック解除とは別に、SIMのロック解除コードとしてこの4桁のPINが求められます。
PINを忘れたり、数回間違うとキャリアの店舗に行かなくてはなら無くなります。そのためこのPINはすぐに無効にするべきです。
まずはeSIMをインストール。QRコードを読むなどしてスマートフォンにインストールします。
続いてeSIMのPINを外します。
設定→モバイルデータ通信でeSIM/SIM一覧を開き、今回インストールしたVodafoneギリシャのeSIMをタップ。下の方に「SIM PIN」があるのでタップ。SIM PINがONになっているのでここをタップすると、PINの入力を求められます。QRコードと同時に表示されたPIN(今回の場合ならば8600」を入力。
するとSIM PINがOFFになります。
速度は快適、容量十分で安心して使える
すべてが終わったらWi-FiをOFFにするとデータ通信が始まるはずです。まずは空港で速度テスト。下りは楽に500Mbpsを超えました。5Gにつながっており快適です。
続いて中心部でもあるシンタグマ広場へ。ここは250Mbps程度と速度は落ちるものの、十分実用的な速度です。
ただし路地裏に入ると4Gに落ちてしまうようで、速度は20-50Mbpsといったところ。それでもSNSを使う程度ならば十分です。そして容量も十分あるので、安心して使うことができます。
日本からのローミングとの比較とまとめ
Vodafoneギリシャの現地回線は快適でした。
プリペイド料金はeSIM代金が別途9.8ユーロかかるのが残念で、それさえ無ければお得度はかなり高いと感じます。なおヨーロッパでも20ユーロeSIMは14.7GB、30ユーロeSIMは22GBまでローミング利用ができます。
同じ料金(eSIM代含む)と比較すると、ドコモの世界そのままギガの場合、
ドコモ:6日間 4,980円、Vodafone:20日間20GB 約4,900円(ヨーロッパ14.7GB付き)
ドコモ:9日間 6,980円、Vodafone:30日間使い放題 約6,500円(ヨーロッパ22GB付き)
となります。5日間の場合ならドコモのローミングもお得ですが、ギリシャを中心に他の国にも行く場合などはVodafoneのほうが良さそうですね。また9日以上の長期滞在時もVodafoneがいいでしょう。
またahamoは約3,000円で海外でも20GB使えますが、海外で使った分は日本の利用分からマイナスされてしまいます。海外で20GBをフルに使ことは少ないかもしれませんが、仕事などで渡航する場合はVodafoneのほうがやはり優位でしょうか。
eSIM購入時に本人確認登録がいることと、即時発行ではないことを除けば、VodafoneギリシャのeSIMはかなり使い勝手が高いと思います。
ギリシャから他の周辺国へ行く場合も有用で、現地へ行ったら購入してみてはいかがでしょうか。
香港在住の携帯電話研究家。海外(特に中国)のスマートフォンや通信事情に精通。IoT、スマートシティー、MaaS、インダストリアルデザインなど活動の幅は広い。最新機種のみならずジャンク品から百万円のラグジュアリーモデルまであらゆる携帯電話・スマートフォンを購入する収集家でもあり、その数はまもなく1800台に達する。